数学III / 微分法の応用
極値(x e^{-x})
問題
関数 の極値を求めよ。
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積の規則で微分し、共通因数でくくる。指数関数の部分は常に正 — 符号の変化を決めるのは残りの因数だけ。増減表で極大か極小かを判定しよう。
解答・解説
方針
を積の微分で求め、 を解く。 なので、符号は残りの因数で決まる。符号変化から極大・極小を判定する。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 極値を求める手順は、 段階だ。
① を計算する → ② を解く → ③ 前後の符号を調べる
この関数は積の形( と )なので、積の微分を使う。
ここで、決定的に大事な観察がある。
指数関数は、絶対に にも負にもならない。
だから の符号は、 だけで決まる。
- のとき なので、 で増加
- のとき なので、 で減少
増加から減少へ切り替わる が、極大点だ。
「常に正の因数は、符号判定から外す」 — 指数を含む関数を扱う、いちばんのコツである。
① を求める。 積の微分。。
② を解く。 なので 、。
③ 符号を調べる。 は で正、 で負。正→負 なので で極大。
まとめ: はつねに正なので、 の符号は残りの だけで決まる。 で正→負に変わり極大。値は 。指数がつく関数の極値の典型だ。
発展 — 一歩先へ。 という関数は、自然界で驚くほどよく現れる。
その理由は、「増加と減衰の積」という構造にある。
例 : 薬の血中濃度。
薬を飲むと、まず腸から吸収されて濃度が上がる。 同時に、肝臓で分解され、腎臓から排出されて濃度が下がる。
吸収(増加)と代謝(減衰)の綱引き。
濃度のグラフは、まさに の形になる。 飲んでしばらくで濃度がピークを迎え、その後ゆっくり減っていく。
「食後 分で効き始め、 時間後にピーク」 — この曲線の頂点が、極大値だ。
薬の投与間隔は、この関数から設計されている。
例 : 放射性物質の連鎖崩壊。
親核種 が崩壊して娘核種 になり、 もまた崩壊する。
の量は、 からの供給(増加)と、自身の崩壊(減衰)のバランスで決まる。
やはり の形になり、ある時刻でピークを迎える。
例 : 待ち行列・故障率。
製品の故障率も、この形をとることがある(初期不良で増え、その後は安定して減る)。
なぜ、これほど普遍的なのか。
「何かが供給され、同時に一定の割合で失われていく」という状況が、世界にありふれているからだ。
失われる分が現在量に比例する()なら、指数的減衰が生まれる。
この構造は、微分方程式で書ける。
そして、この解に が現れる。
極大値 という数も、示唆的だ。
、つまり「時定数」と呼ばれる特徴的な時間で、ピークを迎える。
という数は、工学のあちこちに顔を出す。 「 充電されるまでの時間」「信号が に減衰するまでの時間」— どれも が基準になっている。
の極大値を求める、という教科書の問題。
その答え は、薬が最も効く瞬間の濃度であり、回路が充電される速さであり、原子が崩壊するリズムでもある。
極大値 ()
別解
この関数の"性格"を、 つの力のせめぎ合いとして読む。
は、 つの部分の積だ。
- — どこまでも大きくなろうとする(増加の力)
- — 猛烈な勢いで に向かう(減衰の力)
つの力が、綱引きをしている。
が小さいうちは、増加の力が勝つ。 が から に増えると、 自体は 倍から 倍へ大きくなるが、 の減り方はまだ緩やかだ。
が大きくなると、減衰の力が圧勝する。 指数関数の減り方は、 次関数の増え方より、圧倒的に速いからだ。
どこかで、力関係が逆転する。それが極大点だ。
数値で見てみよう。
を頂点として、上がって、下がる。
そして、 では
に収束する。指数の減衰が、完全に勝つ。
さて、極大点を「対数微分法」で求めてみよう。
両辺の対数をとる( の範囲で)。
掛け算が、足し算になった。
両辺を微分する。
となるのは、 のもとで のとき。
極値の候補が、あっさり出た ✓
極大値は
本解と同じ ✓
対数微分法の利点。
積の微分をしなくて済む。 が掛け算を足し算に変えてくれるので、微分が単純な引き算になる。
そして、 という形が便利だ。
の範囲では、 の符号は の符号と一致する。
符号の判定まで、そのままできる。
「掛け算の関数は、対数をとって足し算にする」 — 微分でも、符号判定でも、この一手が効く。
ポイント
- → 符号は残りの因数で決まる。
- 正→負 で極大。極大値 。
よくある間違い
- の微分を としてしまい、マイナスを落とす。内側 の微分は なので
- を解くとき、 という解も探してしまう。指数関数は決して にならない
- となる を見つけて、それだけで「極大」と決めつける。前後の符号変化(増加 → 減少)を確認して初めて極大と言える