物理

剛体のつり合い — 力のモーメント・重心

力のモーメント、剛体のつり合いの条件、偶力、重心の計算、倒れる・すべる条件を扱います。

全 48 問(★基礎 12・★★標準 12・★★★応用 8・★★★★難関 8・最難関編 8)

問1 力のモーメントの定義 ★ 基礎力のモーメント

点 O で固定された軽い棒の、O から 離れた点に、棒と垂直に大きさ の力を加えた。この力の、点 O のまわりの力のモーメントの大きさを求めよ。

O20 N0.30 m
O のまわりに、垂直な力 20 N を距離 0.30 m の点に加える
問2 斜めに加えた力のモーメント ★ 基礎力のモーメントうでの長さ

点 O で固定された長さ の軽い棒の先端に、棒とのなす角 の向きに大きさ の力を加えた。この力の、点 O のまわりの力のモーメントの大きさを求めよ。

O10 N30°0.60 m
先端に棒と 30° をなす向きの力 10 N を加える
問3 シーソーのつり合い ★ 基礎モーメントのつり合い

支点 O で支えられた軽い棒がある。O から左に の点に重さ のおもりを下げた。O から右に距離 の点に重さ のおもりを下げて棒を水平につり合わせるには、 をいくらにすればよいか。

O30 N20 N1.2 mx
軽い棒のシーソー。左 30 N×1.2 m と右 20 N×x がつり合う
問4 支点の位置がずれた棒のつり合い ★ 基礎モーメントのつり合い

長さ の軽い棒 AB を、A から の点 O で支える。A 端に重さ のおもりを下げたとき、B 端に何 N のおもりを下げれば棒は水平につり合うか。

ABO30 NW=?0.40 m0.60 m
A から 0.40 m の点 O で支えた軽い棒 AB(全長 1.0 m)
問5 2 人で棒をかつぐ ★ 基礎剛体のつり合いモーメントのつり合い

長さ の軽い棒 AB の、A から の点に重さ の荷物を下げ、A 端と B 端を 2 人で水平に支えた。A、B それぞれの人が棒に加える力(鉛直上向き)の大きさを求めよ。

ABN_AN_B60 N0.50 m2.0 m(全長)
A 寄りに荷物 60 N。両端で支える力 N_A・N_B を求める
問6 一様な棒の一端を持ち上げる ★ 基礎重心モーメントのつり合い

長さ 、重さ の一様な棒が床に置いてある。B 端を床につけたまま、A 端を鉛直上向きの力でゆっくり持ち上げる。持ち上げるのに必要な力の大きさを求めよ。

B(床)AF=?40 N重心
B 端を支点に A 端を持ち上げる。重さ 40 N は中央の重心にはたらく
問7 両端で支えた棒(対称な場合) ★ 基礎剛体のつり合い

長さ 、重さ の一様な棒 AB の中央に、重さ のおもりを下げ、A 端と B 端を支えて水平に保った。A、B の支える力をそれぞれ求めよ。

ABN_AN_B50 N(棒)20 N
重心もおもりも中央の対称な配置。N_A=N_B になる
問8 偶力とそのモーメント ★ 基礎偶力

棒の 2 点に、大きさがどちらも で互いに逆向きの平行な力を、 離して加えた(偶力)。(1) 2 力の合力の大きさを求めよ。(2) この偶力のモーメントの大きさを求めよ。

12 N12 N0.50 m
等大・逆向きの平行 2 力(偶力)。合力 0 で回転だけを生む
問9 2 物体の重心 ★ 基礎重心

長さ の軽い棒の両端 A、B に、質量 の小球をそれぞれ取り付けた。この系の重心は A から何 m の位置にあるか。

4.0 kg6.0 kgAB1.0 m
両端に 4.0 kg と 6.0 kg。重心は重い側に寄る
問10 複数のおもりがあるシーソー ★ 基礎モーメントのつり合い

支点 O で支えられた軽い棒に、O から左 の点に 、左 の点に のおもりを下げた。O から右に距離 の点に のおもりを下げて水平につり合わせたい。 を求めよ。

O15 N30 N25 N0.60 m0.20 mx
左に 2 つ、右に 1 つのおもり。左の 2 つのモーメントは足し合わせる
問11 斜面上の物体は倒れるか ★ 基礎転倒重心

