単振動の解説

文: KOSNiZ·最終更新: 2026年9月2日

単振動は、ばね振り子や単振り子のように「中心に戻ろうとする力を受けて往復する運動」を扱う単元です。円運動の正射影として定義され、加速度が変位に比例して逆向き()という1つの性質から、周期・速度・エネルギーがすべて導かれます。この記事では、この性質を軸に、いろいろな振動が「同じ式」になることを説明します。

単振動の定義と基本量

等速円運動を横から見ると(正射影)、往復運動が見えます。これが単振動で、円運動の角速度 が単振動の角振動数、半径 が振幅です。周期 、最大速度 、最大加速度 で、加速度と変位の関係は です。円運動の正射影としての単振動最大速度と最大加速度加速度と変位の関係で、円運動との対応を図で確かめてください。

のとき、速度は 、加速度は で、位相が 周期ずつずれます。標準の単振動の式の読み取り位置・速度・加速度の位相関係x-t・v-t・a-t グラフの対応で、3つのグラフを縦線で読む練習をしてください。

復元力が なら単振動

物体にはたらく力が ()の形なら、運動方程式 から 、周期 です。ばね振り子なら 、単振り子なら小さい角で です。復元力水平ばね振り子の周期単振り子の周期で確認し、応用のばね振り子の周期の導出単振り子の周期の導出で導出まで追ってください。

周期は振幅によらない(等時性)というのが単振動の特徴で、等時性で振幅の違う2つの振動のグラフを比べてあります。

鉛直ばね振り子は「中心がずれるだけ」

鉛直につるしたばね振り子では、重力の分だけつり合いの位置が下がりますが、その位置を中心とする単振動になり、周期は水平のときと同じです。重力は「中心をずらすだけで、周期には影響しない」というのがこの型の要点です。鉛直ばねのつり合いの伸び鉛直ばね振り子の周期、標準の振動の範囲、応用の中心の証明で確認してください。斜面上のばね振り子(標準の同名の問題)も同じ理屈で、 が中心をずらすだけです。

「振幅は中心からのずれ」なので、自然長から手を放したときの振幅は「自然長とつり合いの位置の差」です。ここを取り違える誤りが最も多いので、数直線に「自然長・つり合いの位置・端」の3点を書き込んでから式を立ててください。

エネルギーと途中の速さ

単振動のエネルギーは で一定です。変位 での速さは で、これは円運動の正射影から幾何的にも、エネルギー保存からも出ます。単振動のエネルギー、標準のエネルギー保存で途中の速さを求める、応用のv=ω√(A²−x²) の導出で、2通りの導出を見比べてください。

いろいろな単振動

ばねの並列は が足し算、直列は逆数の和です(標準の並列直列)。水に浮かぶ物体は、押し込むと余分な浮力 が戻すので、「水がばねの役割をする」単振動です(標準の同名の問題、応用の浮体の振動の文字式)。U字管内の液体、地球を貫くトンネルも同じ構造で、「変位に比例する復元力を見つけて を読む」だけで周期が出ます(応用のU字管地球を貫くトンネル)。地球トンネルの周期が低軌道衛星の周期と同じ約85分になるのは、円運動の正射影という定義の帰結です。

弾丸がばねにつながれた物体に当たる問題(応用の弾丸の衝突とばね振動)は、衝突の瞬間は運動量保存、その後の振動はエネルギー保存で、運動量の単元と同じ幕分けです。

つまずきやすいところ

上に述べた「自然長と中心の取り違え」のほかに、加速する電車内の単振り子(標準の同名の問題)で、見かけの重力 を使わずに のまま計算する誤りが多いです。慣性力を含めた「見かけの重力」で とします。

学習の順序と次の単元へ

基礎12問で基本量、正射影、最大速度と加速度、復元力、ばね振り子、等時性、鉛直ばね、単振り子、月面、エネルギーを確認し、標準12問で式の読み取り、位相、質量の変更、鉛直ばねの範囲、秒振り子、途中の速さ、グラフ、合成ばね、斜面、浮体、電車内を扱い、応用8問で4本の導出、浮体の文字式、U字管、地球トンネル、弾丸との融合へ進みます。

難関(★★★★)には、振動する台の上で滑り出す条件、途中から放したときの位相、エレベーター内の振り子とばね、振り子時計の狂い、2つの振り子の再会、リサージュ、ばねを切る、重力加速度の測定誤差を、最難関編には、摩擦のあるばね振り子、ばねの上の2物体、釘に引っかかる振り子、谷の曲率半径、滞在時間、ばね自身の質量、気体のばねなど、単振動の理解を一段深める問題を集めました。この単元の への対応は、「電磁誘導と交流」の電気振動で再登場します。

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