数学C / 複素数平面

共役複素数

★ 基礎共役

問題

複素数 の共役複素数 を求めよ。

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共役は虚部の符号だけ反転した相棒。複素数平面では、実軸で折り返した位置にあたる。

解答・解説

方針

共役複素数は虚部の符号を変えたもの。。複素数平面では実軸に関して対称な点。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 共役複素数とは、虚部の符号だけを変えたものだ。

実部()はそのまま。虚部の符号だけ、 から へ。

この操作を、複素数平面で見ると?

が、点 に移る。

座標はそのまま、 座標だけ符号が反転する。

これは、実軸( 軸)に関する鏡映だ。

共役をとる 実軸で折り返す。

この幾何的な意味を掴んでおくと、共役の性質がすべて見えてくる。

  • — 鏡に映しても、原点からの距離は同じ
  • 回折り返せば、元に戻る
  • が実数 — 実軸上の点は、折り返しても動かない

すべて、鏡映の性質そのものである。

公式共役複素数 (虚部の符号を変える)

ReImOz=2+3iz̄=2−3i
共役 z̄=2−3i は z=2+3i を実軸に関して折り返した点

まとめ:共役複素数は虚部の符号を反転したもの。複素数平面では実軸(横軸)に関して対称な点にうつる。 の点 に対し、 は点 という大事な性質もある。

発展 — 一歩先へ。 「虚数解は、必ず共役なペアで現れる」

この事実を、証明してみよう。

実数係数の方程式

が、 を解にもつとする。

両辺の共役をとる。

共役は、和と積を素通りする。

係数 は実数だから、

これは、「 も方程式の解である」ということだ!

証明終わり。 行だ。

この定理の帰結。

「実数係数の 次方程式は、必ず実数解をもつ。」

なぜか。 解は 個ある(代数学の基本定理)。虚数解は共役なペアで現れる( 組)。

は奇数だから、 で割り切れない。 必ず つは、ペアを作れない解 — つまり実数解が残る。

次関数のグラフが、必ず 軸と交わることの、代数的な説明だ。

そして、この「共役対称性」は、物理学でも決定的な役割を果たす。

量子力学では、波動関数 は複素数の値をとる。

だが、観測できる量(確率密度)は、実数でなければならない。

どうするか。

共役との積をとる。 これは必ず実数になる(そして 以上)。

「複素数で計算し、共役との積で実数に戻す」

この手続きが、量子力学の観測理論の根幹をなしている。

電気工学でも同じだ。

交流回路の計算は、複素数(インピーダンス)で行う。 計算が圧倒的に楽になるからだ。

そして、最後に実部を取り出す — あるいは、共役との積で電力(実数)を求める。

「複素数で計算し、実数で答える」

共役は、複素数の世界と、実数の世界を行き来する"扉"なのである。

— 符号を つ変えるだけの操作。

それが、実数への帰還を保証している。

別解

共役は「実部と虚部を取り出す道具」である。

を、足したり引いたりしてみよう。

足す。

虚部が消えて、実数になった!

しかも、実部の だ。

引く。

実部が消えて、純虚数になった。

虚部の だ。

掛ける。

これは だ。

つの演算が、 つの重要な量を取り出す。

「共役は、複素数を分解する道具」なのだ。

この道具の使い道は、条件の言い換えにある。

が実数」という条件を、式で書きたい。

が純虚数」なら?

この つの言い換えが、複素数の問題で繰り返し使われる。

なぜ、わざわざ言い換えるのか。

と成分で書くと、未知数が つ()になる。

だが で書けば、 という つの文字で処理できる。

計算量が、劇的に減るのだ。

そして、共役には"分配法則"がある。

「共役をとる」という操作は、四則演算を素通りする。

確かめよう。

一致した。

この性質から、有名な事実が導かれる。

「実数係数の方程式が虚数解 をもつなら、 も解である。」

虚数解は、必ず共役なペアで現れる。

の解は — 確かに共役なペアだ。

共役という、符号を変えるだけの単純な操作。

それが、複素数の世界の"対称性"を体現している。

ポイント

  • 実軸に関して対称な点。

よくある間違い

  • 実部の符号まで変えて としてしまう。変えるのは虚部の符号だけ
  • 共役を「逆数」と混同する。共役は で、逆数()とは別物
  • の絶対値が と違うと考える。鏡に映しただけなので、