数学A / 図形の性質

方べきの定理

★ 基礎方べきの定理

問題

円の2つの弦 が円の内部の点 で交わっている。 とする。

PABCD263PD
2弦の交点 P。PA·PB = PC·PD

の長さを求めよ。

ヒントを見る

交点 から左右に伸びる長さのかけ算が、弦 側と弦 側で等しくなる。 を等号でつないでみよう。

解答・解説

方針

円の中で2本の弦が交わるとき、交点から測った長さの「かけ算」が、2本で等しくなる(方べきの定理)。式を1つ立てれば が出る。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 本の弦が円の中で交わっている — 方べきの定理の出番だ。

「同じ弦の 本を掛ける。それが、もう 本の弦でも同じ値になる」。

掛ける相手を間違えないこと。 同じ弦 の上にある 本。 の上 本。 のように、違う弦どうしを掛けてはいけない。

つの点 から見て、どの弦を通っても「積」が同じ — この不変性が、方べきの定理の心臓部である。

定理方べきの定理:2つの弦が点 で交わるとき

交点 から両側に測った長さのかけ算が、2本の弦で等しくなる。式にすると

数を入れる。

左は なので

発展 — 一歩先へ。 方べきの定理も、逆が成り立つ

長さの積を計算するだけで、 点が共円だと証明できる。 角度を測る必要すらない — これは強力だ。

さらに、方べきは数IIの「円の方程式」と直結する。 と点 について

符号にも意味がある。

  • ()→ は円の
  • は円周上
  • は円の

つの式の符号が、点と円の位置関係を完全に語る。

そして、 つの円について「方べきが等しい点の集まり」を考えると、直線になる。これを根軸という( 円が交わるなら、その共通弦を延長した直線だ)。数IIの「 円の方程式を引き算する」という計算は、まさにこの根軸を求めている。

幾何(長さの積)と代数(円の方程式)が、方べきという つの量で結ばれている。 別々に見えた つの単元が、実は同じものを違う言葉で語っていた — 数学を学び進めると、こういう再会が何度も訪れる。

別解

方べきの定理の正体は、相似である。 証明を追えば、なぜ「積」という形になるのかが分かる。

を見比べる。(対応する頂点の順番に注意 が対応する。)

組の角が等しいことを示す。

組目: 対頂角。

( 本の直線が交わってできる対頂角だから、当然等しい。)

組目: 円周角。

この つは、どちらも弧 に対する円周角である。だから等しい。

角が等しいので、相似。

相似なら、対応する辺の比が等しい。

たすきに掛ける(内項の積 外項の積)。

方べきの定理が証明された。 「積」の形が出てくるのは、比例式をたすきに掛けたからだったのだ。

円周角の定理が、離れた つの三角形を相似で結んでいる — 円の力である。

方べきの定理には つの型がある。 どれも同じ「積が一定」だが、点 の位置が違う。

型1(この問題): が円の内部。 本の弦が交わる。

型2: が円の外部。 本の割線を引く(円を 回ずつ横切る)。式の形はまったく同じ

型3: が円の外部で、片方が接線。 接線の長さを とすると

接線のときだけ 乗になる — なぜか。接線は「 つの交点が重なった割線」だから、 になるのだ。極限で 点が 点に融合する — 接弦定理と同じ発想である。

つの型を、別々の公式として覚えてはいけない。 すべて「点 から円へ引いた直線の、 つの交点までの距離の積は一定」という つの事実の顔違いだ。

この一定値を"方べき"という。 中心からの距離を 、半径を とすると、方べきの値は に等しい — 点と円の位置関係を測る量なのである。

ポイント

  • 方べきの定理:交点から測った長さのかけ算が、2本の弦で等しい。
  • 接線が絡むときは (接線は2乗)になる。

よくある間違い

  • のように、違う弦どうしを掛けてしまう
  • 接線の場合()と混同して、2乗をつけたり外したりする
  • が円の外にあるときは別の公式が要ると思い込む(内部でも外部でも式の形は同じ)