物理 / 原子

ボーアの量子条件

★★ 標準原子構造ボーア模型

問題

ボーアの原子模型では、電子は「円周の長さが物質波(ド・ブロイ波)の波長の整数倍になる軌道」だけを回れる(量子条件)。(1) この条件を、軌道半径 、電子の速さ 、量子数 を使って式で表せ。 (2) この条件が、電子が定まった軌道だけを回る(エネルギー準位がとびとびになる)ことをどう説明するかを述べよ。

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電子の円軌道。円周が物質波の波長の整数倍になる軌道だけ許される
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電子を物質波と見ると、円軌道が 1 周してつながる(定常波になる)には、円周が波長のちょうど整数倍でなければならない——半端だと 1 周で波が打ち消し合ってしまう。この条件が『とびとびの軌道』を選び出す。

解答・解説

方針

量子条件: 円周2πr=n×(ド・ブロイ波長h/mv)。整理して mvr=nh/2π。物質波が円周上で定常波になる軌道だけ許される→とびとび。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 ボーアの量子条件は「電子の物質波が円軌道上で定常波になる」という要請である——円周が波長の整数倍でないと、1 周して波が自分自身と打ち消し合ってしまう。

① 量子条件の式。 円周 が、ド・ブロイ波長 の整数倍:

整理して

(左辺は角運動量——角運動量が の整数倍に量子化される、と読める。)

② とびとびになる理由。 整数 の軌道だけが物質波の定常波として安定に存在できる。半端な軌道では波が消えてしまい、電子は存在できない。だから許される軌道はとびとびで、各軌道ごとに決まったエネルギー()を持つ——エネルギー準位のとびとびが説明される。

円周=波長×整数(定常波)
物質波が 1 周してつながる(定常波)軌道だけが安定

まとめ 「円周 = 波長の整数倍」——弦の定常波(両端が節、)や気柱の共鳴と同じ「整数倍の条件」が、原子の中で起きている。物質波(ド・ブロイ)を持ち込むことで、「なぜ電子は決まった軌道だけを回り、原子核に落ち込まないのか」というボーアの謎(古典物理では説明できなかった)が解けた。 が最小の定常波(基底状態)——原子の安定性の量子力学的な根拠である。

(1) 円周 が波長 の整数倍: 、すなわち (2) 整数 の軌道だけが物質波の定常波として安定に存在でき、その軌道ごとに決まったエネルギーを持つため、準位がとびとびになる

別解

弦の定常波との対応で覚えるルート。 両端を固定した弦では、長さが半波長の整数倍()のモードだけが定常波になる(波の単元)。円軌道は「端のない弦」なので、1 周してつながる条件は「円周 = 波長の整数倍」()——端の条件がない分、 でなく整数になる。

「弦=両端固定で半波長の整数倍、円=端なしで全波長の整数倍」——定常波の条件が、原子の軌道の量子化に直結している。波の知識が原子物理を照らす好例である。

ポイント

  • 2πr=nλ=n(h/mv)→mvr=nh/2π
  • 物質波の定常波の条件
  • とびとびの軌道・準位の根拠

よくある間違い

  • 円周を πr や r とする
  • 半波長の整数倍とする(円は全波長)
  • 量子条件と遷移(スペクトル)を混同する