数学C / 複素数平面
純虚数の条件
問題
複素数 が純虚数となるような実数 の値を求めよ。
ヒントを見る
純虚数の条件は つ — 実部が 、かつ虚部が でない。両方を確認しよう。
解答・解説
方針
純虚数は「実部が 、虚部が でない」複素数。実部 かつ虚部 を確かめる。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 「純虚数」の定義を、正確に押さえよう。
純虚数とは、()の形の数。 つまり
- 実部が
- 虚部が でない
この つが、両方必要だ。
( は純虚数ではない。実部も虚部も だから。)
この問題の複素数を見る。
実部: 虚部:
実部が になればよい。
虚部は で、 ではない ✓ 条件を満たしている。
確かに純虚数だ。
「実部 、虚部 」 — この つの確認を、必ずセットで行う。
片方だけでは、不十分である。
① 実部 を書く。
② 虚部 を確認する。 虚部は ()なので条件を満たす。
まとめ:純虚数は「実部 、虚部は でない」( や など)。実部 だけでなく、虚部 の確認も必要(実部も虚部も なら で純虚数ではない)。ここは虚部 で自動的に満たされる。
発展 — 一歩先へ。 純虚数は、 乗すると負の実数になる。
確かめよう。 一般に ( は実数、)なら
必ず、負の実数になる。
逆も成り立つ。
これが、純虚数の"正体"だ。
「 乗すると負になる数」
実数の世界では、 乗すれば必ず 以上だった。
この鉄則を破るために、虚数が導入された。
そして、この「 乗して負」という性質が、方程式の世界を完成させる。
という方程式。
実数では、解なし。
複素数なら、 という 個の解をもつ。
さて、複素数平面で、純虚数はどこにいるか。
実部が なので、虚軸( 軸)の上だ(原点を除く)。
そして、実数は実軸( 軸)の上。
この つの軸は、直交している。
「実数と純虚数は、 の関係にある」
この直交性は、偶然ではない。
を掛けると 回転する — だから、実数()に を掛けた は、実軸から 回った位置にある。
「実軸と虚軸が垂直」であることの根拠が、 なのだ。
そして、この直交性は、物理の世界に現れる。
交流回路のインピーダンス。
- 実部 : 抵抗(エネルギーを消費する)
- 虚部 : リアクタンス(エネルギーを蓄えて返す — 消費しない)
この つは、本質的に違う性質をもつ。 だから、実部と虚部に分けて表す。
コイルやコンデンサは、純虚数のインピーダンスをもつ。
どちらも純虚数 — エネルギーを消費しないという物理的な意味をもっている。
電力の計算では、実部だけが「消費電力」になる。
虚部は「無効電力」と呼ばれ、行ったり来たりするだけで、仕事をしない。
「純虚数 エネルギーを消費しない成分」
数学の抽象的な概念が、電気工学では、まったく具体的な意味をもつ。
を求めるだけの、素朴な問題。
その「純虚数」という条件の中に、 の直交性と、エネルギーの本質が宿っている。
別解
共役を使って、「純虚数」を式で表現する。
成分(、)を使わずに、 という 文字だけで条件を書きたい。
共役の性質を思い出そう。
だから
純虚数の条件は、こう書ける。
この問題で確かめよう。
これが になる条件は
本解と同じ ✓
そして、 のとき なので、条件を満たす。
同じように、「実数」の条件も書ける。
( 虚部 なので、これが ということ。)
つを並べてみよう。
きれいな対比だ。
「共役と等しい」なら実数、「共役の符号違い」なら純虚数。
なぜ、こんな書き換えが必要なのか。
が、複雑な式で与えられているときに効く。
例: 「 が純虚数となる の軌跡を求めよ。」
もし と成分で書いたら?
分母を実数化して、実部を計算して、 とおいて 途方もない計算になる。
共役なら、こうだ。
分母を払って整理すると
答えは、単位円!( は除く。)
わずか 行だ。
成分で計算していたら、 ページかかる。
「 という 文字のまま処理する」
この方針を可能にするのが、共役という道具である。
純虚数の条件を、 と書けること。
それは、複素数の問題を、代数の計算として"閉じさせる"ための、決定的な一手なのだ。
ポイント
- 純虚数 ⟺ 実部 かつ 虚部 。
- 虚部 の確認も必要。
よくある間違い
- 虚部が でないことの確認を忘れる。実部が でも、虚部も なら()純虚数ではない
- 「純虚数」と「虚数」を混同する。虚数は「実数でない複素数」(虚部 )、純虚数は「実部 かつ虚部 」
- 実部と虚部を取り違え、 という不可能な式を立ててしまう。実部は 、虚部は