、高さ の一様な直方体を、水平から 傾いたあらい斜面の上に置く(すべらないものとする)。この直方体は倒れるか、倒れないか。理由とともに答えよ。 とする。

重心鉛直線30°0.60×1.2 m
30° の斜面上の直方体。重心からの鉛直線が底面を外れるかを見る
問12 ちょうつがい付きの棒(2 つのつり合い条件) ★ 基礎剛体のつり合い

長さ の軽い棒 AB の A 端が、壁にちょうつがいで取り付けられている。B 端には鉛直上向きに張力 の糸が付けられ、A から の点に重さ のおもりが下げられ、棒は水平に静止している。(1) 張力 (2) ちょうつがいが棒に加える力(鉛直成分)をそれぞれ求めよ。

ABT30 N0.50 m1.5 m(全長)
壁のちょうつがい A と、B 端の鉛直な糸で支えた軽い棒
問13 両端で支えた棒(非対称な荷重) ★★ 標準剛体のつり合いモーメントのつり合い

長さ 、重さ の一様な棒 AB を A 端と B 端で支え、A から の点に重さ のおもりを下げて水平に保った。A、B の支える力 をそれぞれ求めよ。

ABN_AN_B60 N40 N(棒)0.50 m
棒の重さ 40 N は中央に。おもり 60 N は A 寄りに下がる
問14 テーブルの端からどこまで出せるか ★★ 標準転倒重心

長さ 、重さ の一様な棒を、テーブルの端から水平に張り出して置く。棒の張り出した先端に重さ のおもりを載せるとき、棒が傾かずにいられる張り出しの長さの最大値を求めよ。

テーブル20 N張り出し L
棒(2.0 m・60 N)をテーブルの端から L だけ張り出し、先端に 20 N
問15 ちょうつがいの棒を糸で支える ★★ 標準剛体のつり合い張力

長さ 、重さ の一様な棒 AB の A 端が壁にちょうつがいで取り付けられ、B 端と壁の上方を糸で結んで、棒を水平に保った。糸と棒のなす角は である。(1) 糸の張力 (2) ちょうつがいが棒に加える力の水平成分と鉛直成分 をそれぞれ求めよ。 とする。

AB30°30 N
ちょうつがい A・水平な棒・B 端から壁上方への糸(棒と 30°)
問16 立てかけたはしご(なめらかな壁) ★★ 標準はしご摩擦

長さ 、重さ の一様なはしごを、なめらかな壁に床と をなすように立てかけた。床はあらい。(1) 壁がはしごを押す力 (2) 床の摩擦力 (3) はしごがすべらないための静止摩擦係数の最小値 をそれぞれ求めよ。

45°5.0 m・200 N壁(なめらか)
なめらかな壁に 45° で立てかけた一様なはしご。床はあらい
問17 はしごに人が乗る ★★ 標準はしご摩擦

長さ 、重さ の一様なはしごを、なめらかな壁に床と をなすように立てかける。重さ の人が、はしごに沿って下端から の点まで登った。(1) 壁がはしごを押す力 (2) はしごがすべらないために必要な静止摩擦係数の最小値 をそれぞれ求めよ。

人 400 N45°4.0 m・100 N3.0 m
45° のはしご(100 N)を人(400 N)が下端から 3.0 m まで登る
問18 L 字形の板の重心 ★★ 標準重心複合物体

厚さと材質が一様な L 字形の板がある。この板は、縦 ×横 の長方形(左下の角が原点、縦長)と、縦 ×横 の長方形(縦長部分の右side、下をそろえて接続)を組み合わせた形である。全体の重心の座標を求めよ。座標は左下の角を原点に、右向きに 軸、上向きに 軸をとる。

2.06.06.02.0O
一様な L 字板(単位: cm)。全体の重心を求める
問19 くり抜いた円板の重心 ★★ 標準重心くり抜き

半径 の一様な円板から、中心が円板の中心 O から だけ離れた半径 の円をくり抜いた。残った部分の重心は、O からどちら側にどれだけ離れた位置にあるか。また、 のときの距離を求めよ。

