数学C / 平面ベクトル
ベクトルの実数倍と差
問題
、 のとき、 を求めよ。
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まず実数倍(各成分に掛ける)を先に処理し、それから成分ごとの引き算。
解答・解説
方針
実数倍は各成分を定数倍、差は成分ごとに引く。 を求めてから を引く。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 は、 つの操作の組み合わせだ。
① 実数倍: を 倍する
各成分を 倍するだけ。 向きはそのまま、長さが 倍になる。
② 差: そこから を引く
成分ごとに引く。 成分は — マイナスの引き算に注意。
ベクトルの演算は、すべて成分ごとに独立して行う。
足す、引く、定数倍する — どれも 成分と 成分を、別々に処理するだけだ。
図で言えば、 を 倍に伸ばし、そこから の分だけ逆向きに進む。
「引く 逆向きに足す」 — この読み替えが、図を描くときに効いてくる。
① 実数倍を計算する。 。
② 差をとる。
まとめ:実数倍は各成分を定数倍、差は成分ごとに引く。 の符号処理に注意。ベクトルの計算は「成分ごとに、ふつうの数の計算」でできる。
発展 — 一歩先へ。 「足す」と「実数倍する」— この つの演算だけが、ベクトル空間の定義である。
数学では、次の性質を満たす集合を、ベクトル空間と呼ぶ。
① 足し算ができる( が、その集合の元になる)
② 実数倍ができる( が、その集合の元になる)
③ 交換法則・結合法則・分配法則が成り立つ
驚くべきことに、「矢印」でなくても、この条件を満たすものはたくさんある。
例 : 多項式。
足せる。
実数倍できる。
多項式の集合は、ベクトル空間だ。
例 : 関数。
足せるし、定数倍できる。 関数の集合も、ベクトル空間である。
例 : 数列。
足せる、定数倍できる。 やはりベクトル空間。
「矢印」というイメージを捨てると、ベクトルの世界は無限に広がる。
そして、この抽象化には、絶大な御利益がある。
「ベクトル空間について証明したこと」が、多項式にも、関数にも、数列にも、そのまま適用できる。
度証明すれば、無限の応用が手に入る。
たとえば、「 次独立」という概念。
矢印の世界では「平行でない つのベクトル」だった。
関数の世界では?
と は、 次独立だ( がすべての で成り立つのは、 のときだけ)。
そして、「 と を基底とする空間」の中で、 の解がすべて書ける。
微分方程式の解が、ベクトルの 次結合として表現される。
フーリエ級数も、同じ話だ。
無限個の"基底ベクトル"(、)を使って、任意の関数を表す。
関数を、無限次元空間の点として見る。
「足せて、定数倍できる」 — たったこれだけの条件から、現代数学の広大な眺望が開ける。
という素朴な計算の先に、線形代数という巨大な体系が待っている。
別解
答えを検算する — 逆をたどって、元に戻るか確かめる。
計算した答えは 。
この答えが正しいなら、 を足し戻せば、 になるはずだ。
確かめる。
✓
ぴったり一致した。 計算に間違いはない。
この検算は、 秒で終わる。
符号ミスが起きやすいベクトル計算では、この習慣が命綱になる。
さて、 を「逆向きのベクトル」として、図で見てみよう。
が「右へ 、下へ 」なら、 は「左へ 、上へ 」。
向きが正反対で、長さは同じ。
だから、引き算は「逆向きの矢印を継ぎ足す」ことになる。
「引く」という操作が、「逆向きに足す」に化けた。
この読み替えは、図を描くときに絶大な効果を発揮する。
引き算の図を描くとき、多くの人が迷う。 「どっちからどっちへ引くんだっけ?」
だが「逆向きに足す」と思えば、迷いようがない。 継ぎ足すだけだ。
もう つ、大事な引き算の顔がある。
「 点を結ぶベクトルは、終点から始点を引く」
この式は、 から へ行くには、いったん原点 に戻ってから へ行けばいい、という意味だ。
遠回りしても、着く場所は同じ。
この「原点を経由する」というテクニックが、位置ベクトルの計算のすべてを支えている。
引き算を「逆向きの足し算」と読み替えられるようになれば、ベクトルの計算で迷うことはなくなる。
ポイント
- 、差は成分ごと。
- の符号に注意。
よくある間違い
- 成分で を としてしまう。マイナスを引くと足し算になり、
- の実数倍で、片方の成分だけ 倍する。すべての成分に を掛ける
- を と読み違える。 が掛かるのは だけ