高校数学のつまずきマップと単元の戻り先

文: KOSNiZ·最終更新: 2026年9月3日

数学は積み上げの科目です。だから「いま習っている単元が解けない」とき、原因がその単元にあるとは限りません。というより、たいてい前の単元にあります。三角関数の合成ができない人の多くは、合成ではなく加法定理か、もっと手前の三角比でつまずいています。

「解けない症状」から「戻るべき単元」を探すときは、下の単元のつながりと症状別の表を使ってください。戻るのは遠回りに見えますが、前の単元が欠けたまま先へ進んでも理解は積み上がらないので、結局はこのほうが早く進めます。

高校数学の3つの系統

高校数学の単元は、大きく3つの系統に沿って積み上がっています。

系統1: 代数・関数

数と式 → 2次関数 → 2次方程式・2次不等式 → 式と証明・複素数と方程式 → 指数関数・対数関数 → 微分・積分 → 数IIIの微分法・積分法

系統2: 図形

図形と計量(三角比)・図形の性質 → 図形と方程式 → 三角関数 → 平面ベクトル・空間ベクトル → 複素数平面・平面上の曲線

系統3: 離散・確率

集合と命題 → 場合の数 → 確率 → 数列 → 漸化式 → 統計的な推測・極限

自分が解けない単元がどの系統にあるかを見て、1つ手前をチェックするのが基本です。

症状別の戻り先

よくある「症状」と戻り先を表にします。心当たりのある行から読んでください。

症状 本当の原因になりやすい場所 戻り先
2次関数の場合分けで混乱する グラフと軸・定義域の関係が曖昧 2次関数の★で頂点と軸の練習
2次不等式の向きをよく間違える グラフで解を読む習慣がない 2次方程式・2次不等式の★
正弦定理・余弦定理の使い分けに迷う 三角比の定義(直角三角形と単位円)が曖昧 図形と計量の★
三角関数の合成ができない 加法定理が手に馴染んでいない 三角関数の加法定理の問題
指数・対数の方程式で詰まる 指数法則と対数の定義の往復が遅い 指数関数・対数関数の★
微分はできるが最大最小の文章題が解けない 増減表とグラフの読み書き 微分の増減・極値の問題
積分の面積で符号を間違える 「上-下」の考え方とグラフの上下関係 積分の面積の基本問題
確率で数え漏れ・重複が出る 場合の数の数え方(順列・組合せの区別) 場合の数の★★
漸化式が特性方程式の暗記になっている 等差・等比・階差の3つの型 数列の★、その後漸化式の★
ベクトルの内分・外分で手が止まる 位置ベクトルの考え方 平面ベクトルの★
数IIIの極限の式変形が思いつかない 数列の極限と有理化・因数分解の型 関数と極限の★★
数IIIの積分計算が遅い・よく間違える 数IIの積分と微分の公式の逆引き 積分法の計算の★を毎日数問

戻り方のコツ

戻ると決めたら、戻り先の単元の★(基礎)を最初から解いてください。「知っているつもり」の問題ほど飛ばしたくなりますが、症状が出ている以上、どこかに欠けがあります。★は1単元12問なので、1〜2日で1周できます。

★が全部すらすら解けたら、原因はもう1つ手前か、いま学んでいる単元の中にあります。その場合は、元の単元に戻って★から順に上がり直してください。

戻ることをためらう人は多いですが、学年が上がってから戻る人のほうが、当時より速く理解できます。前より頭が良くなっているからではなく、後の単元を知っているぶん「なぜこれを学ぶのか」が見えるからです。

数学Cと統計、数学IIIの応用の戻り先

上の表に入っていない単元についても、戻り先を挙げておきます。

症状 本当の原因になりやすい場所 戻り先
空間ベクトルで図が想像できない 平面ベクトルの位置ベクトルと内積 平面ベクトルの★★、それから空間ベクトルの★の図を描き写す
複素数平面の回転がわからない 極形式と三角関数の加法定理 三角関数の加法定理、複素数平面の★「極形式」
2次曲線の焦点の位置を間違える 定義(距離の和・差)から式を導いていない 平面上の曲線の★を、定義から式を導きながら
統計で信頼区間の式が立てられない 標本平均の標準偏差が になる理由 統計的な推測の★「標本平均の期待値と標準偏差」
数IIIのグラフの概形で漸近線を落とす 極限の計算(∞/∞・0/0の型) 関数と極限の関数の極限、それから微分法の応用の★★「漸近線つき」
数IIIの回転体の式が立てられない 「断面の円板を積む」意味がつかめていない 積分法の応用の★「回転体(直線)」で円錐の体積から
軌跡で除外点を落とす 同値変形の条件(分母・2乗) 集合と命題の必要条件・十分条件、軌跡と領域の★

単元ページの記事にも「つまずきやすいところ」がある

各単元には解説記事があり(単元ページのいちばん下にリンクがあります)、「つまずきやすいところ」の節で、その単元で多い失点の型と、対策になる問題を挙げてあります。この地図で戻り先の単元を決めたら、その単元の記事のこの節を先に読むと、どの問題から解けばよいかがわかります。

物理でつまずいている場合は、物理のつまずきマップに、物理基礎と物理の19単元について同じ形式でまとめてあります。物理の計算で止まる原因が数学にある場合(三角比の分解・ベクトルの合成・2次方程式の解の吟味)も、そちらに書いてあります。