電気とエネルギーの利用の解説

文: KOSNiZ·最終更新: 2026年9月2日

物理基礎の「電気とエネルギーの利用」は、電流・電圧・抵抗の関係(オームの法則)から始まり、回路の計算、電力とジュール熱、交流と送電まで、身の回りの電気を一通り扱う単元です。計算は四則演算だけで済みますが、直列と並列で「何が共通で何が分かれるか」を取り違えると、簡単な回路でも答えがずれます。この記事では、その判断の軸と学習の順序を説明します。

電流・電圧・抵抗の関係

電流 は、1秒間に導線の断面を通る電気量で、 です。電圧 は電流を流そうとする「押す力」の大きさ、抵抗 は電流の流れにくさで、3つの関係がオームの法則 です。

抵抗の大きさは導線の形で決まり、長さ に比例し、断面積 に反比例します。 が抵抗率で、材質ごとの定数です。抵抗率と抵抗(R=ρL/S)と標準の導線の形と抵抗の変化で、「同じ導線を2倍に引き伸ばすと抵抗は4倍になる」(長さ2倍、断面積1/2)という計算を確認してください。

直列と並列の見分け方

回路の計算で迷ったら、次の2行を思い出してください。

直列では電流が共通で、電圧が抵抗の大きさに比例して分かれます。合成抵抗は足し算です。

並列では電圧が共通で、電流が抵抗の大きさに反比例して分かれます。合成抵抗は逆数の和の逆数で、必ずどの抵抗よりも小さくなります。

基礎の抵抗の直列接続抵抗の並列接続で合成抵抗を、標準の直列回路の電圧配分並列回路の電流配分で配分の計算を練習し、直列と並列の混合回路で組み合わせます。混合回路は「内側の並列を先に1つの抵抗にまとめ、外側の直列で電流を求め、それを内側に戻して配分する」という順序で解きます。

電力・電力量・ジュール熱

電力 は1秒あたりに消費されるエネルギーで、単位は W(ワット)です。オームの法則と組み合わせると とも書けます。電力量 は消費したエネルギーの合計で、家庭の電気料金では kWh(キロワット時)で数えます。1 kWh は 1000 W を1時間使ったエネルギーで、3.6×10⁶ J です。

抵抗で発生する熱がジュール熱で、 です。この熱で水を温める問題(電熱器による水の加熱)では、電気のエネルギー を熱量 に等しいとおきます。「熱とエネルギー」の単元との融合問題で、単位を J にそろえてから計算するのがコツです。

つまずきやすいところ

最も多い誤りは、定格表示の読み方です。「100 V - 1000 W」の器具は、100 V をかけたときに 1000 W 消費するという意味で、抵抗は と逆算できます。この抵抗値を使えば、別の電圧をかけたときの消費電力も求まります。定格(100 V - 1000 W)の器具で手順を確認してください。

次に多いのが、電力の比較で直列と並列を混同することです。直列なら電流が共通なので で抵抗の大きいほうが多く消費し、並列なら電圧が共通なので で抵抗の小さいほうが多く消費します。応用の混合回路と消費電力の比較で、どちらの式を使うかを回路の形から判断する練習ができます。

送電の問題では、「送電線の抵抗で失われる電力 を減らすには電流を減らせばよく、同じ電力を送るなら電圧を上げれば電流が減る」という筋道を理解していないと、数値だけ追って迷います。送電と電力損失変圧器(電圧比と電力保存)、応用の送電損失の一般式発電所からの送電(総合)の順に進めば、この筋道が文字式まで含めて追えます。

学習の順序

基礎12問は、電荷と電流の定義、オームの法則、抵抗率、直列・並列、電力・電力量・ジュール熱、交流の周期と周波数と、教科書どおりの順に並んでいます。標準12問で回路の配分計算、定格、電気料金、水の加熱、送電、変圧器、交流波形の読み取り、電磁波を扱います。応用8問には、電池の内部抵抗、3本の抵抗の組合せ、電球の電流-電圧特性(オームの法則が成り立たない抵抗)、氷を溶かす(潜熱との融合)、家庭の配線とブレーカーを置きました。

この単元の回路図はすべて JIS の記号で描いてあります。抵抗は箱形、電池は長い線が正極です。回路図を自分でかき直してから式を立てる習慣をつけると、混合回路で迷いません。

電池の内部抵抗と、電球が「オームの法則に従わない」理由

応用に入ると、理想的な電池や抵抗からずれる2つの話題が出てきます。

1つは電池の内部抵抗です。実際の電池は、起電力 の理想的な電池に小さな抵抗 が直列につながったものとして扱えます。電流 が流れると、端子電圧は で、電流が大きいほど下がります。この式は「電流を横軸、端子電圧を縦軸」にとると切片 、傾き の直線になるので、グラフから起電力と内部抵抗が読めます。電池の内部抵抗と端子電圧で確認してください。

もう1つは電球のような、温度で抵抗が変わる素子です。フィラメントは電流が大きいほど高温になり、抵抗が増えます。電流と電圧の関係が直線にならないので、抵抗値を1つの数で表せません。こうした素子を含む回路では、「素子の特性曲線」と「回路の条件から出る直線」を同じグラフに描き、交点で電流と電圧を決めます。電球の電流-電圧特性(非オーム抵抗)は、この読み取りの入門です。専門の物理の「直流回路」で本格的に扱います。

定期テストと入試での出方

定期テストでは、オームの法則、合成抵抗、電力と電力量、ジュール熱の計算が中心です。基礎と標準を一通り解けば対応できます。共通テストの物理基礎では、電球の明るさの比較(電力の比較)や送電の仕組みが、グラフや文章の読み取りとして出題されます。

次の単元へ

専門の物理では、「直流回路」でキルヒホッフの法則、電池の内部抵抗、コンデンサーを含む回路を扱います。この単元の直列・並列の判断と電力の式は、そのまま前提になります。「電磁誘導と交流」では、この単元で触れた変圧器と交流の仕組みを、式で扱えるようになります。

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