物理 / 原子

核反応のエネルギー(Q 値)

★★★ 応用核反応質量とエネルギー

問題

ある核反応で、反応前後の質量の差(質量減少)が であった。(1) この反応で放出されるエネルギー(Q 値)を MeV で求めよ。 (2) この反応が核融合(軽い核が結合)か核分裂(重い核が分裂)かにかかわらず、質量が減ればエネルギーが放出される理由を述べよ。(エネルギー換算)とする。

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(1) 質量減少に 1u=931MeV を掛けるだけ。(2) 核反応の前後で、生成物の方が結合が強い(1 核子あたりの質量欠損が大きい)と、余った質量分がエネルギーになる——核融合(軽い核)でも核分裂(重い核)でも、より安定な鉄付近へ向かう反応でエネルギーが出る。

解答・解説

方針

Q=Δm×931MeV/u(1u=931MeVの換算)。質量減少=より安定な核へ→余剰質量がエネルギーに。核融合も核分裂も『質量減=エネルギー放出』。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 核反応の Q 値は「減った質量 × 931 MeV/u」で一発。(2)では、なぜ質量が減るとエネルギーが出るのかを、核の安定性の言葉で説明する。

① Q 値。

② 質量が減るとエネルギーが出る理由。 反応後の核の方が結合が強く(質量欠損が大きく)、より安定である。安定な状態に移ると、余った質量が でエネルギーとして放出される——「質量が減る=より安定な状態へ移り、その分のエネルギーを放出した」。

まとめ 核融合(軽い核 → 重い核)も核分裂(重い核 → 軽い核)も、共通して「より安定な核(鉄付近が最も安定)へ向かう」反応でエネルギーが出る。1 核子あたりの結合エネルギーは鉄()で最大——だから軽い核は融合して重く(太陽の水素→ヘリウム)、重い核は分裂して軽く(ウランの核分裂)なる方向にエネルギーを放出する。 は化学反応(数 eV)の数百万倍——原子力・水素爆弾・恒星のエネルギー源である。(基礎)と質量欠損(標準)が、この Q 値計算で結実する。物理の最後にふさわしい、質量とエネルギーの等価性の実用である。

(1) (2) 反応後の核の方が結合が強く(質量欠損が大きく)安定なため、余った質量が でエネルギーとして放出される。質量が減る=より安定な状態へ移った

別解

結合エネルギーの差で見るルート。 反応後の核の結合エネルギーの合計から反応前の合計を引くと、その差が Q 値になる(結合が強くなった分がエネルギーに)。質量欠損 は「結合エネルギーの増加 ÷ 」——質量の言葉でも結合エネルギーの言葉でも、同じ Q 値に着く。

「質量欠損の増加 = 結合エネルギーの増加 = 放出エネルギー」——3 つは同じことの言い換え。核反応の安定性(鉄に向かう)を、結合エネルギー曲線で理解すると、なぜ融合も分裂もエネルギーを出すのかが統一的に見える。

ポイント

  • Q=Δm×931 MeV/u
  • 質量減=より安定な核へ→エネルギー放出
  • 融合も分裂も鉄へ向かう

よくある間違い

  • 931 の換算を使わず J で止まる
  • 質量が増えるとエネルギーが出ると誤る
  • 融合と分裂を別原理と考える