数学A / 図形の性質

三角形の重心

★ 基礎重心中線

問題

の3本の中線の交点を とする。辺 の中点を とする。

GABCM21
重心 G は中線を 2:1 に分ける(AG:GM = 2:1)

(1) 中線 のとき、 の長さを求めよ。

(2) のとき、中線 の長さを求めよ。

ヒントを見る

重心 は中線 を2つに分けている。頂点 に近いほうと、辺 に近いほうでは、長さの比が決まっている。図の を見くらべてみよう。

解答・解説

方針

は3本の中線が集まる点(重心)だ。重心は中線を、いつも決まった比で分ける。頂点側と辺側、どちらが長いかに注目。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 重心について覚えることは、たった でよい。

重心は、中線を頂点側から に分ける。 頂点に近いほうが 、辺に近いほうが 頂点側が長い、と覚える。

(1) 中線 は、 つぶんにあたる。 つぶんは だから

(2) つぶん。 つぶんは で、 つぶんだから

比を「何個ぶん」で考えると、行き来が楽になる。 は全体の である。

定理重心:三角形の3本の中線は1点(重心 )で交わり、 は各中線を頂点側から に分ける

つまり 。頂点 に近いほうが長く、辺の中点 に近いほうが短い。

(1) に分ける。合計は 個分。

(2) は全体の にあたる。 なので、全体

発展 — 一歩先へ。 三角形には、重心のほかにも「 本の線が 点で交わる」点がいくつもある。五心と呼ばれる。

  • 重心(): 本の中線の交点。三角形の面積の中心
  • 外心(): 辺の垂直二等分線の交点。 頂点から等距離 → 外接円の中心
  • 内心(): 角の二等分線の交点。 辺から等距離 → 内接円の中心
  • 垂心(): 本の垂線の交点
  • 傍心: 外側にできる円の中心( つある)

どれも「 本が 点で交わる」という、当たり前ではない事実を含んでいる( 本の直線は普通、三角形を作ってしまう)。

そして、驚くべき定理がある。

重心 、外心 、垂心 は、必ず同じ直線上に並ぶ。 しかも という決まった比で。

この直線をオイラー線という。 世紀の数学者オイラーが発見した、幾何学で最も美しい定理のひとつだ。

どんな三角形を描いても — 細長くても、ひしゃげていても — つの中心が、必ず一直線に並ぶ。実際に定規で描いて確かめてみてほしい。幾何には、まだ人を驚かせる力がある。

(1) (2)

別解

なぜ なのか。 その理由を つの角度から見よう。 つは物理の目、もう つは座標の目である。

見方1: 重心は「つり合いの点」。

三角形の つの頂点に、同じ重さのおもりを 個ずつ置く。この 点の重さがつり合う点 — それが重心だ( という文字も、重心を表す言葉の頭文字である)。

なぜ になるのか。 シーソーで考えよう。

のおもり( ずつ)は、その中点 にまとめて の重さを置いたのと同じ働きをする(中点なら左右がつり合うから)。

すると三角形の重心は、 に重さ に重さ 」のつり合う点になる。

シーソーのつり合いは「重さ 距離」が等しいとき。

重い側(、重さ )が支点に近い。 てこの原理そのままだ。だから頂点側が つぶん、辺側が つぶんになる。

三角形の板を、鉛筆の先で支えるとしたら、重心の 点で支えられる — 物理的な意味がちゃんとある定理なのである。

見方2: 座標で確かめる。

頂点の座標を とすると、重心の座標は 点の平均になる。

一方、( の中点)は

この つから を書き直す。

これは「 に内分する点」の公式そのものだ( 側の重みが 側の重みが のとき、点は から見て の位置にくる)。

が中線 上にあり、 である — 座標だけで証明できた。しかも の式は について対称だから、他の 本の中線についても同じことが言える — つまり 本の中線が 点で交わることまで、同時に証明されている。

本が 点で交わる」という奇跡のような事実が、 という対称な式の中に、あっさり収まっている。対称性が、交点の存在を保証する — 数学の鮮やかさが見える瞬間だ。

ポイント

  • 重心は中線を 2:1(頂点側 2、辺側 1)に分ける。
  • 「頂点側が 2」を取りちがえないこと。長いほうが頂点側。

よくある間違い

  • の向きを逆にする(頂点側が 、辺の中点側が )
  • を中線の半分()としてしまう(正しくは 倍)
  • (2)で から の順に出すべきところ、いきなり としてしまう