O穴の中心R半径 2R
半径 2R の円板から、O から R の位置を中心に半径 R をくり抜く
問20 倒れるのが先か、すべるのが先か ★★ 標準転倒摩擦

、高さ 、重さ の一様な直方体が水平な床に置かれている。床との静止摩擦係数は である。直方体の上端に水平な力 を加え、徐々に大きくしていく。(1) すべり出す の値 (2) (下端の角のまわりに)倒れ始める の値 を求め、(3) この物体は先にすべるか、先に倒れるか答えよ。

F100 NP幅 0.60 m1.5 m
上端を水平に押す。すべる(μ=0.30)か、角 P のまわりに倒れるか
問21 台を傾けていくと物体はどうなるか ★★ 標準転倒摩擦斜面

、高さ の一様な直方体を台の上に置き、台を水平からゆっくり傾けていく。直方体と台の間の静止摩擦係数は である。(1) 倒れ始める傾きの角 について を求めよ。(2) すべり出す傾きの角 について を求めよ。(3) 傾けていくと、先に起こるのは「倒れる」「すべる」のどちらか。

重心鉛直線θ0.90×1.2 m
台をゆっくり傾ける。転倒(tanθ=b/h)とすべり(tanθ=μ)のどちらが先か
問22 ちょうつがいの棒+先端の荷物 ★★ 標準剛体のつり合い張力

長さ 、重さ の一様な棒 AB の A 端が壁にちょうつがいで取り付けられ、B 端と壁の上方を糸で結び、棒を水平に保つ。B 端に重さ の荷物を下げた。糸と棒のなす角は である。(1) 糸の張力 (2) ちょうつがいが棒に加える力の水平成分と鉛直成分 をそれぞれ求めよ。 とする。

AB30°20 N40 N
棒(20 N)の先端 B に荷物 40 N。糸は棒と 30° をなす
問23 張り出した板の上を歩ける範囲 ★★ 標準剛体のつり合い転倒

長さ 、重さ の一様な板を、左端の支点 A と、右端から 内側の支点 B の 2 点で水平に支えた(板は B から右へ 張り出している)。重さ の人が B を越えて張り出し部分を右へ歩いていく。板が傾き始めるのは、B から何 m の点に来たときか。

AB200 N(板の重心)人 500 Nd張り出し 1.0 m
右端から 1.0 m 内側の支点 B。人が B を越えて d 進むと傾き始める
問24 2 本の糸で吊るした棒 ★★ 標準剛体のつり合い

長さ 、重さ の一様な棒 AB を、A から の点 P と、A から の点 Q に付けた鉛直な 2 本の糸で吊るし、水平に保った。P、Q の糸の張力 をそれぞれ求めよ。

ABT_PT_Q60 N0.20 mP—Q: 1.2 m
P(A から 0.20 m)と Q(A から 1.4 m)の 2 本の糸で吊る
問25 はしごがすべらない条件(一般式) ★★★ 応用はしご摩擦文字式

重さ の一様なはしごを、なめらかな壁に床と角 をなすように立てかける。床とはしごの間の静止摩擦係数を とする。(1) 壁がはしごを押す力 で表せ。(2) はしごがすべらないための条件を の関係で表せ。(3) のとき、立てかけられる最小の角を求めよ。

N_WWNfθ
角 θ で立てかけた重さ W のはしご。すべらない条件を求める
問26 はしごをどこまで登れるか ★★★ 応用はしご摩擦

長さ 、重さ の一様なはしごを、なめらかな壁に床と をなすように立てかける。床との静止摩擦係数は である。重さ の人は、はしごに沿って下端から何 m のところまで登れるか。

人 500 N(d は?)45°5.0 m・100 N壁なめらかμ=0.50
45° のはしごを人が登る。どこまで登るとすべり出すか
問27 押す高さで変わる: すべるか倒れるか ★★★ 応用転倒摩擦

、重さ の一様な直方体が水平な床に置かれている。床との静止摩擦係数は である。床から高さ の点に水平な力を加えて徐々に強くしていく。(1) すべり出すときの力の大きさを求めよ。(2) 高さ のとき、(下端の角のまわりに)倒れ始める力の大きさを の式で表せ。(3) 「先にすべる」か「先に倒れる」かの境目となる高さ を求めよ。

