物理基礎

電気とエネルギーの利用 — オームの法則・電力・交流と送電

静電気と電流、オームの法則、抵抗率、抵抗の直列・並列接続、電力とジュール熱、交流と変圧・送電、電磁波の概要を扱います。

全 32 問(★基礎 12・★★標準 12・★★★応用 8)

問1 帯電と電荷の保存 ★ 基礎静電気電荷の保存

同じ大きさの金属球 A、B がある。A は 、B は に帯電している。2 球を接触させてから離すと、それぞれの球の電気量はいくらになるか。

問2 電流の定義(I=Q/t) ★ 基礎電流電気量

導線のある断面を、 秒間に の電気量が通過した。このときの電流の大きさを求めよ。また、導線の中を実際に移動している粒子は何か。

問3 電気量の計算(Q=It) ★ 基礎電流電気量

の一定の電流を 秒間流した。導線の断面を通過した電気量は何 C か。

問4 オームの法則(電圧を求める) ★ 基礎オームの法則

抵抗値 の抵抗に の電流が流れている。抵抗の両端に加わっている電圧を求めよ。

R=20 ΩI=0.30 AV=?
20 Ω の抵抗に 0.30 A。両端の電圧 V を求める
問5 オームの法則(抵抗を求める) ★ 基礎オームの法則電流計・電圧計

ある抵抗に の電圧を加えたところ、 の電流が流れた。この抵抗の抵抗値を求めよ。

AVR0.40 A12 V
電圧計 V は抵抗に並列、電流計 A は直列につなぐ
問6 抵抗率と抵抗(R=ρL/S) ★ 基礎抵抗率

抵抗率 のニクロム線がある。長さ 、断面積 のとき、この線の抵抗値を求めよ。

断面積 S長さ L抵抗率 ρ
導線の抵抗は、長さ L に比例し断面積 S に反比例する
問7 抵抗の直列接続 ★ 基礎直列接続合成抵抗

の抵抗を直列につなぎ、 の電源に接続した。合成抵抗と、回路を流れる電流を求めよ。

10 V20 Ω30 ΩI
直列接続。道は 1 本で、電流 I はどこでも同じ
問8 抵抗の並列接続 ★ 基礎並列接続合成抵抗

の抵抗を並列につないだ。合成抵抗を求めよ。

20 Ω30 Ω
並列接続。道が 2 本に分かれ、両抵抗の電圧は共通
問9 電力(P=VI) ★ 基礎電力

の電源につないだ電気器具に の電流が流れている。この器具の消費電力を求めよ。

100 V器具5.0 A
100 V で 5.0 A 流れる器具。1 秒あたりのエネルギーが電力 P=VI
問10 電力量(W=Pt と kWh) ★ 基礎電力量

消費電力 の電気ストーブを 時間使った。消費した電力量は何 kWh か。また、それは何 J か。

問11 ジュール熱(Q=RI²t) ★ 基礎ジュール熱

抵抗値 の電熱線に の電流を 秒間流した。電熱線で発生する熱量を求めよ。

電熱線 10 Ω2.0 A発熱 Q
電熱線では電気エネルギーがすべて熱になる(60 秒間)
問12 交流の周波数と周期 ★ 基礎交流

東日本の家庭用コンセントの交流の周波数は である。(1) この交流の周期を求めよ。(2) 電流の向きは 1 秒間に何回変わるか。

問13 電流と自由電子の個数 ★★ 標準電流電気素量

導線に の電流が流れている。 秒間に導線の断面を通過する自由電子の個数を求めよ。電気素量(電子 1 個の電気量の大きさ)を とする。

この断面を 1.0 秒に n 個電子I=1.6 A
1.0 秒間に断面を通る電子の総電気量が 1.6 C になる
問14 導線の形と抵抗の変化 ★★ 標準抵抗率

ある導線 A の抵抗は である。A と同じ材質で、長さが 倍、断面積が 倍の導線 B の抵抗は R の何倍か。

SA: 長さ LS/2B: 長さ 2L
B は A より長く(2倍)細い(断面積 1/2)。どちらも抵抗を増やす向きに効く
問15 直列回路の電圧配分 ★★ 標準直列接続オームの法則

