平面ベクトルの解説
文: KOSNiZ·最終更新: 2026年9月2日
平面ベクトルは、「向きと大きさをもつ量」を矢印として扱い、図形の問題を計算に置き換える単元です。ベクトルの演算、内積、位置ベクトル、ベクトル方程式の4つが柱で、数学Aの図形の性質や数学IIの図形と方程式で解いていた問題を、別の道具で解けるようになります。この記事では、ベクトルが「何を楽にしているのか」を軸に、要点を説明します。
演算は「成分ごとに」、大きさは「三平方」
ベクトルの和・差・実数倍は、成分ごとに計算します。大きさ は三平方の定理です。ベクトルの大きさ、和、実数倍と差で、成分計算と、矢印の図(三角形則・平行四辺形則)を対応させてください。このサイトでは、和の三角形則や大きさの直角三角形を図にしてあります。
「 の形に分解する」問題(標準のベクトルの分解、応用の1次結合による分解)は、成分を比較して 、 の連立方程式を解きます。平行でない2つのベクトルがあれば、平面上のどのベクトルもこの形に一意に書ける、という事実が、ベクトルで図形を扱う土台です。
内積は「角度と長さをつなぐ道具」
内積は です。定義(角度)と成分計算の2つの顔をもち、この2つを等しいとおくことで、なす角が求まります。内積(成分)、内積(定義)、なす角で、2つの顔を確認してください。
垂直は内積が0、平行は一方が他方の実数倍(成分なら )です(平行条件、垂直条件)。
の最小値(標準のベクトルの大きさの最小、応用の同名の問題)は、2乗して の2次関数にします。最小になるとき が と垂直になる、という幾何的な意味を、図で確かめてください。「大きさは2乗して内積で展開する」は、ベクトルの計算で最も頻繁に使う技術です。
内積を使った三角形の面積は 、成分なら です(標準の三角形の面積(座標)、応用のベクトル)。
位置ベクトルは「点を矢印で表す」
原点を決めると、点 は で表せます。線分 を に内分する点は 、重心は3頂点の平均です。内分点の位置ベクトルと三角形の重心で確認してください。分点の公式は、 と の位置が「たすき」になっている(向かいの係数がつく)ことに注意が要ります。
図形の問題では、頂点の1つを始点にして、他の点をすべてその始点からのベクトルで表す、というのが定石です。「2直線の交点」は、交点を2通りに表して係数を比較する、という手順で求まります(難関の交点の位置ベクトル)。
ベクトル方程式と存在範囲
直線は「通る点 + 方向ベクトルの実数倍」で 、円は「中心からの距離が一定」で と書けます(標準の直線のベクトル方程式、応用の円のベクトル方程式)。
で、 と に条件( なら直線 、、、 なら三角形の内部)がついたときの点 の存在範囲は、数学Cで独特の問題です。 のときは、 と直して、、 を 倍したベクトルで考えます。難関の点Pの存在範囲と実戦編の係数の条件と点の存在範囲で、この「係数の和を1にそろえる」変形を練習してください。
ベクトルと初等幾何の見比べ
ベクトルで解ける問題の多くは、数学Aの図形の性質でも解けます。中線定理、チェバの定理、内心・外心・垂心の位置は、両方の方法で解くことができ、このサイトの実戦編の中線定理をベクトルで示す、チェバの定理、内心の位置ベクトルは、その見比べのための問題です。ベクトルが楽にしているのは、「補助線を思いつかなくても、機械的な計算で同じ結論に到達できる」点です。逆に、初等幾何が見えている問題では、ベクトルの計算が遠回りになることもあります。
学習の順序と入試での出方
基礎12問で演算・内積・なす角・平行垂直・分点・重心・単位ベクトルを確認し、標準12問で分解、面積、最小、直線の方程式、垂直の証明を扱い、応用8問で重心、最小値、1次結合、点と直線の距離、円、内積の最大・最小へ進みます。
入試では、交点の位置ベクトル、内積の最大・最小、存在範囲が定番で、空間ベクトルへそのまま拡張されます。最難関編には、面積公式の証明(コーシー・シュワルツ)、外心の1次結合、斜交座標の面積、内積が一定な点の軌跡など、ベクトルの道具を深く使う問題を集めました。