数学C / 平面ベクトル
ベクトルの和
問題
、 のとき、 を求めよ。
ヒントを見る
ベクトルの足し算は、成分ごとに足すだけ。
解答・解説
方針
ベクトルの和は成分ごとに足す。。図では の終点から をつなぐ(または平行四辺形の対角線)。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 ベクトルの和は、成分ごとに足すだけだ。
成分どうし、 成分どうしを、それぞれ独立に足す。
横の動きと縦の動きは、互いに干渉しない。
この計算が、図では何を意味するのか。
つの見方がある。
① 継ぎ足し(三角形則)
の終点に、 の始点をつなぐ。 出発点から最終地点への矢印が、和である。
「右に 、上に 進んでから、右に 、下に 進む」 → 結局「右に 、上に 」
② 平行四辺形則
と を、同じ点から出る 辺として平行四辺形を作る。 その対角線が和になる。
どちらの見方でも、答えは同じ。
「成分では独立に足す。図では継ぎ足す。」 この つを結びつけておこう。
まとめ:ベクトルの和は成分ごとに足すだけ。図で見ると、 の終点に をつなぐと の終点にたどりつく(または つを 辺とする平行四辺形の対角線)。
発展 — 一歩先へ。 ベクトルの和は「移動の合成」だった。この考え方は、物理のあらゆる場面で使われる。
力の合成。
物体に、 つの力が同時にはたらいている。
物体は、どちらに動くか。
答えは、和のベクトル の向き。
つの力は、まるで つの力( 合力)がはたらいているのと同じ効果をもつ。
この事実を、力の平行四辺形則という。
当たり前に見えるだろうか。 だが、これは実験的に確かめられた物理法則なのだ。
数学的な必然ではない。 「世界がそうなっている」ことを、ニュートンたちが発見した。
同じ合成が、速度でも起こる。
川を渡る船を考えよう。
船の速度(静水中): — 真北へ、速さ
川の流れ: — 東へ、速さ
実際の船の動きは、和のベクトル。
船は、北東方向へ、速さ で進む。
「まっすぐ北を向いているのに、東へ流される」 — 川を泳いだことがあれば、体で知っている現象だ。
この計算ができると、実用的な問題が解ける。
「川の流れが東へ のとき、真北に着くには、どちらを向いて漕げばよいか?」
求める船の速度を とすると、和が真北になればよい。
つまり、西へ の成分をもつように、やや西向きに漕ぐ。
流れに逆らって、あらかじめ上流を向く。
船乗りが経験的に知っていたこの技術が、ベクトルの引き算で説明できる。
そして、この「合成と分解」は、あらゆる工学の基礎になっている。
- 飛行機: 推力・揚力・重力・抗力の つのベクトルの釣り合い
- 建築: 建物にかかる力の分解(垂直方向・水平方向)
- ロボット: 関節の動きを合成して、手先の位置を制御
「ばらばらの量を、独立した成分に分けて、それぞれ足す」
この単純なルールが、世界を設計する言語になっている。
別解
ベクトルの和を、「移動の合成」として体感する。
ベクトルを「移動の指示」だと思ってみよう。
この つの移動を、続けて行う。
まず、東へ 、北へ 。 出発点から見て、 の位置にいる。
次に、東へ 、南へ 。 そこからさらに動く。
最終的な位置は?
- 東西方向: (東へ )
- 南北方向: (北へ )
本解と同じ ✓
この見方で、大事なことが つ分かる。
① 順番を入れかえてもいい。
先に ( 東 南)、次に ( 東 北)と動いても、
同じ地点 に着く。
移動は、順番を入れかえても結果が同じ。 これが交換法則の正体だ。
(図で言えば、平行四辺形の 通りの辿り方。)
② 「東西」と「南北」は、混ざらない。
どれだけ東へ動いても、北への移動量は変わらない。
この独立性が、「成分ごとに計算する」ことの根拠になっている。
さて、大きさについて確かめておこう。
足したベクトルの大きさ()は、 つの大きさの和()より小さい。
これを三角不等式という。
理由は明快だ。
「まっすぐ行く距離()は、遠回りする距離()以下」
寄り道するより、直行するほうが短い。 当たり前だ。
等号が成り立つのは、 と が同じ向きのとき。 寄り道が寄り道になっていない場合だ。
「三角形の 辺の和は、残りの 辺より大きい」
中学の図形で習ったこの定理が、ベクトルの世界でそのまま生きている。
ポイント
- 。
- 図では終点をつなぐ(平行四辺形の対角線)。
よくある間違い
- 成分で とすべきところを、マイナスを見落として としてしまう
- 成分と 成分を混ぜて足してしまう。成分ごとに、独立して計算する
- 和の大きさを だと思い込む。 は、和のベクトルの成分から計算し直す