F100 Nh幅 0.40 mP
高さ h を変えながら水平に押す。μ=0.25
問28 机の脚が浮く条件 ★★★ 応用剛体のつり合い転倒

長さ 、重さ の一様な天板をもつ机がある。2 本の脚(それぞれ左右)は、天板の両端からそれぞれ 内側に付いている。重さ の人が天板の右端(脚より 外側)に腰かけた。左の脚は床から浮くか。浮くかどうかの境目であることを、モーメントの計算で示せ。

左脚右脚200 N人 600 N0.25 m
天板 2.0 m・脚は両端から 0.25 m 内側。右端に 600 N の人が座る
問29 円柱を段差に乗り上げさせる ★★★ 応用力のモーメント段差

半径 、重さ の一様な円柱を、高さ の段差に乗り上げさせたい。円柱の軸(中心)に水平な力 を加えるとき、乗り上げ始めるのに必要な の最小値を求めよ。

OFPh=0.10 mr=0.50 m・300 N
軸に水平な力を加え、段差の角 P に乗り上げさせる
問30 壁も床もあらい、はしごの限界角 ★★★ 応用はしご摩擦文字式

重さ の一様なはしごを、あらい壁にあらい床から角 で立てかける。床・壁との静止摩擦係数はともに である。すべる寸前(床・壁とも最大摩擦力がはたらく)のはしごについて、(1) 床の垂直抗力 で表せ。(2) 限界の角 について を求めよ。

N₂f₂=μN₂WN₁f₁=μN₁θ
壁もあらい場合。壁の摩擦 f₂(上向き)が加わり、力は 5 本になる
問31 積み木のオーバーハング(2 枚) ★★★ 応用重心転倒

長さ 、重さ の一様な板が 2 枚ある。テーブルの端から、下の板・上の板の順に重ねて水平に張り出させ、倒れない範囲で張り出しをできるだけ大きくしたい。(1) 上の板は、下の板の端から最大どれだけ張り出せるか。(2) そのとき下の板は、テーブルの端から最大どれだけ張り出せるか。(3) 上の板の先端は、テーブルの端から最大どれだけ出るか。

テーブル上の板(0.40 m・W)下の板(0.40 m・W)?
2 枚の板をずらして重ね、テーブルの端からの張り出しを最大にする
問32 クレーンのブームのつり合い ★★★ 応用剛体のつり合い張力

長さ 、重さ の一様なブーム(腕)AB の A 端が、支柱の根元にちょうつがいで取り付けられ、水平に保たれている。B 端と支柱の上部をワイヤで結び、ワイヤとブームのなす角は である。B 端から重さ の荷物を吊り下げた。(1) ワイヤの張力 (2) ちょうつがいが ブームに加える力の水平成分と鉛直成分 をそれぞれ求めよ。 とする。

AB30°400 N1000 N支柱
水平なブーム(400 N)の先端 B に荷物 1000 N。ワイヤは 30°
問33 糸巻きはどちらへ転がるか ★★★★ 難関力のモーメント転がり接触点

外側の半径が 、糸を巻いた内側の軸の半径が の糸巻きが、水平な床の上に置かれている。糸は内側の軸の 下側 から出ていて、その先を手で引く。糸巻きは床の上をすべらずに転がるものとする。

(1) 糸を水平に引いたとき、糸巻きは手のほうへ転がるか、手から遠ざかるか。床との接触点のまわりのモーメントで判断せよ。

(2) 糸を真上に引いたときはどうか。

(3) 引く向きを水平から少しずつ立てていくと、あるところで糸巻きは転がらなくなる。その角 (水平から測る)を求めよ。

(4) (1) のように水平に引くとき、糸を 引き込むあいだに糸巻きは何 m 進むか。

OPFR = 0.20 mr = 0.12 m
糸巻きの断面。糸は内側の軸の下側から出ていて、その先を引く
問34 2本の指を近づけると、なぜ必ず重心で出会うのか ★★★★ 難関重心摩擦つり合い

長さ の一様でない棒を、両手の人さし指を左端と右端に当てて水平に支える。重心 G は左端から のところにある。棒と指のあいだの静止摩擦係数を 、動摩擦係数を とする。