の抵抗を直列につなぎ、 の電源に接続した。回路を流れる電流と、各抵抗に加わる電圧を求めよ。

10 V10 Ω15 ΩIV₁V₂
直列回路。共通の電流 I を先に求め、V₁・V₂ を配分する
問16 並列回路の電流配分 ★★ 標準並列接続オームの法則

の抵抗を並列につなぎ、 の電源に接続した。各抵抗を流れる電流と、電源から流れ出る全電流を求めよ。

6.0 V10 Ω15 ΩII₁I₂
並列回路。両枝とも電圧 6.0 V が共通で、電流が分かれる
問17 直列と並列の混合回路 ★★ 標準合成抵抗混合回路

の抵抗 を並列にし、それに の抵抗 を直列につないで、 の電源に接続した。(1) 回路全体の合成抵抗 (2) 電源を流れる電流 (3) を流れる電流をそれぞれ求めよ。

12 VR₁=3.0 ΩR₂=6.0 ΩR₃=6.0 ΩI
R₂・R₃ の並列に R₁ が直列。並列部を 3.0 Ω にまとめてから解く
問18 定格(100 V - 1000 W)の器具 ★★ 標準電力オームの法則

- 」と表示された電熱器を の電源で使う。(1) 流れる電流 (2) 電熱器の抵抗値をそれぞれ求めよ。

100 V100 V-1000 WI=?
定格 100 V-1000 W の電熱器。定格どおり 100 V で使う
問19 電力量と電気料金 ★★ 標準電力量生活と電気

消費電力 の電気ヒーターを、毎日 時間、 日間使った。(1) 消費した電力量は何 kWh か。(2) 電気料金が あたり 円のとき、この使用でかかる料金を求めよ。

t [時間]P [kW]O0.51日目2日目3日目 …毎日 1.0 kWh ずつ積み上がる
0.5 kW×2 時間=1.0 kWh が毎日積み上がり、30 日で 30 kWh
問20 電熱器による水の加熱(熱との融合) ★★ 標準ジュール熱比熱

消費電力 の電熱器で、水 秒間加熱した。発生した熱がすべて水に吸収されるとき、水の温度は何 K 上昇するか。水の比熱を とする。

水 200 g電熱器 420 W60 s
420 W の電熱器で水 200 g を 60 秒加熱する
問21 送電と電力損失 ★★ 標準送電電力損失

発電所から電力 を、抵抗 の送電線で送る。(1) 送電電圧が のとき、送電線で失われる電力を求めよ。(2) 送電電圧を にすると、失われる電力はいくらになるか。

発電所利用先送電線 r=0.50 ΩI
発電所から送電線(抵抗 0.50 Ω)を通して電力を送る
問22 変圧器(電圧比と電力保存) ★★ 標準変圧器交流

理想的な変圧器の一次コイルの巻数は 回、二次コイルの巻数は 回である。一次側に の交流電圧を加えた。(1) 二次側の電圧を求めよ。(2) 二次側で の電力を取り出しているとき、一次側の電流を求めよ。

6000 VN₁=2000N₂=100600 W
変圧器。巻数比 20:1 で 6000 V→300 V。理想変圧器では P₁=P₂
問23 交流波形のグラフの読み取り ★★ 標準交流グラフの読み取り

図は、ある交流電圧の時間変化を表すグラフである。(1) この交流の周期を読み取れ。(2) 周波数を求めよ。

t [s]VO0.010.020.030.04
ある交流電圧の波形
問24 電磁波の波長と種類 ★★ 標準電磁波

FM ラジオ放送は周波数 ()の電磁波を使う。電磁波の速さを として、(1) この電磁波の波長を求めよ。(2) 可視光線と比べて、この電磁波の波長は長いか短いか。

電波赤外線可視紫外線X線γ線波長が長い波長が短い
電磁波のスペクトル。FM の電波(波長 3.8 m)は最も長い側にある
問25 電池の内部抵抗と端子電圧 ★★★ 応用内部抵抗オームの法則

