数学III / 微分法の応用

極値(x e^{-x})

★ 基礎極値

問題

関数 の極値を求めよ。

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積の規則で微分し、共通因数でくくる。指数関数の部分は常に正 — 符号の変化を決めるのは残りの因数だけ。増減表で極大か極小かを判定しよう。

解答・解説

方針

を積の微分で求め、 を解く。 なので、符号は残りの因数で決まる。符号変化から極大・極小を判定する。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 極値を求める手順は、 段階だ。

を計算する を解く③ 前後の符号を調べる

この関数は積の形()なので、積の微分を使う。

ここで、決定的に大事な観察がある。

指数関数は、絶対に にも負にもならない。

だから の符号は、 だけで決まる。

  • のとき なので、 で増加
  • のとき なので、 で減少

増加から減少へ切り替わる が、極大点だ。

「常に正の因数は、符号判定から外す」 — 指数を含む関数を扱う、いちばんのコツである。

公式積の微分。 なので符号は残りの因数で決まる

を求める。 積の微分。

を解く。 なので

③ 符号を調べる。 で正、 で負。正→負 なので 極大

xyO極大(1,1/e)
y=xe^{-x}。極大(1, 1/e≈0.37)、x→∞で0に近づく

まとめ: はつねに正なので、 の符号は残りの だけで決まる。 で正→負に変わり極大。値は 。指数がつく関数の極値の典型だ。

発展 — 一歩先へ。 という関数は、自然界で驚くほどよく現れる。

その理由は、「増加と減衰の積」という構造にある。

: 薬の血中濃度。

薬を飲むと、まず腸から吸収されて濃度が上がる。 同時に、肝臓で分解され、腎臓から排出されて濃度が下がる。

吸収(増加)と代謝(減衰)の綱引き。

濃度のグラフは、まさに の形になる。 飲んでしばらくで濃度がピークを迎え、その後ゆっくり減っていく。

「食後 分で効き始め、 時間後にピーク」 — この曲線の頂点が、極大値だ。

薬の投与間隔は、この関数から設計されている。

: 放射性物質の連鎖崩壊。

親核種 が崩壊して娘核種 になり、 もまた崩壊する。

の量は、 からの供給(増加)と、自身の崩壊(減衰)のバランスで決まる。

やはり の形になり、ある時刻でピークを迎える。

: 待ち行列・故障率。

製品の故障率も、この形をとることがある(初期不良で増え、その後は安定して減る)。

なぜ、これほど普遍的なのか。

「何かが供給され、同時に一定の割合で失われていく」という状況が、世界にありふれているからだ。

失われる分が現在量に比例する()なら、指数的減衰が生まれる。

この構造は、微分方程式で書ける。

そして、この解に が現れる。

極大値 という数も、示唆的だ。

、つまり「時定数」と呼ばれる特徴的な時間で、ピークを迎える。

という数は、工学のあちこちに顔を出す。 充電されるまでの時間」「信号が に減衰するまでの時間」— どれも が基準になっている。

の極大値を求める、という教科書の問題。

その答え は、薬が最も効く瞬間の濃度であり、回路が充電される速さであり、原子が崩壊するリズムでもある。

極大値 ()

別解

この関数の"性格"を、 つの力のせめぎ合いとして読む。

は、 つの部分の積だ。

  • — どこまでも大きくなろうとする(増加の力)
  • — 猛烈な勢いで に向かう(減衰の力)

つの力が、綱引きをしている。

が小さいうちは、増加の力が勝つ。 から に増えると、 自体は 倍から 倍へ大きくなるが、 の減り方はまだ緩やかだ。

が大きくなると、減衰の力が圧勝する。 指数関数の減り方は、 次関数の増え方より、圧倒的に速いからだ。

どこかで、力関係が逆転する。それが極大点だ。

数値で見てみよう。

を頂点として、上がって、下がる。

そして、 では

に収束する。指数の減衰が、完全に勝つ。

さて、極大点を「対数微分法」で求めてみよう。

両辺の対数をとる( の範囲で)。

掛け算が、足し算になった。

両辺を微分する。

となるのは、 のもとで のとき。

極値の候補が、あっさり出た ✓

極大値は

本解と同じ ✓

対数微分法の利点。

積の微分をしなくて済む。 が掛け算を足し算に変えてくれるので、微分が単純な引き算になる。

そして、 という形が便利だ。

の範囲では、 の符号は の符号と一致する。

符号の判定まで、そのままできる。

「掛け算の関数は、対数をとって足し算にする」 — 微分でも、符号判定でも、この一手が効く。

ポイント

  • → 符号は残りの因数で決まる。
  • 正→負 で極大。極大値

よくある間違い

  • の微分を としてしまい、マイナスを落とす。内側 の微分は なので
  • を解くとき、 という解も探してしまう。指数関数は決して にならない
  • となる を見つけて、それだけで「極大」と決めつける。前後の符号変化(増加 → 減少)を確認して初めて極大と言える