この状態から、2本の指をゆっくり近づけていく。

(1) 最初、左右の指が棒から受ける垂直抗力の比を求めよ。

(2) 先にすべり始めるのはどちらの指か。理由とともに答えよ。

(3) すべる指が入れかわるのは、その指が G からどれだけの距離まで来たときか。

(4) 指を近づけ続けると、2本の指は最後にどこで出会うか。理由とともに答えよ。

G左の指右の指0.30 m
一様でない棒を2本の指で支える。重心 G は左端から 0.30 m のところにある
問35 脚立をつなぐロープにはたらく力 ★★★★ 難関剛体のつり合い2物体ちょうつがい

同じ2本の棒(それぞれ長さ 、重さ )の上端をちょうつがいでつないで脚立を作り、水平でなめらかな床に立てた。2本の足の間隔は 、ちょうつがいの高さは である。左右の脚は、床から高さ のところを水平なロープでつないである。

いま、重さ の人がちょうつがいの真上に乗った。

(1) 床が片方の足を押す力の大きさを求めよ。

(2) ロープの張力を求めよ。

(3) 人が乗っていないときのロープの張力を求めよ。

(4) ロープを床すれすれ(高さ )に張り直すと、張力はどうなるか。

ロープ人 600 N2.5 m3.0 m2.0 m
2本の棒をちょうつがいでつないだ脚立。床はなめらかで、左右の脚はロープでつないである
問36 三角形に分布した荷重を受ける梁 ★★★★ 難関分布荷重重心反力

長さ のまっすぐな梁を、両端 A(左)と B(右)で支える。この梁に、左端では 、右端では となるように、位置に比例した荷重が一様に分布してかかっている。梁自身の重さははじめ無視する。

(1) 分布した荷重の合計を求めよ。

(2) この荷重は、どの位置に置いた1つの力で置きかえられるか。

(3) A と B が梁を支える力をそれぞれ求めよ。

(4) 同じ合計の荷重が一様に分布していた場合と比べよ。また、梁自身の重さ を考えに入れると (3) はどう変わるか。

AB300 N/m6.0 m
左端で 0、右端で 300 N/m となる荷重が分布している梁。両端 A・B で支える
問37 うでの筋肉はなぜ荷物の何倍もの力を出すのか ★★★★ 難関てこ力のモーメント人体

ひじを直角に曲げ、前腕を水平にして手に荷物を持つ。ひじの関節を支点とすると、上腕の筋肉が前腕を引き上げる点は支点から 、手のひらは支点から の位置にある。前腕の重さは で、その重心は支点から の位置にある。手に持つ荷物の重さを とする。

(1) 筋肉が前腕を引き上げる力の大きさを求めよ。

(2) ひじの関節が前腕を押す力の大きさと向きを求めよ。

(3) 荷物を 倍の にすると、筋肉の力はいくら増えるか。

(4) このように支点のすぐそばを引く仕組みは、力の面では明らかに損である。それでも人体がこの形をしている理由を、筋肉の縮む長さと手の動く距離から説明せよ。

ひじ筋肉20 N50 N4.0 cm30 cm
ひじを直角に曲げ、前腕を水平にして荷物を持つ。筋肉が引く点は支点のすぐそばにある
問38 つり下げたモビールの重さを決める ★★★★ 難関力のモーメント重心多段

軽い棒と糸で、3段のモビールを作る。全体の重さは 分である。

  • いちばん上の棒: 糸でつるした点から左へ のところにおもり 、右へ のところに2段目の棒全体がぶら下がる。
  • 2段目の棒: つるした点から左へ におもり 、右へ に3段目の棒全体がぶら下がる。
  • 3段目の棒: つるした点から左へ におもり 、右へ におもり

すべての棒が水平につり合っているとする。

(1) と、2段目より下の全体の重さを求めよ。

(2) を求めよ。

(3) だけを 重くしてしまった。3段目の棒のつるす点をどこへ動かせば、3段目は水平に戻るか。

(4) (3) のあと、モビール全体はもとどおりつり合うか。

m₁20 cm10 cmm₂5.015 cmm₄m₅2.04.0
3段のモビール。棒と糸は軽く、全体で 90 g 分の重さがある
問39 腕の長さが違う天秤で正しい質量を出す ★★★★ 難関てこ天秤系統誤差

