数学C / 複素数平面
極形式
問題
複素数 を極形式 で表せ。ただし とする。
ヒントを見る
極形式には『原点からの距離』と『偏角』の つが要る。まず点 を図に打ち、距離と角度を図から読み取ろう。
解答・解説
方針
絶対値 と偏角 (実軸とのなす角)を求める。、 は点 の方向。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 複素数には、 つの表し方がある。
① 直交形式 — 「横に 、縦に 」
② 極形式 — 「原点から距離 、角度 の方向」
同じ点を、 通りの座標で言い表しているだけだ。
極形式に直すには、 つの量を求める。
① 絶対値 (原点からの距離)
② 偏角 (実軸の正の向きから測った角)
点 は、右上 の方向にある。
まとめる。
なぜ、わざわざ極形式に直すのか。
掛け算が、劇的に簡単になるからだ。 それは次の問題で見よう。
① 絶対値を求める。 。
② 偏角を求める。 点 は第 象限で、実軸とのなす角は ()。
まとめ:極形式は「絶対値 × 向き()」。 は原点からの距離、 は実軸から測った角(偏角)。 は距離 、角 。積・累乗の計算で威力を発揮する。
発展 — 一歩先へ。 極形式には、もっと美しい書き方がある。
オイラーの公式。
極形式は、これを使うと
たった 文字だ。
この問題の なら
なぜ、この式が成り立つのか。
、、 を、それぞれ級数で書いてみよう。
に を代入する。
、、 を使って整理する。
カッコの中身に、見覚えはないだろうか。
前者は の級数、後者は の級数だ!
指数関数と三角関数が、虚数を通じてつながった。
この式の威力は、計算を見れば分かる。
極形式の積は、指数法則になる。
「絶対値は掛け算、偏角は足し算」 — 指数法則そのものだ。
ド・モアブルの定理も、一瞬で出る。
「 乗すると、偏角が 倍」 — 当たり前の指数法則である。
そして、 を代入すると
オイラーの等式。
(解析)、(代数)、(幾何)、(単位)、(無)。
数学の つの基本定数が、 本の式に収まっている。
ファインマンは、これを「数学のもっとも注目すべき公式」と呼んだ。
この、教科書どおりの極形式。
それを と書き直した瞬間、複素数は"回転する指数関数"という、まったく新しい顔を見せる。
別解
図に描けば、 は一目で分かる。
複素数平面に、点 を打つ。
原点から、この点へ矢印を引く。
横に 、縦に 。
この矢印は、どんな方向を向いているか。
横と縦が、まったく同じ長さ。 つまり、ちょうど斜め だ。
そして、矢印の長さは?
縦 、横 の直角二等辺三角形の斜辺。
( の、おなじみの三角形だ。)
図から、、 が読み取れた ✓
計算せずに、目で見て分かる。
この「図で確認する」習慣が、偏角のミスを防ぐ。
偏角の落とし穴。
この式だけを見ると、 とも とも取れる。
( は 周期だから。)
どちらが正しいか。
点 は、第 象限にある。 だから 。
もし点が (第 象限)なら、 でも だ。
「 の値だけでは、偏角は決まらない。象限を確認する。」
これが、極形式でいちばん間違えやすいポイントである。
必ず図を描いて、点がどの象限にあるかを確かめる。
つの象限での、偏角の範囲。
- 第 象限(、):
- 第 象限(、):
- 第 象限(、):
- 第 象限(、):
この対応を、頭に入れておこう。
そして、極形式で書くと、複素数の"正体"が見えてくる。
「大きさ 、向き 」
大きさと向き — これは、ベクトルの 要素そのものだ。
複素数は、平面のベクトルと同じ情報をもっている。
だが、複素数には掛け算がある。
そして、極形式で書くと、その掛け算の意味が、透けて見えてくるのだ。
ポイント
- 極形式 。
- は絶対値、 は偏角(実軸とのなす角)。
よくある間違い
- から偏角を決めるとき、象限を確認せず (第 象限)としてしまう。点 は第 象限
- 絶対値 を としてしまう。
- 極形式の の位置を間違えて の の前に を書き忘れる。 は の項に掛かる