起電力 、内部抵抗 の電池に、 の抵抗をつないだ。(1) 回路を流れる電流 (2) 電池の端子電圧(電池の両端の電圧)をそれぞれ求めよ。

E=3.0 Vr=0.50 ΩR=1.0 ΩI
電池は起電力 E と内部抵抗 r の直列として描き直す(左辺全体が 1 個の電池)
問26 3 本の抵抗の組み合わせ ★★★ 応用合成抵抗混合回路

の抵抗が 3 本ある。この 3 本すべてを使ってできる合成抵抗のうち、(1) 最大のもの (2) 最小のもの (3) 「2 本を並列にし、それに 1 本を直列につないだ」もの (4) 「2 本を直列にし、それに 1 本を並列につないだ」もの、をそれぞれ求めよ。

(1) 全直列(2) 全並列(3) 並列に 1 本直列(4) 直列 2 本に並列
6.0 Ω×3 本の 4 つの接続。並列部分を先にまとめる
問27 電球の電流-電圧特性(非オーム抵抗) ★★★ 応用オームの法則グラフの読み取り

図は、ある白熱電球の電流-電圧特性(加えた電圧と流れる電流の関係)である。グラフは原点を通る直線にならず、上に凸の曲線になっている。(1) を加えたときの電球の抵抗値と消費電力を求めよ。(2) 電圧が低いときと高いときで、抵抗値はどちらが大きいか。グラフから読み取り、その理由を「温度」という語を用いて説明せよ。

V [V]I [A]O1000.50250.25
電球の I-V 特性。上に凸=電圧を上げるほど電流が伸びにくい(抵抗増)
問28 電熱器で氷を溶かす(潜熱との融合) ★★★ 応用ジュール熱潜熱

消費電力 の電熱器で、 ℃ の氷 を加熱する。発生した熱がすべて氷に吸収されるとき、氷をすべて ℃ の水にするのに必要な時間を求めよ。氷の融解熱を とする。

問29 送電損失の一般式(文字式) ★★★ 応用送電電力損失文字式

発電所から電力 を電圧 で送り出す。送電線全体の抵抗を とする。(1) 送電線を流れる電流を で表せ。(2) 送電線で失われる電力 で表せ。(3) 送電電圧を 倍にすると、失われる電力は何倍になるか。

発電所利用先電力 P・電圧 V送電線 rI損失 p
電力 P を電圧 V で送り出す。送電線の抵抗は r
問30 混合回路と消費電力の比較 ★★★ 応用混合回路電力

の抵抗 に、 の抵抗 の並列部分を直列につなぎ、 の電源に接続した。(1) 電源を流れる電流 (2) の消費電力をそれぞれ求めよ。(3) 3 つの抵抗のうち、最も発熱が大きいのはどれか。

12 VR₁=4.0 ΩR₂=4.0 ΩR₃=4.0 ΩI
同じ 4.0 Ω が 3 本。R₁ だけ全電流が流れるので発熱が集中する
問31 家庭の配線とブレーカー ★★★ 応用生活と電気並列接続電力

家庭のコンセントは で、各器具は並列につながれている。ある部屋の回路には でブレーカーが落ちる(電流を遮断する)装置が付いている。この回路でエアコン()と電子レンジ()を使用中に、ドライヤー()を使い始めた。(1) 3 つの器具を同時に使ったときの合計電流を求めよ。(2) ブレーカーは落ちるか。(3) 定格 のテーブルタップ 1 本にまとめてつないでよいのは、合計何 W までの器具か。

100 Vブレーカー 20 A800 W600 W1200 W合計 I
家庭の器具は並列。合計電流がブレーカーの 20 A を超えると遮断される
問32 発電所からの送電(総合) ★★★ 応用送電変圧器電力損失

発電所が電力 を送り出す。変圧器で送電電圧を に上げてから、全体の抵抗が の送電線で送る。(1) 送電線を流れる電流 (2) 送電線で失われる電力と、送り出した電力に対するその割合 (3) 利用先に届く電力をそれぞれ求めよ。

発電所利用先5.0×10⁵ W変圧器(昇圧)送電線 4.0 Ω1.0×10⁴ V・I
発電所から変圧器で昇圧し、送電線を通して利用先へ送る

電気とエネルギーの利用の解説 — つまずきやすい点と学習の順序