左右の腕の長さがわずかに違う天秤がある。ある品物の質量を測るのに、次の2回の測定を行った。

  • 1回目: 品物を左の皿に、分銅を右の皿に載せてつり合わせると、分銅は だった。
  • 2回目: 品物を右の皿に、分銅を左の皿に載せてつり合わせると、分銅は だった。

皿と腕自身の重さは左右で等しく、つり合いに影響しないものとする。

(1) 2回の測定値が違ってしまう理由を述べよ。

(2) 品物の本当の質量を求めよ。

(3) 左右の腕の長さの比を求めよ。

(4) 2回の測定値の平均 を答えとすると、本当の値より大きいか小さいか。理由とともに答えよ。

品物分銅腕 a腕 b左右の腕の長さがわずかに違う
腕の長さが違う天秤。1回目は品物を左に、2回目は左右を入れかえて測る
問40 自動車の重心はどこにあるか ★★★★ 難関重心反力測定

前輪と後輪の間隔(ホイールベース)が の自動車を、水平な床に置いた台ばかりに乗せて測ったところ、前輪にかかる力の合計が 、後輪が であった。

次に、後輪だけをジャッキで 持ち上げて車体を傾け、前輪にかかる力をもう一度測ると になった。前輪は水平な台ばかりの上にあり、車は動かないように止めてある。

(1) 車の重さと、重心の前後方向の位置を求めよ。

(2) 傾けたとき、前輪にかかる力が増えるのはなぜか。

(3) 重心の高さを求めよ。ただし傾きは、 の角である。

(4) 左右の車輪の間隔(トレッド)が のとき、この車が横向きの坂で横転し始める傾きの を求めよ。重心の高さが の車と比べよ。

前輪 9000 N後輪 6000 N2.5 m
水平な床で前後の車輪にかかる力を測る。前輪が右側にある
問41 積み木はどこまで張り出せるか 最難関編重心積み重ね調和級数

長さ の同じ積み木を、机の端から少しずつずらして積み上げる。 枚も落ちないようにしながら、いちばん上の積み木をできるだけ遠くまで張り出させたい。

上から数えて 枚目までのまとまりを考えると、その重心が「 枚目の右端」より内側にあれば崩れない。この条件から、上から 枚目は 枚目より だけ張り出せる。

どこまで出せるか
同じ積み木をずらして積む。上へ行くほど大きくずらせる。

(1) 枚のとき、いちばん上の積み木の右端は机の端から最大どれだけ出せるか。 を用いて表せ。

(2) 枚のときの最大の張り出しを、和の形で表せ。

(3) 枚のとき、張り出しは積み木 枚の長さを超えることを示せ。

(4) 張り出させるには何枚必要か。 で和を近似してよい( は自然対数、)。

問42 3 本脚は決まるが 4 本脚は決まらない 最難関編つり合いの条件静定モーメント

正三角形の頂点に 本の脚をつけたテーブルがある。天板は軽くて変形しないものとし、脚の位置を A、B、C とする。三角形の 辺の長さを 、A を原点、B を 、C を とする()。

