数学C / 複素数平面
ド・モアブルの定理
問題
を計算せよ。
ヒントを見る
累乗と偏角の関係(問題が指定する定理)をそのまま使う。 乗で偏角が何倍になるか。
解答・解説
方針
ド・モアブルの定理 。偏角を 倍する。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 乗を、まともに展開してはいけない。
極形式の累乗には、専用の武器がある。
ド・モアブルの定理。
「 乗すると、偏角が 倍になる。」
前問の「掛け算では偏角が足される」を、 回繰り返しただけだ。
この問題に当てはめる。
答えは 。
「 の回転を 回 の回転」
幾何的には、それだけの話だ。
絶対値が なので、拡大も縮小もしない。純粋な回転である。
偏角を 倍する。。
まとめ:ド・モアブルの定理は「絶対値 の複素数の累乗は、偏角を 倍するだけ」。 を 乗すると 。複素数の累乗を、三角関数の計算だけで一気に求められる強力な定理だ。
発展 — 一歩先へ。 ド・モアブルの定理は、三角関数の公式を"生産"する機械になる。
で使ってみよう。
左辺を、普通に展開する。
両辺の実部と虚部を、それぞれ比べる。
倍角の公式が、 つ同時に出てきた!
なら?
を展開して、実部と虚部を比べる。
倍角の公式!
丸暗記していたあの公式が、ド・モアブルから機械的に導ける。
、 — いくらでも作れる。
「 倍角の公式は、 を二項展開すれば出る」
もはや、暗記する必要がない。
そして、この方法は の 乗根という、美しい対象を生む。
この方程式の解は、 個ある。
複素数平面に描くと、単位円を 等分する点 — つまり正 角形の頂点だ。
なら、正三角形。
なら、正方形。
代数方程式()の解が、幾何図形(正 角形)になる。
この対応から、 年来の難問が解けた。
「正 角形は、定規とコンパスで作図できるか?」
ガウスは 歳のとき( 年)、この問いに「できる」と答えた。
方法は、 の解を、平方根の組み合わせだけで表すこと。
(定規とコンパスで作図できる 四則演算と平方根で書ける、という対応がある。)
ガウスは、この発見に感動し、数学者になることを決意したという。
そして、彼の墓には、正 角形が刻まれている(実際には 角星だが)。
この、 秒で解ける計算。
その延長線上に、正多角形の作図可能性という、数学史上の金字塔がある。
別解
ド・モアブルを使わず、実際に 回掛けて確かめる。
まず、 を、 の形にする。
乗する。
( を使った。)
この結果は、 だ。 偏角が 倍()になっている ✓
もう 回掛ける。
展開する。
実部を整理する。
消えた!
虚部を整理する。
! 本解と一致した ✓
ド・モアブルが正しいことを、自分の手で確かめられた。
だが、この計算は面倒だった。
もし を求めよ、と言われたら?
この方法では、 回も掛け算を繰り返すことになる。 現実的でない。
ド・モアブルなら、一瞬だ。
でも同じ。
を、 で割った余りにする。
巨大な累乗が、 行で片づく。
「回転は、 で 周して元に戻る」
この周期性のおかげで、どんなに大きな指数でも、 で割った余りだけを見ればよい。
そして、この問題の には、面白い性質がある。
乗すると、 に戻る。
は、 の 乗根の つなのだ。
複素数平面の単位円上に、正 角形の頂点として並ぶ 個の数。 その つが、この である。
ポイント
- 。
- 累乗は偏角を 倍する。
よくある間違い
- と を、それぞれ 乗して としてしまう。ド・モアブルは「偏角を 倍」する
- 偏角を 倍するのを忘れ、 のままにする
- としてしまう。、