数学C / 複素数平面
2点間の距離
問題
複素数平面上の 点 、 の間の距離を求めよ。
ヒントを見る
点間の距離は、差の絶対値。まず引き算してから大きさを測る。
解答・解説
方針
点間の距離は (差の絶対値)。 を計算し、その絶対値を求める。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 点間の距離は、差の絶対値だ。
まず、差を計算する。
次に、その絶対値を求める。
距離は 。
なぜ、「差の絶対値」が距離になるのか。
は、点 から点 へ向かうベクトルだった。
その絶対値(大きさ)が、 点の距離になるのは当然だ。
ベクトルの と、まったく同じ。
そして、出てきた という数。
これは、最初の問題()で扱ったものと、同じだ。
同じ計算が、違う顔をして現れる。 数学では、よくあることである。
① 差を求める。 。
② 絶対値を求める。
まとめ:複素数平面の 点間の距離は「差の絶対値 」。差 は から へのベクトルにあたり、その大きさが距離。座標平面の距離公式と同じことだ。
発展 — 一歩先へ。 複素数平面では、「 点間の距離」だけでなく、「角度」も簡単に扱える。
点 、、 を考える。
( を頂点とする角)を求めたい。
複素数の商を作る。
分子は「 から へのベクトル」、分母は「 から へのベクトル」。
この商の偏角が、 つのベクトルのなす角 — つまり になる。
なぜか。 商の偏角は、偏角の差だからだ。
この公式から、 つの重要な条件が出る。
条件 : 点が一直線上にある。
なす角が か 。 つまり、商が実数になる。
条件 : 直線が垂直。
なす角が 。 つまり、商が純虚数になる。
「一直線 実数」「垂直 純虚数」
この つの言い換えは、複素数平面の問題で、繰り返し使われる。
そして、前に学んだ「実数・純虚数の条件」が、ここで生きてくる。
すべてが、 本の線でつながる。
幾何の条件(一直線、垂直)
複素数の条件(実数、純虚数)
共役の等式(、)
図形の問題が、 段階で、ただの方程式に変換される。
この"翻訳"の連鎖が、複素数平面という道具の本質だ。
さらに、 点が同一円周上にある条件も、書ける。
この式は複比と呼ばれ、射影幾何学という、より高度な理論の中心概念になる。
円周角の定理が、 行の式に凝縮されている。
「 点間の距離は 」という、素朴な事実。
そこに「商の偏角は角度」を加えると、複素数平面は、平面幾何のすべてを記述する言語になる。
ガウスが 年前に切り開いた、この道具。
それを、いまあなたが手にしている。
別解
距離の式 から、円と直線の方程式を作る。
この問題で使った「 点間の距離 」という式。
これを、"条件"として使うと、図形が生まれる。
円。
「点 から、距離 にある点 の全体」
これが、中心 、半径 の円の方程式だ。
座標で書くと、 変数(、)が必要だった。
複素数なら、 変数()で済む。
この簡潔さが、複素数で図形を扱う理由である。
垂直二等分線。
「 点 、 から等距離にある点」
これが、線分 の垂直二等分線。
アポロニウスの円。
「 点からの距離の比が である点」
この条件を満たす点は、円を描く(比が でなければ)。
数学IIで学んだアポロニウスの円が、複素数では 行で書ける。
実際に、方程式を解いてみよう。
問題: を満たす の描く図形は?
両辺を 乗する。 を使う。
展開する。
で割る。
平方完成のように、まとめる。
中心 、半径 の円!
アポロニウスの円が、複素数の計算で出てきた。
この計算の要は、 という、前問の公式だった。
「絶対値の 乗は、共役との積」
この 行が、絶対値を含む方程式を、普通の代数計算に変えてしまう。
根号(絶対値)が邪魔なら、 乗して共役との積にする。
この定石が、複素数平面の図形問題を解く、最大の武器である。
ポイント
- 距離 。
- 差の絶対値がベクトルの大きさ。
よくある間違い
- 距離を や で計算してしまう。距離は「差の絶対値」
- 差の計算で虚部を間違える。( ではない)
- を としてしまう。絶対値は