数学III / 微分法の応用

平均値の定理

★ 基礎平均値の定理

問題

関数 と区間 について、平均値の定理 ()を満たす を求めよ。

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定理の等式の左辺(平均変化率)を数値で計算し、右辺の と等しいとおいて の方程式を解く。出た が区間の内側にあるかも確認。

解答・解説

方針

左辺(平均変化率)を計算し、右辺 と等しいとおいて を求める。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 平均値の定理は、「割線の傾き」と「接線の傾き」を結びつける定理だ。

言葉で言うと、こうなる。

「区間の両端を結んだ直線と、平行な接線が、区間のどこかに必ず引ける。」

イメージしてほしい。

東京から大阪まで、平均時速 km で走った。 途中で、ちょうど時速 km だった瞬間が必ずある。

平均を出したなら、その平均値をぴったり実現する瞬間がどこかにある — それが平均値の定理である。

式で書くと

左辺が「平均変化率(割線の傾き)」、右辺が「 での接線の傾き」。

この問題では、両辺を計算して を求めるだけだ。

まず左辺(平均変化率)を数値で出し、次に とおいて を解く。 手順は単純である。

定理平均値の定理: で連続・微分可能なら となる に存在

① 平均変化率(左辺)を計算する。

と等しいとおく。

③ 範囲を確認する。 を満たす。

xyOABc=2
平均値の定理: 割線(1,1)-(3,9)に平行な接線をもつ c=2

まとめ:平均値の定理は「 点を結ぶ直線の傾き(平均変化率)と同じ傾きの接線が、途中に必ずある」という定理。その接点の を解くだけで求まる。

発展 — 一歩先へ。 平均値の定理は、「 がどこにあるか教えてくれない」。それなのに、なぜ最重要定理なのか。

答えは、「存在するだけで十分な場面が、山ほどある」からだ。

応用 : 「 ならば、 は定数」の証明。

当たり前に思えるだろうか。だが、証明が要る。

区間内の任意の をとる。 平均値の定理より

どの 点でも値が等しい → 定数関数 ✓

がどこにあるかは、まったく使っていない。 ただ「存在する」ことだけで、証明が完結した。

この結果は、積分の基礎になる。

「原始関数は、定数の差を除いて 通り」 — 不定積分の が正当化されるのは、この定理のおかげだ。

応用 : 「 ならば、 は増加」の証明。

これも、当たり前に見えて、証明が要る。

だから、

増減表の根拠が、平均値の定理だった。

「導関数の符号から、関数の増減が分かる」 — 我々が毎回やっているこの推論は、平均値の定理に支えられている。

応用 : 不等式の証明。

を示そう。

に、区間 で平均値の定理を使う。

ここで だから 、よって

の正確な位置は不要。「」という範囲だけで、不等式が示せた。

これが平均値の定理の使い方だ。

は存在する。位置は分からない。だが、範囲は分かる。」

その"範囲"の情報だけで、驚くほど多くのことが証明できる。

微分の理論を支える屋台骨 — それが平均値の定理である。

そして、この定理自体は、もっと基本的な「最大値・最小値の定理」から導かれる。

数学は、こうして 段ずつ積み上げられている。

別解

答えの が「区間の中点」であることに、気づいただろうか。

これは偶然か。それとも、必然か。

一般の 次関数で、確かめてみよう。

区間 での平均変化率を計算する。

分子の を因数分解する。

平均変化率が、きれいな形になった。

一方、導関数は

平均値の定理の式に入れる。

で割る。

偶然ではなかった。 次関数なら、どんな区間でも、 は中点になる。

この問題では 計算するまでもなかった。

なぜ、中点になるのか。

放物線が、軸に関して左右対称だからだ。

区間の両端から等距離の点(中点)で、対称性から傾きが平均になる。

では、 次関数ではどうか。

平均変化率は

より

中点()ではない!

次関数は左右対称ではないので、 は中点からずれる。

「中点になるのは 次関数の特権」だった。

この観察が教えてくれること。

平均値の定理は「 が存在する」としか言っていない。 どこにあるかは、関数によって違う。

「存在は保証するが、位置は教えない」

この一見弱そうな主張が、微積分の最重要定理のひとつである理由は、次の発展で明らかになる。

ポイント

  • 平均変化率 となる が存在。
  • 内にあることを確認。

よくある間違い

  • 平均変化率 の分母を にしてしまう。分母は区間の幅
  • と書き間違える。右辺は導関数の値(接線の傾き)
  • 求めた が区間の内側()にあるかを確認しない。定理は開区間内の の存在を主張している