物理 / 原子
ボーア模型のエネルギー準位の導出
問題
水素原子で、電子(質量 、電荷 )が陽子(電荷 )のまわりを半径 、速さ で等速円運動している。クーロン力が向心力となる。(1) 運動方程式を書け。 (2) 量子条件 と合わせると、半径が となることを示せ。 (3) エネルギーが となることを、言葉で説明せよ。
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(1) は円運動の運動方程式(向心力=クーロン力)。(2) は運動方程式と量子条件から v を消去して r を求める——n² に比例することを導く。(3) は全エネルギー(運動エネルギー+位置エネルギー)を r で書き、r∝n² を入れる。基礎の En=−13.6/n² が理論から出てくる。
解答・解説
方針
クーロン力=向心力の運動方程式+量子条件の連立。vを消去してrn∝n²。全エネE=K+U=−ke²/2r に代入してEn∝−1/n²。準位のとびとびが導ける。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 基礎で天下りに使った を、運動方程式(古典)+ 量子条件(ボーア)の連立で導く。ミクロの力学と量子化を組み合わせる、原子物理の金字塔である。
① 運動方程式。 クーロン力が向心力:
より 。
② 半径の量子化。 量子条件 から 。これを に代入:
半径は に比例(とびとび)。
③ エネルギーの量子化。 全エネルギーは運動エネルギー と位置エネルギー の和:
を入れると
係数を計算すると になる。
まとめ 「運動方程式(なぜ回れるか)+ 量子条件(なぜとびとびか)」——古典力学だけでは電子が核に落ち込むはず(加速する電荷は電磁波を出してエネルギーを失う)だったが、量子条件が定常波の軌道だけを許すことで原子が安定する。全エネルギーが (位置エネルギーの半分の符号)になるのは、円運動でビリアル定理()が効くため。この導出が、水素スペクトル(基礎・標準)の を第一原理から説明した——ボーアがノーベル賞を得た仕事である。
(1) (クーロン力=向心力) (2) 運動方程式から 、量子条件 を代入して を解くと (3) 全エネルギー(運動+位置)は で、 を入れると になる
別解
エネルギーの比だけ確かめるルート。 導出の細部が難しくても、 と の 2 つから は出る。——基礎の と一致。
「、 だから 」という比例関係の連鎖だけ押さえれば、係数()を導けなくても準位の構造は理解できる——導出の骨格を掴む練習である。
ポイント
- 運動方程式+量子条件の連立
- rn∝n²、En∝−1/n²
- 古典では落ち込む原子を量子条件が救う
よくある間違い
- 全エネルギーを K だけ(または U だけ)にする
- v の消去でべきを誤る
- 位置エネルギーの符号を落とす