数学C / 平面ベクトル

ベクトルの実数倍と差

★ 基礎実数倍

問題

のとき、 を求めよ。

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まず実数倍(各成分に掛ける)を先に処理し、それから成分ごとの引き算。

解答・解説

方針

実数倍は各成分を定数倍、差は成分ごとに引く。 を求めてから を引く。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 は、 つの操作の組み合わせだ。

① 実数倍: 倍する

各成分を 倍するだけ。 向きはそのまま、長さが 倍になる。

② 差: そこから を引く

成分ごとに引く。 成分は — マイナスの引き算に注意。

ベクトルの演算は、すべて成分ごとに独立して行う。

足す、引く、定数倍するどれも 成分と 成分を、別々に処理するだけだ。

図で言えば、 倍に伸ばし、そこから の分だけ逆向きに進む。

「引く 逆向きに足す」 — この読み替えが、図を描くときに効いてくる。

公式実数倍 、差

① 実数倍を計算する。

② 差をとる。

xyO2a−b2a−b
2a=(2,4) の終点に −b=(−3,1) をつなぐと 2a−b=(−1,5)

まとめ:実数倍は各成分を定数倍、差は成分ごとに引く。 の符号処理に注意。ベクトルの計算は「成分ごとに、ふつうの数の計算」でできる。

発展 — 一歩先へ。 「足す」と「実数倍する」— この つの演算だけが、ベクトル空間の定義である。

数学では、次の性質を満たす集合を、ベクトル空間と呼ぶ。

① 足し算ができる( が、その集合の元になる)

② 実数倍ができる( が、その集合の元になる)

③ 交換法則・結合法則・分配法則が成り立つ

驚くべきことに、「矢印」でなくても、この条件を満たすものはたくさんある。

: 多項式。

足せる。

実数倍できる。

多項式の集合は、ベクトル空間だ。

: 関数。

足せるし、定数倍できる。 関数の集合も、ベクトル空間である。

: 数列。

足せる、定数倍できる。 やはりベクトル空間。

「矢印」というイメージを捨てると、ベクトルの世界は無限に広がる。

そして、この抽象化には、絶大な御利益がある。

「ベクトル空間について証明したこと」が、多項式にも、関数にも、数列にも、そのまま適用できる。

度証明すれば、無限の応用が手に入る。

たとえば、「 次独立」という概念。

矢印の世界では「平行でない つのベクトル」だった。

関数の世界では?

は、 次独立だ( がすべての で成り立つのは、 のときだけ)。

そして、「 を基底とする空間」の中で、 の解がすべて書ける。

微分方程式の解が、ベクトルの 次結合として表現される。

フーリエ級数も、同じ話だ。

無限個の"基底ベクトル"()を使って、任意の関数を表す。

関数を、無限次元空間の点として見る。

「足せて、定数倍できる」 — たったこれだけの条件から、現代数学の広大な眺望が開ける。

という素朴な計算の先に、線形代数という巨大な体系が待っている。

別解

答えを検算する — 逆をたどって、元に戻るか確かめる。

計算した答えは

この答えが正しいなら、 を足し戻せば、 になるはずだ。

確かめる。

ぴったり一致した。 計算に間違いはない。

この検算は、 秒で終わる。

符号ミスが起きやすいベクトル計算では、この習慣が命綱になる。

さて、 を「逆向きのベクトル」として、図で見てみよう。

が「右へ 、下へ 」なら、 は「左へ 、上へ 」。

向きが正反対で、長さは同じ。

だから、引き算は「逆向きの矢印を継ぎ足す」ことになる。

「引く」という操作が、「逆向きに足す」に化けた。

この読み替えは、図を描くときに絶大な効果を発揮する。

引き算の図を描くとき、多くの人が迷う。 「どっちからどっちへ引くんだっけ?」

だが「逆向きに足す」と思えば、迷いようがない。 継ぎ足すだけだ。

もう つ、大事な引き算の顔がある。

点を結ぶベクトルは、終点から始点を引く」

この式は、 から へ行くには、いったん原点 に戻ってから へ行けばいい、という意味だ。

遠回りしても、着く場所は同じ。

この「原点を経由する」というテクニックが、位置ベクトルの計算のすべてを支えている。

引き算を「逆向きの足し算」と読み替えられるようになれば、ベクトルの計算で迷うことはなくなる。

ポイント

  • 、差は成分ごと。
  • の符号に注意。

よくある間違い

  • 成分で としてしまう。マイナスを引くと足し算になり、
  • の実数倍で、片方の成分だけ 倍する。すべての成分に を掛ける
  • と読み違える。 が掛かるのは だけ