数学A / 図形の性質
円周角の定理
問題
円 の周上に3点 、、 がある。弧 (点 を含まないほう)に対する中心角 とする。
円周角 を求めよ。
ヒントを見る
は弧 を中心から見た角、 は同じ弧を円周から見た角だ。円周から見た角は、中心から見た角に対してどんな大きさになるか思い出そう。
解答・解説
方針
同じ弧 を、中心 から見た角と、円周上の から見た角。この2つの大きさの関係を使う。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 円の問題で最初に確認するのは、その角がどの弧を見ている角かである。
は中心 が頂点 → 中心角。 は円周上の点 が頂点 → 円周角。
つとも、同じ弧 ( を含まないほう)を見ている。
「中心が頂点か、円周上が頂点か」を見分ける。 それだけで、 倍するか半分にするかが決まる。中心角のほうが大きい — 図を見れば当たり前だが、あわてると逆にしてしまう。
と は、どちらも同じ弧 を見ている。中心から見た角(中心角)と円周から見た角(円周角)では、円周角のほうが半分。
発展 — 一歩先へ。 円周角の定理は、実際の競技場の設計にまで顔を出す。
ラグビーのコンバージョンキックを考えよう。トライした地点から、タッチライン(サイドライン)と平行な線上のどこからでも蹴れる、というルールがある。ゴールポストの 本(、)を見込む角が最大になる位置は、どこか?
これは「見込む角が最大の点を探せ」という問題だ。円周角の定理から、、 を通る円が、蹴る位置の直線に接するとき、その接点で角が最大になる(円が小さいほど円周角は大きく、直線と交わってしまうとその外側では角が小さくなる)。
キッカーが「どこまで下がるか」で悩むのは、この最適化問題を解いているのだ。
同じ問題は、美術館で絵をいちばん大きく見込める位置(レギオモンタヌスの問題)としても知られている。天井近くに掛けられた絵は、近づきすぎても離れすぎても見込む角が小さくなる — ちょうどよい距離があるのだ。
「円周角一定の弧」という道具が、最適な位置を教えてくれる。 幾何は、コートの上にも美術館にも生きている。
別解
円周角の定理には、答えを出すこと以上に大事な使い道がある。それを つ紹介したい。
使い道1: 「同じ弧を見る角は、どこから見ても等しい」
点 を、弧の上でどこへ動かしても
変わらない。 中心角 が動かないのだから、その半分も動かない。
これは、驚くべきことだ。 サッカーで、ゴールの幅()を「見込む角」を考えよう。ゴールに近づけば角は大きく、離れれば小さくなりそうに思える。しかし、円周上を動くかぎり、角度はまったく同じなのだ。
「一定の角度で を見込む点の集まり」 円弧。 これが円周角の定理の、いちばん深い意味である。
使い道2: タレスの定理( の特別な場合)
弧 が半円(中心角 )のとき、つまり が直径のとき
直径を見込む円周角は、必ず直角。 円周上のどこに を取っても、必ず直角三角形になる。
逆も成り立つ。 「 を満たす点 の集まり」は、 を直径とする円である。「直角に見える点の軌跡は円」— 軌跡の問題で頻出する。
使い道3: 円周角の定理の逆( 点が同じ円周上にある証明)
「 点から同じ角度で見込まれているなら、 点は同じ円の上にいる」。
これが本当に強力だ。「 点が同一円周上にあることを示せ」という難問が、角度が等しいことを示すだけの問題に変わる。そして 点が共円だと分かれば、今度は円周角・内接四角形・方べきの定理と、円の道具がすべて使えるようになる。
円は、角度を運ぶ乗り物である。 離れた つの角を「同じ弧」でつなぎ、等しいと言い切れる。バラバラの角度に、円が橋を架ける — 幾何の問題で「円を見つける」ことが決定打になるのは、このためだ。
ポイント
- 円周角 = 中心角 ÷ 2(同じ弧を見ているとき)。
- 円周上のどこから見ても、同じ弧なら円周角はいつも同じ大きさ。
よくある間違い
- 円周角を中心角の2倍にしてしまう(円周角は中心角の半分)
- どちらの弧に対する角かを確認しない( を含まないほうの弧が対応する)
- 円周角が点 の位置で変わると思い込む(同じ弧に対する円周角はどこでも等しい)