天板の上に重さ のおもりを置く。

ABC重心3 本の脚の位置
正三角形の頂点に脚をつけたテーブルを真上から見た図。

(1) おもりを三角形の重心に置いたとき、各脚が受ける力を求めよ。

(2) おもりを辺 AB の中点に置いたとき、各脚が受ける力を求めよ。

(3) おもりを (C 寄り)に置いたときはどうか。

(4) 同じことを 本脚(正方形の頂点)のテーブルで考えると、各脚の力は決まらない。その理由を、未知数と方程式の数から説明せよ。

問43 天秤はどうすれば感度が上がるか 最難関編モーメント重心測定

天秤のはり(棒)は支点で支えられ、その重心は支点より だけにある。はりの質量は 、支点から皿までの腕の長さは左右とも である。

左右の皿に載せた質量に の差があるとき、はりは角 だけ傾いてつり合う。

とする。

支点重心hmm+ΔmL
天秤のはり。重心は支点より h だけ下にある(図は傾きを誇張してある)。

(1) 傾いた状態でのモーメントのつり合いから、 で表せ。

(2) ()のときの傾く角を求めよ。 とする。

(3) 感度(同じ に対する傾きの大きさ)を上げるには、 をどうすればよいか。

(4) 重心を支点と同じ高さ()にすると何が起こるか。また支点より上にするとどうなるか。

問44 ドアの蝶番にかかる力 最難関編モーメント偶力設計

重さ 、幅 のドアが、上下 つの蝶番で壁に取りつけられている。 つの蝶番の間隔は で、どちらもドアの回転軸の側にある。ドアの重心は中央にあるものとする。

上の蝶番下の蝶番b重心Wa = 0.80 m
ドアを横から(壁を左に)見た図。重心は蝶番の線から a/2 離れている。

(1) ドアにはたらく力をすべて挙げ、水平方向・鉛直方向・モーメントのつり合いの式を書け。

(2) 上下の蝶番が受ける水平方向の力の大きさを求めよ。それぞれの向きも答えよ。

(3) 蝶番の間隔 を半分にすると、水平方向の力はどうなるか。

(4) 上の蝶番だけが鉛直方向も支えているとすると、その蝶番が受ける力の大きさはいくらか。

問45 3 つの力の作用線は 1 点で交わる 最難関編つり合い作用線論証

大きさをもつ物体が つの力だけを受けてつり合っているとする(どの力も でないものとする)。

3 つの力を受けてつり合う物体
3 つの力だけを受けてつり合っている物体。作用線どうしの関係を考える。

(1) つの力の作用線が 点 P で交わっているとき、 番目の力の作用線も P を通ることを示せ。

(2) なめらかな鉛直の壁に、あらい水平な床から長さ の一様な棒を、床と の角で立てかける。棒にはたらく つの力を挙げ、そのうち つの作用線の交点を求めよ。

(3) (1) の性質を使って、床から棒にはたらく力の向き(水平からの角)を求めよ。 とする。

(4) 棒がすべらないために必要な静止摩擦係数の最小値を求めよ。

問46 半円板の重心はどこか 最難関編重心積分対称性

半径 の一様な半円板の重心を求めたい。直径を 軸、中心を原点とし、半円板は の側にあるとする。

Or = 0.30 m
一様な半円板。x 軸に平行な細い帯に切って考える。

(1) 対称性から、重心の 座標はいくらか。

(2) から の範囲を切り出した細い帯の面積を、 で表せ。

(3) 重心の 座標が となることを、帯を足し合わせて示せ。値も求めよ。

(4) 同じ半径の「半円の弧」(針金)の重心は である。板と弧のどちらが外側にあるか。理由を述べよ。

問47 加速する車の前後の荷重 最難関編モーメント慣性力応用

質量 の車が、水平な道を一定の加速度 で前進している。前輪と後輪の間隔(ホイールベース)は 、重心は前後のちょうど中央で、高さは である。 とする。

重心Mg加速の向きL = 2.5 m
加速する車。重心は前後の中央、高さ h の位置にある。

(1) 車とともに動く立場では、重心に後ろ向きの慣性力 がはたらくと考えられる。この立場で、前輪と後輪が受ける垂直抗力を で表せ。

(2) のときの前後の荷重を求めよ。静止時と比べてどれだけ移動したか。

(3) 前輪が浮き上がる加速度を求めよ。重力加速度の何倍か。

(4) で減速するときの前後の荷重を求めよ。

問48 箱はどの角度で引くのが楽か 最難関編摩擦最小値合成

重さ の箱を、水平な床の上でひもを使って引く。ひもは水平から角 だけ上向きにする。箱と床の動摩擦係数は で、箱は一定の速さで動いているものとする。

FθW
水平から角 θ だけ上向きにひもを引く。角度によって必要な力が変わる。

(1) 垂直抗力 と、必要な力 を、 を用いて表せ。

(2) (水平に引く)のときに必要な力を求めよ。

(3) を最小にする角 を求めよ。 とする。

(4) そのときの を求め、水平に引く場合と比べよ。

剛体のつり合いの解説 — つまずきやすい点と学習の順序