物理 / 原子
電子回折とド・ブロイ波長
問題
電子を電位差 で加速し、結晶に当てると回折模様が現れた。(1) この電子のド・ブロイ波長を求めよ。 (2) 回折が起こったことは何を意味するか。 (3) 同じ実験を電圧 で行うと波長はどうなるか。電子の質量 、、 とする。
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(1) 加速電子の波長 λ=h/√(2meV) に代入。150 V の電子は約 0.1 nm=原子間隔と同程度だから結晶で回折する。(2) 粒子は回折しない——回折したこと自体が波の証拠。(3) 電圧が 4 倍なら √V が 2 倍、波長は 1/2。
解答・解説
方針
加速電子のド・ブロイ波長 λ=h/√(2meV)。回折=波の証拠(デビッソン・ガーマーの実験)。λ∝1/√V で電圧4倍→波長半分。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 電子回折は「粒子である電子が波として振る舞う」ことの直接の証拠(デビッソン・ガーマーの実験)。ド・ブロイ波長が結晶の原子間隔と同程度だから回折が起きる。
① ド・ブロイ波長。
② 回折の意味。 回折は波に固有の現象(光の回折格子と同じ)——電子が回折したことは、電子が波の性質(物質波)を持つことの決定的な証拠である。粒子(ビリヤードの球)なら回折しない。
③ 電圧を 4 倍に。 だから、 を 4 倍にすると が 2 倍、波長は半分:
まとめ の電子の波長 は結晶の原子間隔と同程度——だから結晶が回折格子として働き、電子の波が干渉して模様を作る(X 線回折の電子版)。この実験(1927 年)がド・ブロイの物質波を実証し、量子力学を確立した。電圧を上げれば波長が短くなり、より細かい構造まで見える(電子顕微鏡の分解能向上)。「光電効果=光が粒、電子回折=粒が波」——波と粒子の二重性が、光と物質の両側から確かめられた。物理の最終単元にふさわしい、ミクロの世界の本質である。
(1) (2) 電子が波の性質(物質波)を持つことの証拠(粒子なら回折しない) (3) で電圧 4 倍→波長は半分()
別解
波長を原子間隔と比べるルート。 回折が起きる条件は「波長 ≈ 格子間隔」—— が結晶の原子間隔()と同程度だから回折する。もし波長がずっと短ければ(高電圧)回折角が小さくなり、ずっと長ければ(低電圧)回折条件を満たさない。
「波長 ≈ 障害物のサイズ」で回折が顕著になるのは、光でも電子でも共通(波の単元)——電子の波長が原子サイズだからこそ、原子構造の解析に使える。二重性が実用技術(電子顕微鏡・電子回折)になっている。
ポイント
- λ=h/√(2meV)(加速電子)
- 回折=波の証拠(粒子は回折しない)
- λ∝1/√V(電圧で波長を制御)
よくある間違い
- 電圧 4 倍で波長 1/4 とする(1/√で 1/2)
- 回折を粒子性の証拠とする
- 波長の公式で 2me を落とす