数学C / 平面ベクトル
ベクトルの大きさ
問題
ベクトル の大きさ を求めよ。
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ベクトルの大きさは、成分がつくる直角三角形の斜辺。三平方で出す。
解答・解説
方針
ベクトルの大きさは、成分の 乗の和の平方根。。三平方の定理と同じ。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 ベクトル を、矢印として描いてみよう。
原点から、右へ 、上へ 進んだ点への矢印だ。
この矢印の長さを求めたい。
横に 、縦に の直角三角形ができる。 矢印は、その斜辺である。
斜辺の長さは、三平方の定理で求まる。
ベクトルの大きさとは、要するに矢印の長さ。 そして矢印の長さは、成分を 辺とする直角三角形の斜辺だ。
新しい公式のように見えるが、中身は中学で習った三平方の定理そのものである。
「ベクトルの大きさ 成分から作る直角三角形の斜辺」 — この見方が、この単元すべての土台になる。
成分の 乗の和の平方根。
まとめ:ベクトルの大きさは「原点から成分の点までの距離」= 三平方の定理。 の大きさは (-- の直角三角形)。矢印の長さを表す。
発展 — 一歩先へ。 「距離」を測る方法は、 つではない。
我々が使っている は、ユークリッド距離と呼ばれる。
だが、別の測り方もある。
マンハッタン距離。
なら 。
なぜ「マンハッタン」か。 碁盤の目のような街(ニューヨークのマンハッタン)では、斜めに突っ切れないからだ。
東へ ブロック、北へ ブロック進むには、必ず ブロック歩く。 直線距離の ではない。
タクシーで移動するときの実際の距離は、こちらである。
チェビシェフ距離。
なら 。
チェスの王(キング)の移動回数だ。 斜めにも マス動けるので、 回で着く。
つの距離を並べてみよう。
どれも「距離」として、ちゃんとした性質をもっている。
距離の公理。
① 、等号は のとき
② (対称性)
③ (三角不等式)
この つを満たせば、何でも「距離」と呼んでよい。
では、なぜユークリッド距離が特別なのか。
回転しても変わらないからだ。
座標軸を 回転させても、 の値は変わらない。
マンハッタン距離は変わってしまう(斜めの道が使えるかどうかで、話が変わる)。
「回転で不変」という性質が、物理法則を記述するのに決定的に重要だ。
世界に"特別な方向"はない。 どの向きから見ても、物理法則は同じ形をしている。
その要請に応える距離が、ユークリッド距離なのである。
そして、この「回転不変性」こそが、内積という概念を生む。
次の問題から、その世界に入っていく。
別解
答えが という整数になる理由 — ピタゴラス数。
この問題の答えは、きれいな整数 になった。
だが、これは特別なことだ。
たとえば なら
無理数になる。 割り切れない。
なら 、 なら — どれも無理数だ。
成分が整数でも、大きさはほとんどの場合、無理数になる。
の は、幸運な例外なのである。
この幸運な組み合わせを、ピタゴラス数という。
他にもある。
辺がすべて整数になる直角三角形は、無限に存在する。
問題を作る人は、たいていこの組み合わせを使う。 答えがきれいになるからだ。
と を覚えておくと、計算がぐっと楽になる。
さて、大きさの意味を、もう一段深く考えよう。
これは「原点から点 までの距離」でもある。
そして、 点 、 の距離は
「 点間の距離」と「ベクトルの大きさ」は、同じものだ。
さらに、複素数でも同じ式が出てくる。
複素数の絶対値も、まったく同じ計算。
つの世界 — 座標平面の距離、ベクトルの大きさ、複素数の絶対値 — が、 つの式で結ばれている。
すべての根っこにあるのは、三平方の定理だ。
年前のピタゴラスの定理が、いまも数学のいたるところで働いている。
ポイント
- (三平方の定理)。
- の大きさは 。
よくある間違い
- 乗を忘れて としてしまう。各成分を 乗してから足す
- を としてしまう。
- 成分をそのまま足して とする。大きさは斜辺の長さで、 辺の和ではない