複素数平面の解説

文: KOSNiZ·最終更新: 2026年9月2日

複素数平面は、複素数 を平面上の点 とみなして、複素数の計算を図形の操作として読む単元です。足し算は平行移動、掛け算は回転と拡大、共役は実軸に関する折り返しです。この「計算と図形の対応」がつかめると、数学IIの複素数と方程式で学んだ代数が、幾何の道具に変わります。この記事では、極形式とド・モアブルの定理を中心に、この対応を説明します。

絶対値と共役は「距離と折り返し」

複素数 の絶対値 は原点からの距離、 は2点間の距離です。共役 は実軸に関する対称点で、 という関係が計算の要になります。複素数の絶対値共役複素数絶対値の2乗と共役2点間の距離で、この対応を図と一緒に確認してください。「 が実数 ⟺ 」「 が純虚数 ⟺ ()」という言い換えも、ここで身につけます(純虚数の条件)。

極形式は「長さと角度で複素数を表す」

が極形式で、 が絶対値、 が偏角です。極形式の積は「絶対値は掛け算、偏角は足し算」、商は「絶対値は割り算、偏角は引き算」になります。つまり、 をかけることは、 倍に拡大して だけ回転させることです。極形式極形式の積で、この「掛け算 = 回転と拡大」を図で確かめてください。

とくに をかけると 回転、 をかけると 回転です(iを掛ける(90°回転)、標準の原点まわりの回転)。原点以外の点 のまわりの回転は、 を原点に移してから回転し、戻します: (応用の点のまわりの回転)。正三角形をなす条件は、「1つの頂点を別の頂点のまわりに 回転すると第3の頂点になる」で表せます(応用の正三角形をなす条件)。

極形式で偏角を決めるときは、点がどの象限にあるかを図で確かめてください。 の符号から象限が決まります(標準の極形式(第1象限))。

ド・モアブルの定理は「 乗 = 倍回転」

がド・モアブルの定理です。 のような高次のべきは、極形式に直してこの定理を使えば一瞬で計算できます(ド・モアブルの定理、標準の累乗、応用の高次の累乗)。

1の 乗根 の解は、単位円を 等分した点で、正 角形の頂点になります。 の解は数学IIの そのものです(標準の1の3乗根、応用の1の6乗根)。ド・モアブルの定理を逆に使うと、 で表す3倍角の公式が導けます(応用のド・モアブルと3倍角)。

図形への応用

3点が一直線上にあるのは が実数のとき、垂直なのは純虚数のときです(標準の3点が一直線上にある条件)。この分数は「 を始点にしたときの、 方向から 方向への回転と拡大」を表しているので、その偏角が なら一直線、 なら垂直、と読めます。

軌跡は、 なら中心 半径 の円、 なら垂直二等分線です(標準の複素数と円、応用の垂直二等分線)。数学IIの軌跡の問題を、複素数の絶対値で書き直したものです。

が実数になる条件(応用の同名の問題)は、 型の言い換えか、極形式で偏角の条件に直すかで解けます。

つまずきやすいところ

最も多い誤りは、 と混同することです。 であって ではありません。絶対値の入った等式は、 に直してから展開する、という手順を固定してください。

偏角の範囲( か)を問題文で確認せずに答える誤りも多いです。 乗根の問題では、偏角に を足した解を で列挙する、という手順が必要です。

学習の順序と入試での出方

基礎12問で絶対値・共役・極形式・積・ド・モアブル・回転・和・距離・純虚数を確認し、標準12問で除法、累乗、1の3乗根、回転、円、実部と共役、共線条件を扱い、応用8問で高次のべき、1の6乗根、正三角形、、点のまわりの回転、軌跡、3倍角へ進みます。

入試では、複素数平面は数学IIの三角関数(加法定理・ 倍角)や、数学IIIの微積分(極限・積分)と融合して出ます。実戦編には、正 角形の対角線の積、余弦の無限級数、平方和の分解、ガウス和、垂心を、最難関編には、正三角形の対称式による特徴づけ、ナポレオンの定理、 による楕円への変換、螺旋の全長など、複素数を幾何に使う問題を集めました。

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