原子の解説

文: KOSNiZ·最終更新: 2026年9月2日

原子は、高校物理の最後の単元で、光の粒子性(光電効果・コンプトン効果)、電子の波動性(ド・ブロイ波・電子回折)、水素原子のボーア模型、X線、原子核と放射線、核反応と質量欠損を扱います。計算量は少なく、「なぜそう考えるのか」の理解を問う分野です。この記事では、「光は波か粒か、電子は粒か波か」という二重性を軸に、各テーマをつなげて説明します。

光は粒でもある: 光電効果

金属に光を当てると電子が飛び出す光電効果は、光を波と考えると説明できません(強い光ほど速い電子が出るはずなのに、実際は振動数で決まる)。光を「エネルギー の粒(光子)」と考えると、( は仕事関数)で説明できます。振動数が限界振動数 より小さいと、どんなに強い光でも電子は出ません。光子のエネルギー光電効果限界振動数で確認し、標準のグラフからプランク定数(傾きが 、切片が )、阻止電圧、応用の総合で、「光の強さは光子の数、振動数は1個のエネルギー」の区別を固めてください。

エネルギーの単位には電子ボルト(eV)を使います。 で、原子物理の共通の通貨です(電子ボルト)。波長と光子のエネルギーの関係は、 と覚えておくと便利です。

コンプトン効果(標準の同名の問題、応用の波長変化)は、X線が電子にぶつかって波長が伸びる現象で、光子が運動量 をもつ粒であることの証拠です。運動量保存とエネルギー保存を連立して解く、力学の衝突問題と同じ構造です。

電子は波でもある: ド・ブロイ波

運動量 の粒子は、波長 の波として振る舞います(ド・ブロイ波)。電子線を結晶に当てると回折縞ができる(電子回折)のが、その証拠です。ド・ブロイ波長電子の運動量、標準の加速された電子のド・ブロイ波長、応用の電子回折で確認してください。加速電圧 で加速した電子の波長は で、電子顕微鏡の分解能の根拠です。

ボーア模型: とびとびの準位

水素原子のエネルギー準位は で、とびとびの値しかとれません。負の値は「束縛されている」ことを表し、上の準位ほど間隔が密になります。電子が高い準位から低い準位へ落ちるとき、その差のエネルギーをもつ光子を出します。エネルギー準位遷移放出される光の波長、標準のバルマー系列イオン化エネルギー、応用のスペクトルの系列で、「とびとびの準位が輝線スペクトルを生む」つながりを確認してください。

準位がとびとびになる理由は、ボーアの量子条件 (電子の物質波が円周上で定常波になる)です。これと、クーロン力を向心力とする円運動の運動方程式を連立すると、半径が に比例し、エネルギーが に比例することが導けます(標準のボーアの量子条件、応用の準位の導出)。力学の円運動と、波動の定常波が、原子の構造を決めている、という物理の総まとめです。

X線

高電圧で加速した電子を金属に当てるとX線が出ます。連続X線の最短波長は、電子の運動エネルギー がすべて光子になったときで、 です(光電効果の逆)。特性X線は、金属の原子の準位間の遷移で決まり、元素ごとに固有です。X線の最短波長と標準の連続スペクトルと特性X線で、「電圧で決まるもの」と「元素で決まるもの」を区別してください。

原子核: 質量とエネルギー、半減期

原子核の質量は、構成する陽子と中性子の質量の和より小さく(質量欠損)、その差 が結合エネルギー として放出されています。 の質量欠損は約 です。質量とエネルギーの等価性、標準の質量欠損と核結合エネルギー、応用の核反応のエネルギー核分裂のエネルギーで、核反応の前後の質量の差からエネルギーを求める手順を固めてください。

放射性崩壊は確率的に起こり、残る原子核の数は で減ります( は半減期)。α崩壊は質量数が4、原子番号が2減り、β崩壊は質量数は変わらず原子番号が1増えます(中性子が陽子に変わる)。半減期、標準の一般式放射性崩壊、応用の放射能と半減期の応用で確認してください。

学習の順序と入試での出方

基礎12問で光子、eV、光電効果、限界振動数、ド・ブロイ波、準位、遷移、波長、X線、、半減期を確認し、標準12問でプランク定数の測定、光電子の速さ、コンプトン、量子条件、バルマー系列、イオン化、X線、阻止電圧、電子の波長、質量欠損、半減期、崩壊を扱い、応用8問で光電効果の総合、準位の導出、系列、電子回折、コンプトンの波長変化、Q値、放射能、核分裂へ進みます。

この単元は概念問題が多く、図は光電効果の装置とグラフ、準位図、X線スペクトル、ボーア軌道と定常波の6枚に絞ってあります。入試では、光電効果のグラフ、ボーア模型の導出、核反応のエネルギー計算が定番で、力学(円運動・衝突)と波動(干渉・定常波)の知識がそのまま使われます。最難関編には、輻射圧とソーラーセイル、コンプトン散乱で電子が受け取るエネルギー、電子の二重スリット、フランク・ヘルツの実験、不確定性から原子の大きさを出す、太陽の寿命、放射平衡、ブラッグ反射など、現代物理の入り口になる問題を集めました。

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