物理 / 剛体のつり合い
円柱を段差に乗り上げさせる
問題
半径 、重さ の一様な円柱を、高さ の段差に乗り上げさせたい。円柱の軸(中心)に水平な力 を加えるとき、乗り上げ始めるのに必要な の最小値を求めよ。
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乗り上げる瞬間、床からの力は 0 になり、円柱は段差の角 P とだけ接している。P のまわりで F と重力のモーメントを比べよう。それぞれのうでの長さは、中心と P の位置関係(直角三角形)から三平方で出せる。
解答・解説
方針
乗り上げ始める瞬間、円柱は段差の角 P だけで支えられる。P まわりで、F のモーメント(うで=中心の高さ−段差)と重力のモーメント(うで=水平距離)がつり合う。うでは三平方で求める。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 乗り上げ始める瞬間、円柱を支えるのは段差の角 P ただ 1 点(床からの垂直抗力は 0)。P まわりのモーメントのつり合いが臨界条件になる。あとは、中心 O と P の位置関係から 2 つのうでの長さを幾何で出すだけである。
① うでの長さを求める。 中心 O は P より 高い。O と P の距離は半径 だから、水平距離は三平方で
- 水平な力 (中心に作用)のうで: 鉛直距離
- 重力(中心に作用)のうで: 水平距離
② P まわりのつり合い(臨界)。
③ 解く。
まとめ ——ここにも が現れる。段差が高いほど()重力のうでが伸び、 のうでが縮むので、必要な力は急増する。台車の車輪が大きいほど段差に強い理由が、この幾何に書かれている。
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別解
力の向きを工夫する視点(発展)。 力を中心に加えるとき、必要な力が最小になる向きは水平とは限らない。P まわりのうでが最大になるのは、O と P を結ぶ半径に垂直な向きに押すときで、そのときのうでは半径 そのもの。
水平押し()より 2 割も軽い。「同じ点に加えるなら、うでが最大になる向きが最小の力」——モーメントの定義から直接出る、覚えておいて損のない上級の視点である。
ポイント
- 乗り上げ臨界=段差の角の 1 点支持
- うでは三平方(0.3:0.4:0.5)
- 車輪が大きいほど段差に強い
よくある間違い
- F のうでを半径 0.50 m とする(鉛直距離 0.40 m)
- 重力のうでを半径とする(水平距離 0.30 m)
- 床からの垂直抗力を残したまま式を立てる