微分法の応用の解説
文: KOSNiZ·最終更新: 2026年9月2日
微分法の応用は、前の単元で身につけた微分の計算を使って、接線・法線、関数の増減と凹凸、グラフの概形、最大・最小、方程式の解の個数、不等式の証明、速度と加速度を扱う単元です。数学IIの「微分の考え」と同じテーマを、三角・指数・対数・分数・無理関数で行うと考えてください。この記事では、グラフをかく手順を固定することを中心に、各テーマの要点を説明します。
接線と法線
接線の方程式は 、法線は傾きを にしたものです。接線の方程式(指数関数)から三角関数、標準の法線の方程式で確認してください。
原点や曲線外の点を通る接線は、接点を とおいて、その接線が与えられた点を通る条件から を決めます(標準の原点を通る接線、応用の曲線外の点から引いた接線)。 の方程式が超越方程式(指数や対数を含む)になることがあり、そのときは解を「見つける」か、方程式の解の個数だけを議論します。
グラフの概形は5つの手順を固定する
グラフの概形をかく問題は、手順を毎回同じにすることで失点が消えます。
1つ目、定義域を確認する(対数の真数条件、分母が0でない条件、根号の中が0以上)。2つ目、 を求めて増減表をかき、極値を求める。3つ目、 を求めて凹凸を調べ、変曲点を求める(問題が求めていれば)。4つ目、漸近線を調べる( の極限、分母が0になる点での極限)。5つ目、座標軸との交点を求める。
極値(x e^{-x})、変曲点、凹凸の判定で2つ目と3つ目を、標準のグラフの概形(漸近線つき)とlog x / x、応用の分数関数で5つの手順を通して練習してください。このサイトでは、、、、、 といった定番の関数のグラフを図解にしてあります。増減表とグラフの対応を、目で確かめてください。
最大・最小と方程式の解の個数
最大・最小は、増減表から極値と区間の端の値を比べます。数学IIと同じ手順ですが、 で0に近づくが0にはならない(最小値が存在しない)といった状況が出てきます。「最大値・最小値が存在するか」まで含めて答えるのが、数学IIIの流儀です(最大・最小(x e^{-x})、標準のx²e^{-x}、三角関数)。
方程式の解の個数は、定数を分離して とし、 のグラフと横線 の交点を数えます(応用の方程式の実数解の個数)。極限の値(漸近線)を正しく求めていないと、横線が交わる範囲を取り違えます。
不等式の証明は「差をとって最小値を評価」
のような不等式は、 とおいて、増減表から最小値が0以上であることを示します(標準の不等式の証明(微分))。 のように、1回の微分では最小値が決まらないときは、 の符号を調べるために を使う「2段階」になります(応用の不等式の証明(2段階))。「示したい不等式の両辺の差を関数とみる」という発想は、数学IIIの証明問題の大半で使います。
平均値の定理は、 となる が と の間にある、という定理で、 の範囲から不等式を作る問題に使います(平均値の定理、標準の平均値の定理と不等式)。
速度・加速度
直線上を動く点の位置 を時間で微分すると速度、もう一度微分すると加速度です。平面上の運動(円運動など)では、 と をそれぞれ微分してベクトルにします。速度と加速度、標準の3次、応用の円運動で、「速さは速度ベクトルの大きさ」という区別を確認してください。物理の運動学と同じ内容です。
つまずきやすいところ
最も多い失点は、漸近線の見落としです。 は で0に近づき、 で になります。この極限を求めずにグラフをかくと、解の個数を間違えます。極限の計算(前の単元)を、グラフをかく手順の中に組み込んでください。
次に、 の解が求まらない(超越方程式になる)ときに手が止まることです。この場合は、 の符号だけがわかれば増減表は書けます。「解を求める」のではなく「符号を調べる」と考え直してください。
学習の順序と入試での出方
基礎12問で接線・極値・変曲点・最大最小・速度・平均値の定理を確認し、標準12問で法線、漸近線つきの概形、不等式の証明、原点を通る接線、第2次導関数による判定を扱い、応用8問で最短距離、解の個数、2段階の証明、円運動、点対称、面積の最大へ進みます。
入試では、グラフの概形と解の個数、不等式の証明、接線の本数が3大テーマで、積分の応用(面積・体積)と組み合わさります。実戦編には、ウォリスの積分、交代級数、 への接線の本数、最小二乗法を、最難関編には、 と の大小、 の単調性、対数平均と幾何平均、ジョルダンの不等式など、有名な不等式の証明を集めました。