円運動と万有引力の解説

文: KOSNiZ·最終更新: 2026年9月2日

円運動と万有引力は、等速円運動の記述(角速度・周期・向心加速度)から始まり、向心力の運動方程式、慣性力と遠心力、鉛直面内の円運動、万有引力とケプラーの法則、人工衛星まで進む単元です。「向心力」という新しい力があるわけではなく、運動方程式の加速度に を入れるだけ、という点をつかめば、力学の道具で全部解けます。この記事では、その運動方程式の立て方と、立場(地上から見るか、回転系で見るか)の使い分けを説明します。

等速円運動の記述

角速度 、周期 、速さ 、向心加速度 が、等速円運動の記述量です。速さが一定でも向きが変わるので加速度があり、その向きはつねに中心を向きます。角速度・周期・回転数円運動の速さ向心加速度で、この関係を確認してください。 のどちらでも計算できるように、両方で検算する習慣が効きます。

向心力は「役割の名前」

円運動している物体には、中心向きの加速度 があるので、中心向きに の合力がはたらいています。この合力を向心力と呼びますが、それは重力・張力・垂直抗力・摩擦力のうち中心方向を向いている成分の合計であって、新しい種類の力ではありません。力の図を描いて中心方向の成分を集め、(中心向きの力の和)と書く、それが向心力の運動方程式です。向心力糸につないだ物体の円運動で確認してください。

円錐振り子(標準の同名の問題、応用の周期(文字式))は、この手順の代表です。鉛直方向はつり合い、水平方向は半径 の円運動の運動方程式で、2本を割ると が出ます。周期が 、つまり「回転面の高さ」だけで決まることは、単振り子の周期への伏線です。

慣性力と遠心力は「立場の乗り換え」

加速する電車の中から見ると、物体には進行方向と逆向きに の見かけの力(慣性力)がはたらいているように見えます。回転する台の上から見ると、外向きに の遠心力がはたらいているように見えます。これらは「加速している立場から見たときにだけ現れる見かけの力」で、地上から見れば存在しません。

問題を解くときは、「地上から見て運動方程式を立てる」か「回転系から見て遠心力を入れてつり合いを書く」かのどちらか一方に決めます。両方を混ぜる(地上から見ているのに遠心力を入れる)のが、この単元で最も多い誤りです。加速する電車の中のつり革回転台の上の物体、標準の電車内の振り子の張力、応用の振り子の傾きから加速度を測るで、2つの立場で同じ答えが出ることを確かめてください。

鉛直面内の円運動は「エネルギー + 運動方程式」

鉛直面内の円運動では、速さが場所によって変わるので、エネルギー保存で速さを求め、運動方程式で張力や垂直抗力を求める、という2段構えになります。最下点では張力が最大()、最高点で張力が0になる速さ が「一周できる限界」です。最下点最高点の条件、応用の一般の角度で、この2段構えを固めてください。ループコースターの出発点の高さ (標準の同名の問題)と、半球面のてっぺんから滑る球が で離れること(応用の同名の問題)は、この型の有名な結果です。

万有引力と人工衛星

万有引力 で、地表の重力加速度は です。 という置き換えが、人工衛星の問題で最も効く技術です( の値を使わずに で書ける)。万有引力の法則重力加速度を万有引力から導く第1宇宙速度で確認してください。

人工衛星は、万有引力を向心力とする円運動です。 から で、周期は に比例します(ケプラーの第3法則)。ケプラーの第3法則、標準の静止衛星の軌道半径、応用の脱出速度低軌道衛星の周期の順に進んでください。脱出速度 は、万有引力の位置エネルギー を「井戸」とみて、エネルギー保存で無限遠に届く条件から出ます。

学習の順序と次の単元へ

基礎12問で記述量、向心力、慣性力、遠心力、万有引力、ケプラー、宇宙速度を確認し、標準12問で円錐振り子、摩擦の限界、電車内、エレベーター、鉛直面内の円運動、ループ、衛星、面積速度を扱い、応用8問で文字式、一般の角度、半球面、脱出速度、低軌道、加速度計、月面、静止衛星の力学へ進みます。

難関(★★★★)には、バンクした道路、回転する水面、人工重力、地球の自転、糸を引き込む円運動、糸・棒・管の違い、月へ向かう最小速度、3つの星のラグランジュ解を、最難関編には、楕円軌道、スイングバイ、連星、ホーマン遷移、空気抵抗のパラドックスなど、天体力学の入り口になる問題を集めました。次の「単振動」は、円運動の正射影として定義され、円錐振り子の周期の式がそのまま単振り子の周期になります。

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