物理 / 原子

イオン化エネルギー

★★ 標準原子構造

問題

水素原子()について、(1) 基底状態()の電子を原子から完全に取り去る(イオン化する)のに必要なエネルギー(イオン化エネルギー)を求めよ。 (2) このエネルギーを、 から への遷移で放出される光子(基礎で )と比べよ。

ヒントを見る

イオン化は電子を無限遠(n=∞、E=0)まで引き離すことである。必要なエネルギーは基底状態のエネルギーの深さ(0 との差)に等しい。n=2 までの遷移と比べて、どちらが大きいエネルギーを要するか。

解答・解説

方針

イオン化=n=1からn=∞(自由)へ。必要エネルギー=E∞−E1=0−(−13.6)=13.6eV。基底状態の深さそのもの。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) イオン化は「電子を から (自由、)まで引き離す」ことである。必要なエネルギーは基底状態の深さそのものである。

① イオン化エネルギー。

② 遷移との比較。 の遷移は準位差 (基礎)。イオン化は なので、イオン化の方が大きい。 から (まだ束縛)へ上げるより、(完全に自由)まで引き離す方が大きなエネルギーが要る、と準位図で見れば当然。

まとめ は水素のイオン化エネルギーで、基底状態の深さと同じ値。準位図で見ると、 から (自由)までの「井戸の深さ」がそのままイオン化エネルギーになる。()、()、……()と、上の準位ほど間隔が詰まり、 に収束する。遷移エネルギーの上限がイオン化エネルギーである。 の光(紫外)を当てれば水素はイオン化する。

答

(1) (2) イオン化()の方が大きい。基底状態から完全に自由()にするので、 までの遷移()より大きなエネルギーが要る

別解

準位の集積から見るルート。 からの遷移エネルギーは と増え、 に限りなく近づく(収束する)。イオン化エネルギーはこの遷移エネルギー列の「行き着く先(上限)」である。

束縛状態間の遷移のエネルギーは自由への遷移(イオン化)を上限として近づいていく。準位が に集積するので、遷移エネルギーの収束先がイオン化エネルギーと一致する。基礎の準位図の「上ほど密」がここで役に立つ。

ポイント

  • イオン化=E∞−E1=13.6 eV
  • 基底状態の深さそのもの
  • 遷移エネルギーの上限

よくある間違い

  • n=1→2 の遷移と混同する
  • 符号を誤り −13.6 とする
  • n=∞ で E=0 を使わない