数学III / 微分法の応用
速度と加速度
問題
数直線上を動く点 の時刻 での座標が で表される。時刻 での速度 と加速度 を求めよ。また、速度が になる時刻を求めよ。
ヒントを見る
速度は位置の微分、加速度は速度の微分 — 定義どおりに 回微分する。
解答・解説
方針
速度は座標の時間微分 、加速度は速度の時間微分 。 を解くと、運動の向きが変わる時刻が分かる。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 位置、速度、加速度 — この つは、微分の階段でつながっている。
なぜ、そうなるのか。
速度とは、位置が時間あたりどれだけ変わるかだ。それは、まさに位置の変化率 — つまり微分である。
加速度は「速度が、時間あたりどれだけ変わるか」。
微分するたびに、 段上がる。
そして、この問題では「 になる時刻」も聞かれている。
速度 とは、動きが止まる瞬間だ。
だが、そこで永久に止まるわけではない。 多くの場合、向きが変わる折り返し点である。
ボールを真上に投げたとき、最高点で一瞬止まる — あの瞬間が だ。
「 は、運動の折り返し」 — この物理的な意味を持って計算に臨もう。
① 速度を求める。 座標を で微分。
② 加速度を求める。 速度をもう 回微分。
③ 速度が の時刻。
まとめ:速度は位置の微分、加速度は速度の微分( 位置の 階微分)。 の は、点 が向きを変える瞬間(いったん止まって折り返す)。加速度が一定 なのは等加速度運動だからだ。
発展 — 一歩先へ。 「位置を微分すると速度、速度を微分すると加速度」
では、加速度をさらに微分すると?
ジャーク(躍度)という。
「加速度の変化率」だ。
この量は、乗り心地を決める。
エレベーターを想像しよう。
- 速度が一定 → 何も感じない(等速運動)
- 加速度が一定 → 一定の圧迫感(体が押される感じが続く)
- 加速度が急変(ジャークが大きい) → 「ガクン」とくる
不快なのは、加速度そのものではなく、加速度の"変化"なのだ。
だから、高級なエレベーターや新幹線は、ジャークを小さくするように制御されている。
加速するときも、なめらかに加速度を上げていく。 急に力をかけない。
ジェットコースターの設計でも、ジャークが問題になる。 直線からいきなり円弧のカーブに入ると、加速度が不連続に変化する(ジャークが無限大になる)。
だから、クロソイド曲線という、曲率が連続に変化する曲線が使われる。
高速道路のカーブにも、同じ曲線が使われている。 ハンドルを一定の速さで回せば曲がれるように設計されているのだ。
微分の階段は、さらに続く。
(名前は冗談めいているが、実際に使われている。)
そして、逆方向にも階段は伸びる。
位置を積分すると? 「アブソーメント」という量になる(制御工学で使う)。
微分と積分の階段の、どのあたりに注目するか。
それは、何を知りたいかによる。
- どこにいるか → 位置
- どれくらいの速さか → 速度
- どんな力がかかっているか → 加速度()
- 乗り心地はどうか → ジャーク
ニュートンの運動方程式が「加速度」の式である理由も、ここにある。
力は、加速度と直結している。 だから、物理法則は「 階微分」の方程式として書かれる。
階でも 階でもなく、 階。 この事実が、世界の運動を決めている。
、、 は
別解
点 の動きを、実際に追いかけてみる。
式だけ見ていても、運動のイメージが湧かない。 時刻ごとに、どこにいるかを書き出そう。
動きが見えてきた。
で原点にいる。そこから左(負の向き)へ動き出す。
で、いちばん左()に達する。
そこから右へ折り返し、 で原点に戻る。
その後は、右へ加速しながら遠ざかっていく。
速度を計算すると、この動きが裏づけられる。
- : — 左へ動いている
- : — 止まる(折り返し)
- : — 右へ動いている
が、まさに折り返しの瞬間だ ✓
加速度は?
常に右向きに、一定の加速度がかかっている。
これは「等加速度運動」だ。 車が一定の力でブレーキをかけながらバックし、止まって、そのまま前進を始めるようなもの。
面白いのは、 の期間である。
速度は左向き()なのに、加速度は右向き()。
「加速度が右向きなのに、左へ動いている」
矛盾ではない。 加速度は「速度の変化」であって、「動く向き」ではないからだ。
右向きの加速度が、左向きの速度を、じわじわ弱めている。
速度が、毎秒 ずつ増えている(左向きが弱まり、やがて右向きに転じる)。
これが「減速」の正体だ。
車のブレーキも同じ。 前に進んでいる車にブレーキをかけると、加速度は後ろ向きになる。速度は前向きのまま、だんだん小さくなる。
速度と加速度の向きが逆 → 減速。 速度と加速度の向きが同じ → 加速。
位置・速度・加速度の つを、別々の情報として読めるようになると、運動が"見える"ようになる。
変位と道のりの違いも、押さえておこう。
での変位は — 元の位置に戻った。
だが、道のりは — 左に 進み、右に 戻ったから、 だけ動いている。
「差し引きゼロ」と「まったく動かなかった」は、違う。 折り返しがある運動では、この区別が決定的に重要になる。
ポイント
- 、。
- は運動の向きが変わる時刻。
よくある間違い
- 加速度を求めるのに、位置 を 回しか微分しない。加速度は位置の 階微分( をさらに微分)
- を「そこで永久に止まる」と解釈する。多くの場合は折り返しの瞬間で、直後には逆向きに動き出す
- 速度が負()のとき、「マイナスの速さ」だと考えて混乱する。負号は向き(左向き)を表し、速さの大きさは