剛体のつり合いの解説

文: KOSNiZ·最終更新: 2026年9月2日

剛体のつり合いは、大きさのある物体(剛体)が静止する条件を扱う単元です。質点では「力のつり合い」だけでしたが、剛体では「回転しない条件」が加わります。それが力のモーメントのつり合いです。この記事では、モーメントの計算で迷わない方法、支点の選び方、重心の求め方、そして「倒れるか、すべるか」の判定を説明します。

モーメントは「力 × うでの長さ」

力のモーメントは、回転の中心から力の作用線までの距離(うでの長さ)と力の大きさの積です。力が斜めのときは、「力を分解して垂直な成分だけを使う」か「うでの長さを作用線までの垂線として縮める」かのどちらかで計算します。両方やると2重に がかかるので、どちらか一方だけです。力のモーメントの定義斜めに加えた力のモーメントで、この二者択一を確認してください。

剛体が静止する条件は、「力の和が0」と「任意の点まわりのモーメントの和が0」の2つです。ちょうつがい付きの棒(2つのつり合い条件)で、2つの条件を両方書く練習をしてください。

支点は「知りたくない力の作用点」に取る

モーメントのつり合いは、どの点を中心にしても成り立ちます。だから、未知の力(ちょうつがいの反力、支点の垂直抗力など)の作用点を中心にとると、その力のモーメントが0になって式から消え、未知数が減ります。「知りたくない力の作用点を支点にする」が、この単元で最も効く技術です。

シーソーや棒の問題(シーソーのつり合い2人で棒をかつぐ、標準の両端で支えた棒(非対称な荷重))で、支点の取り方によって式の長さが変わることを、実際に2通りで解いて確かめてください。2人でかつぐ問題の「重さは距離の逆比で配分される」という結果は、モーメントのつり合いの最も基本的な帰結です。

重心は「重さの重みつき平均」

複数の質点の重心は、位置を重さで重みづけした平均です。一様な棒なら中央、L字形やくり抜きのある板は、部分に分けて「各部分の重心に各部分の重さが集中している」とみて平均をとります。くり抜いた板は、「残った部分 + 穴の部分 = 元の板」という関係から、穴を「負の重さ」として扱うのが定石です。2物体の重心、標準のL字形の板の重心くり抜いた円板の重心で、この手順を確認してください。

倒れるか、すべるか

物体を押したり、台を傾けたりしたときに「倒れる」のは、重力の作用線が接地面の外に出るとき、「すべる」のは、必要な摩擦力が最大摩擦力を超えるときです。どちらが先に起こるかは、物体の幅と高さの比 と摩擦係数 の大小で決まります。斜面上の物体は倒れるか、標準の倒れるのが先か、すべるのが先か台を傾けていくと物体はどうなるか、応用の押す高さで変わる: すべるか倒れるかで、2つの条件を別々に計算して比べる手順を固めてください。

テーブルの端から板をどこまで出せるか(標準の同名の問題、応用の積み木のオーバーハング(2枚))は、「重心が支えの端を越えない」条件です。最難関編の積み木はどこまで張り出せるかでは、これを 枚に一般化すると調和級数が現れます。

はしごの問題

壁に立てかけたはしごは、この単元の代表的な題材です。床からの垂直抗力と摩擦力、壁からの垂直抗力(壁がなめらかなら摩擦なし)、重力を描き、力のつり合い2本とモーメントのつり合い1本を立てます。支点は「床との接点」にとると、床の2つの力が消えて壁の力だけが残ります。標準の立てかけたはしご(なめらかな壁)はしごに人が乗る、応用のすべらない条件(一般式)どこまで登れるか壁も床もあらいの順に、条件を増やしていってください。

つまずきやすいところ

最も多い誤りは、モーメントの符号(回転の向き)の取り違えです。反時計回りを正と決めたら、すべての力についてその向きで判定します。「支点の右側の下向きの力」と「左側の上向きの力」は同じ向きの回転です。図に回転の向きの矢印を描いてから式を立ててください。

次に、うでの長さを「支点から力の作用点までの距離」と混同することです。うでの長さは「作用線までの垂直距離」です。力が斜めのときは、この2つが違います。

学習の順序と次の単元へ

基礎12問でモーメント、シーソー、棒、偶力、重心、倒れる条件、ちょうつがいを確認し、標準12問で非対称な荷重、張り出し、はしご、重心の応用、倒れるかすべるか、傾ける台、糸で吊るした棒を扱い、応用8問ではしごの一般論、押す高さ、机の脚、段差の乗り上げ、積み木、クレーンへ進みます。

最難関編には、3本脚と4本脚の違い(静定と不静定)、天秤の感度、ドアの蝶番、3力の作用線が1点で交わること、半円板の重心、加速する車の荷重配分、箱を引く最適角など、つり合いの原理を深く扱う問題を集めました。次の「運動量と力積」からは動く物体の話に戻りますが、モーメントの考え方は、円運動のトルクや電磁気のコイルのトルク(モーターの原理)で再登場します。

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