数学C / 複素数平面

純虚数の条件

★ 基礎純虚数

問題

複素数 が純虚数となるような実数 の値を求めよ。

ヒントを見る

純虚数の条件は つ — 実部が 、かつ虚部が でない。両方を確認しよう。

解答・解説

方針

純虚数は「実部が 、虚部が でない」複素数。実部 かつ虚部 を確かめる。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 「純虚数」の定義を、正確に押さえよう。

純虚数とは、()の形の数。 つまり

  • 実部が
  • 虚部が でない

この つが、両方必要だ。

( は純虚数ではない。実部も虚部も だから。)

この問題の複素数を見る。

実部: 虚部:

実部が になればよい。

虚部は で、 ではない ✓ 条件を満たしている。

確かに純虚数だ。

「実部 、虚部 — この つの確認を、必ずセットで行う。

片方だけでは、不十分である。

重要純虚数 ⟺ 実部 かつ 虚部

① 実部 を書く。

② 虚部 を確認する。 虚部は ()なので条件を満たす。

まとめ:純虚数は「実部 、虚部は でない」( など)。実部 だけでなく、虚部 の確認も必要(実部も虚部も なら で純虚数ではない)。ここは虚部 で自動的に満たされる。

発展 — 一歩先へ。 純虚数は、 乗すると負の実数になる。

確かめよう。 一般に ( は実数、)なら

必ず、負の実数になる。

逆も成り立つ。

これが、純虚数の"正体"だ。

乗すると負になる数」

実数の世界では、 乗すれば必ず 以上だった。

この鉄則を破るために、虚数が導入された。

そして、この「 乗して負」という性質が、方程式の世界を完成させる。

という方程式。

実数では、解なし。

複素数なら、 という 個の解をもつ。

さて、複素数平面で、純虚数はどこにいるか。

実部が なので、虚軸( 軸)の上(原点を除く)。

そして、実数は実軸( 軸)の上。

この つの軸は、直交している。

「実数と純虚数は、 の関係にある」

この直交性は、偶然ではない。

を掛けると 回転する — だから、実数()に を掛けた は、実軸から 回った位置にある。

「実軸と虚軸が垂直」であることの根拠が、 なのだ。

そして、この直交性は、物理の世界に現れる。

交流回路のインピーダンス。

  • 実部 : 抵抗(エネルギーを消費する)
  • 虚部 : リアクタンス(エネルギーを蓄えて返す — 消費しない)

この つは、本質的に違う性質をもつ。 だから、実部と虚部に分けて表す。

コイルやコンデンサは、純虚数のインピーダンスをもつ。

どちらも純虚数エネルギーを消費しないという物理的な意味をもっている。

電力の計算では、実部だけが「消費電力」になる。

虚部は「無効電力」と呼ばれ、行ったり来たりするだけで、仕事をしない。

「純虚数 エネルギーを消費しない成分」

数学の抽象的な概念が、電気工学では、まったく具体的な意味をもつ。

を求めるだけの、素朴な問題。

その「純虚数」という条件の中に、 の直交性と、エネルギーの本質が宿っている。

別解

共役を使って、「純虚数」を式で表現する。

成分()を使わずに、 という 文字だけで条件を書きたい。

共役の性質を思い出そう。

だから

純虚数の条件は、こう書ける。

この問題で確かめよう。

これが になる条件は

本解と同じ ✓

そして、 のとき なので、条件を満たす。

同じように、「実数」の条件も書ける。

( 虚部 なので、これが ということ。)

つを並べてみよう。

きれいな対比だ。

「共役と等しい」なら実数、「共役の符号違い」なら純虚数。

なぜ、こんな書き換えが必要なのか。

が、複雑な式で与えられているときに効く。

例: 「 が純虚数となる の軌跡を求めよ。」

もし と成分で書いたら?

分母を実数化して、実部を計算して、 とおいて 途方もない計算になる。

共役なら、こうだ。

分母を払って整理すると

答えは、単位円!( は除く。)

わずか 行だ。

成分で計算していたら、 ページかかる。

という 文字のまま処理する」

この方針を可能にするのが、共役という道具である。

純虚数の条件を、 と書けること。

それは、複素数の問題を、代数の計算として"閉じさせる"ための、決定的な一手なのだ。

ポイント

  • 純虚数 ⟺ 実部 かつ 虚部
  • 虚部 の確認も必要。

よくある間違い

  • 虚部が でないことの確認を忘れる。実部が でも、虚部も なら()純虚数ではない
  • 「純虚数」と「虚数」を混同する。虚数は「実数でない複素数」(虚部 )、純虚数は「実部 かつ虚部
  • 実部と虚部を取り違え、 という不可能な式を立ててしまう。実部は 、虚部は