数学III / 微分法の応用
最大・最小(x e^{-x})
問題
における関数 の最大値を求めよ。
ヒントを見る
極値の候補が区間内にあるかを確認して、候補と両端の値をくらべる。指数を含む値どうしの大小比較になる。
解答・解説
方針
区間内の の点と、両端 の値をくらべる。 より が候補。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 区間が限られている()。ここが最大のポイントだ。
最大値の候補は、 種類ある。
- 区間の内側で、 になる点(山の頂上)
- 区間の両端( と )
なぜ端が候補になるのか。
グラフが端で切られているからだ。 端では、そこから先へ行けない。だから、端の値が最大になることがある。
手順は 段階。
① 候補を全部出す。
は区間の内側にある ✓
② 候補の値を全部計算して、比べる。
この つを比べるだけ。
「閉区間の最大最小 極値の候補 端点」 — 端を忘れないこと。これが唯一にして最大の注意点である。
① 候補を出す。 より (区間 内)。
② 候補と両端の値を計算する。
③ 最大を選ぶ。 いちばん大きいのは 。
まとめ:数III でも閉区間の最大最小は「 の点 + 両端」をくらべる。 と の大小は、 で概算すると比べられる。
発展 — 一歩先へ。 「閉区間なら、最大値と最小値が必ず存在する」— これは当たり前だろうか。
当たり前ではない。定理として保証されているのだ。
最大値・最小値の定理(ワイエルシュトラスの定理)。
「有界な閉区間 で連続な関数は、必ず最大値と最小値をもつ。」
この定理の、 つの条件が効いている。
条件 : 閉区間であること。
開区間だと、成り立たない。
を、開区間 で考える。
最大値はあるか? を に近づければ、 は に近づく。だが は区間に入っていない。
? もっと大きい がある。? もっと大きいのがある。
最大値は存在しない。 いくらでも に近づけるが、決して到達しない。
端点が「入っている」ことが、決定的に重要なのだ。
条件 : 連続であること。
不連続だと、成り立たない。
閉区間 で定義されているが、 で不連続。
最大値は? やはり存在しない。 に近づくと値は に近づくが、 では に落ちてしまう。
「連続」と「閉区間」の両方があって、初めて最大値が保証される。
なぜ、こんな当たり前のことを定理にするのか。
「存在する」ことと「求められる」ことは、別だからだ。
この定理は、最大値がどこにあるかは何も教えてくれない。 ただ「必ずある」と保証するだけ。
その保証があるからこそ、我々は安心して探せる。
「候補を全部調べれば、その中に必ず答えがある」
もし最大値が存在しないかもしれないなら、、、 を比べたところで、「これが最大とは限らない」ことになってしまう。
存在定理は、探索を正当化する。
そして、この定理は経済学・物理学の根幹を支えている。
- 経済: 効用を最大化する消費計画は「存在する」か
- 物理: 最小作用の原理 — 自然は作用を最小にする経路を選ぶ。その経路は「存在する」か
- 最適化: 機械学習の損失関数に、最小値は「存在する」か
「解が存在する」ことを証明してから、「解を求める」。
数学が厳密さにこだわる理由は、この順序を守るためなのだ。
最大値 ()
別解
候補の値を、実際の数で並べて比べる。
「端点も候補」と言われても、ピンとこないかもしれない。 数字で確かめよう。
つの候補の値を、小数で出す。
並べる。
最大は ✓ 最小は 。
確かに、極大点が最大値になっている。
では、端点が最大になることは、本当にあるのか。
区間を変えてみよう。
区間 で、同じ関数の最大値は?
この区間には、 となる点()が含まれていない。
区間全体で、減少し続けている。
最大値は、左端の 。
極大点は、区間の外にある。 端点が最大値になった。
もう つ。区間 なら?
この区間では、ずっと増加している。 最大値は右端の 。
つのパターンが出そろった。
- 区間内に頂上がある → 頂上が最大
- 頂上が区間の左外 → 左端が最大(区間内は減少)
- 頂上が区間の右外 → 右端が最大(区間内は増加)
「 を解いて終わり」ではない理由が、これで分かる。
その点が区間に入っているか、入っていなければ増減はどうか — そこまで見て、初めて答えが出る。
実用的な手順を、まとめておこう。
① を解く
② 解が区間内にあるか確認する(外なら候補から外す)
③ 区間内の解と、両端の値を、すべて計算する
④ 数値を並べて、いちばん大きいものを選ぶ
この ステップを機械的に踏めば、閉区間の最大最小で間違えることはない。
「増減表を書いて、端の値も表に入れる」 — 増減表の左端と右端に、区間の端点の値を書き込む習慣をつけたい。
ポイント
- 候補は の点と両端。
- と は概算で比較。
よくある間違い
- の解 だけを調べ、端点(、)の値を計算し忘れる。閉区間では端も必ず候補
- を と読み違える。負の指数は逆数()であって、符号のマイナスではない
- 極大値がある限り、それが必ず最大値だと思い込む。区間の端の値のほうが大きいこともある