図形の性質の解説
文: KOSNiZ·最終更新: 2026年9月2日
図形の性質は、三角形の五心、線分の比に関する定理(チェバ・メネラウス)、円の性質(円周角・接弦定理・方べきの定理)、そして空間図形を扱う単元です。定理の名前が多く、覚えることが多い単元に見えますが、実際に問われるのは「図の中でどの配置を見つけるか」です。この記事では、定理を配置の特徴で見分ける方法と、練習の順序を説明します。
定理は「名前」ではなく「配置」で覚える
この単元の定理は、それぞれ特定の配置で使えます。名前を覚えるより、「こういう形を見たらこれ」という対応で覚えるほうが、問題で使えます。
角の二等分線が向かいの辺を分ける比は、はさむ2辺の比に等しい。三角形の頂点から出る3本の線が1点で交わっているならチェバの定理、1本の直線が三角形の3辺(またはその延長)を横切っているならメネラウスの定理。円周上の4点が見えたら円周角の定理か内接四角形、接線と弦が見えたら接弦定理、円の中で2本の弦が交わっているか、外の点から2本の直線が円を切っていたら方べきの定理。この対応を、基礎12問で1つずつ確認してください。
チェバとメネラウスは、式の形が同じで配置が違うので混同しやすい定理です。「1点で交わる3本」か「1本の横切る直線」かを図で見分けてから式を立てます。チェバの定理とメネラウスの定理を並べて解き、応用のチェバとメネラウスの併用で、1つの図の中で両方を使う練習をしてください。
五心はそれぞれ「何の交点か」
重心は3本の中線の交点で、中線を2:1に内分します。内心は3本の内角の二等分線の交点で、内接円の中心です。外心は3辺の垂直二等分線の交点で、外接円の中心です。垂心は3本の垂線の交点です。
問題では、「内心だから角の二等分線が引ける」「外心だから3頂点から等距離」というふうに、心の定義に戻って補助線を引きます。三角形の重心、内接円と接線の長さ、外心と中心角で定義を確認し、標準の内心と角の大きさ、外心と角の大きさで角度の計算に使ってください。
内接円の接線の長さは、「1つの頂点から出る2本の接線の長さは等しい」という性質から、3辺の長さで表せます。実戦編の内接円の接点までの長さ(s−a)は、この計算を一般化したものです。
円の性質は「等しい角」を探す
円周角の定理は、「同じ弧に対する円周角は等しく、中心角の半分」です。円に内接する四角形では、向かい合う角の和が で、外角は向かい合う内角に等しくなります。接弦定理は、接線と弦のなす角が、その弦に対する円周角に等しい、という定理です。
これらはすべて「等しい角を見つける」定理で、見つけた等しい角から相似な三角形を作り、辺の比や長さを求めるのが典型的な流れです。方べきの定理は、この相似から出てくる長さの関係を、定理として先に用意したものです。円周角の定理から方べきの定理まで基礎の4問で性質を確認し、標準の弧の比と円周角、接弦定理と三角形、応用の内接四角形の対角線と相似で相似への持ち込みを練習してください。
つまずきやすいところ
この単元で最も多い失点は、「定理は知っているのに、どの定理を使う配置なのかを図から見つけられない」ことです。対策は、問題の図を自分で描き直し、「1点で交わる線」「円を横切る直線」「接線」「等しい角」を印で示すことです。このサイトでは、32問中31問に図を付けてあるので、解説の図で「どこに目をつけたか」を確かめてください。
もう1つは、比の計算で「どの線分とどの線分の比か」を取り違えることです。チェバやメネラウスの式は、三角形の頂点を一周する順に「分子・分母・分子・分母…」と書く、という書き方を固定すると、取り違えが減ります。
空間図形
後半の空間図形では、正多面体の面・辺・頂点の数(オイラーの多面体定理 )、直線と平面の位置関係(ねじれの位置)、正四面体の高さと体積を扱います。オイラーの多面体定理、標準の正八面体とねじれの位置、応用の正四面体の高さと体積とサッカーボール型多面体で、数え上げと計量の両方を確認してください。
面積比で線分の比を求める
チェバ・メネラウスの定理を使わずに、面積比で線分の比を求める方法があります。「同じ高さの三角形の面積比は底辺の比」「同じ底辺の三角形の面積比は高さの比」という2つの事実から、三角形の内部の点で分けられた小三角形の面積比を追うと、線分の比が出ます。応用の3本の中線でない線と面積比と難関の2本のチェバ線と面積比、実戦編のチェバの定理(面積比で示す)で、この方法を確認してください。チェバの定理そのものが、面積比で証明できます。
面積比の方法は、定理の配置が見えないときの「逃げ道」として役立ちます。定理で解く方法と面積比で解く方法の両方を持っていると、片方で詰まったときに切り替えられます。
定理の証明を1度は追う
この単元の定理(角の二等分線の比、チェバ、メネラウス、方べき、接弦定理)は、どれも相似か面積比か円周角で証明できます。証明を1度追っておくと、「どの配置で使えるか」の理解が深まり、配置の判定が速くなります。方べきの定理は「円周角から相似な三角形が出て、対応する辺の比から長さの積が等しくなる」という流れで、応用の内接四角形の対角線と相似がその証明の型そのものです。難関(★★★★)以上には、オイラー線・スチュワートの定理・トレミーの定理のように、証明も含めて扱う問題を置いてあります。
学習の順序と入試での出方
基礎12問は、中点連結定理、角の二等分線、五心、チェバ・メネラウス、円の性質、多面体の順です。標準12問は同じ定理を角度や長さの計算に使い、応用8問で定理の併用、内接円と外接円の半径、角の二等分線の長さ、面積比を扱います。
入試では、この単元が単独で出ることは少なく、数学Iの図形と計量(正弦定理・余弦定理)や、数学Cのベクトルと組み合わさって出ます。ベクトルで解ける問題の多くは、この単元の定理でも解けるので、両方の解き方を見比べると理解が深まります。難関(★★★★)以上には、オイラー線、スチュワートの定理、トレミーの定理、傍接円など、平面幾何の有名な定理を証明も含めて扱う問題を置きました。