物理 / 剛体のつり合い
半円板の重心はどこか
問題
半径 の一様な半円板の重心を求めたい。直径を 軸、中心を原点とし、半円板は の側にあるとする。
(1) 対称性から、重心の 座標はいくらか。
(2) から の範囲を切り出した細い帯の面積を、 と で表せ。
(3) 重心の 座標が となることを、帯を足し合わせて示せ。値も求めよ。
(4) 同じ半径の「半円の弧」(針金)の重心は である。板と弧のどちらが外側にあるか。理由を述べよ。
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どの向きに切ると計算しやすいか。切った帯の重心の 座標は何か。
解答・解説
方針
重心の定義「位置 × 面積の和 ÷ 全体の面積」に従う。 軸に平行な帯に切ると、各帯の 座標が共通なので計算しやすい。帯の長さは三平方の定理で書ける。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 重心の定義は「」である。
問題は、どの向きに切るかである。 軸に平行な帯に切ると、帯ごとに 座標が違ってしまい面倒になる。
軸に平行な帯に切れば、 本の帯の中では が共通である。だから帯の面積さえ書ければ、和が素直に計算できる。
① 対称性。 半円板は 軸について左右対称なので
② 帯の面積。 高さ の位置での帯の長さは、円の方程式 から である。
③ 重心。 定義に従って足し合わせる。
分子を計算する。 とおくと だから
したがって
半径の約 倍で、中心寄りである。
④ 板と弧の比較。
弧の重心のほうが 倍外側にある。
理由は面積(長さ)の分布にある。板では、中心に近いほど帯が長く(面積が大きく)、外側へ行くほど短くなる。だから重心が中心寄りに引かれる。
弧では、どの部分も同じ太さの針金で、外周に沿って一様に分布している。中心寄りに集まる部分がないので、重心は板より外にある。
まとめ 帯に切る向きを選ぶこと、そして「どこに多く分布しているか」で重心の位置を予想すること。この つで重心の問題は見通しがよくなる。
発展 — 一歩先へ。 半円板の重心が と分かると、パップス・ギュルダンの定理を使って球の体積が出せる。
半円板を直径のまわりに 回転させると球になる。この定理によれば、回転体の体積は「もとの図形の面積 × 重心が動いた距離」である。
たしかに球の体積になる。
逆に、球の体積を知っていれば、この関係から半円板の重心が求まる。積分を使わずに重心が出せることになる。定理を「どちら向きに使うか」で、道具の使い道が広がる。
、帯の面積は 、、弧のほうが外側( は の 倍)
別解
球の体積から逆算するルート。 発展で触れた関係を、そのまま重心を求める道具として使える。
パップス・ギュルダンの定理は「回転体の体積 = もとの図形の面積 × 重心が動いた距離」である。
半円板()を 軸のまわりに 回転させると球になる。重心が半径 の円を描くので、動いた距離は である。
③ と一致する。積分を 回もしていない。
同じ手で半円の弧の重心も出せる。弧を回転させると球面になり、その表面積は 、弧の長さは だから
これも与えられた値と一致する。
「知っている量から未知の量を逆算する」というのは、公式を覚える負担を減らす有効な方法である。球の体積と表面積は誰でも覚えているので、そこから つの重心が引き出せる。
ポイント
- x 軸に平行な帯に切ると、帯の中で y が共通になる
- 帯の長さは 2√(r²−y²)
- y_G=4r/(3π)≈0.42r で中心寄り
- 弧の重心 2r/π は板の 1.5 倍外側(外周に一様に分布するため)
よくある間違い
- y 軸に平行な帯に切って計算を複雑にする
- 重心を半径の半分(0.5r)と思い込む
- 板と弧の重心を同じ値だと考える