数学A / 図形の性質
オイラーの多面体定理
問題
正十二面体は、正五角形の面が 枚集まってできた立体である。
(1) 辺の数 を求めよ。
(2) 頂点の数 を求めよ。
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まず辺の数から。面は正五角形なので1枚に辺が5本。ただし1本の辺は、となり合う2枚の面で共有されている。頂点は、面と辺の数が分かれば の式で求まる。
解答・解説
方針
面の枚数と、1枚の面が持つ辺の数から、まず辺の総数を数える。頂点の数は、オイラーの多面体定理 にあてはめれば出る。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 正十二面体の辺や頂点を、 つずつ数えるのは無理だ(立体を回しているうちに、数えたか数えていないか分からなくなる)。
そこで数え上げの技を使う。
(1) 辺を数える。 「正五角形 枚に辺が 本、面が 枚だから 本」— これは数えすぎである。
本の辺は、必ず 枚の面で共有されている(立体の辺は、 枚の面の境目だから)。だから で割る。
「二重に数えて、後で割る」 — 数え上げの常套手段だ。
(2) 頂点を数える。 ここでオイラーの多面体定理が使える。
(1) 面は正五角形が 枚。正五角形1枚の辺は 本なので、面ごとに数えると 本。
でも1本の辺は、となり合う 枚の面が共有している。つまり同じ辺を 回ずつ数えてしまっている。だから で割る。
(2) オイラーの定理 に 、 を入れる。
発展 — 一歩先へ。 正多面体は、なぜ 種類しかないのか。 これは古代ギリシャ以来の有名な事実で、オイラーの定理から証明できる。
条件はこうだ。 つの頂点に 枚以上の正多角形が集まり、その角の和が 未満でなければならない( ちょうどだと平らになってしまい、立体にならない)。
- 正三角形(): 枚()・ 枚()・ 枚()まで可。 枚は で平面になる → 種類
- 正方形(): 枚()のみ。 枚は → 種類
- 正五角形(): 枚()のみ。 枚は で超過 → 種類
- 正六角形(): 枚で — もう立体にならない → 種類
合計 種類。これで打ち止めである。 角形以上は言うまでもない。
「 つしかない」という事実は、宇宙のどこでも変わらない。 プラトンはこの つの立体に火・土・空気・水・宇宙を対応させた(プラトンの立体と呼ばれる所以だ)。ケプラーは惑星の軌道をこの 立体で説明しようとした。
現代でも、正二十面体はウイルスの殻の形として現れ(限られた種類のタンパク質で最も効率よく球に近い殻を作れるから)、サッカーボールは正二十面体の頂点を切り落とした形をしている。
「これしかない」という有限性が、自然界の形を決めている。 数え上げと簡単な不等式から、こんな結論が出てしまう — 幾何学の恐ろしさと美しさが、ここにある。
(1) (2)
別解
オイラーの定理を使わずに、頂点も数え上げで出せる。 そして両方の答えが合うことで、オイラーの定理そのものを検算できる。
頂点を、辺と同じ発想で数える。
正五角形 枚には頂点が 個。面が 枚だから、単純に掛けると
しかし、これも数えすぎだ。 つの頂点には、何枚の面が集まっているか?
正十二面体では、 つの頂点に 枚の正五角形が集まる。(実際に模型やサイコロを見ると分かる。正五角形の内角は で、 枚なら — 未満なので立体の角ができる。 枚だと で を超えてしまい、平面をはみ出して閉じない。)
だから で割る。
オイラーの定理と同じ答え ✓。
そして、これでオイラーの定理を検算できる。
ぴったり になった。
数え上げの原理は つ。「全部数えて、重複した回数で割る」。
- 辺: 本の辺は 枚の面が共有 → で割る
- 頂点: つの頂点に 枚の面が集まる → で割る
「何個で共有しているか」を見極めるのが要点。 辺はいつでも 枚(これは立体なら必ずそう)。頂点は立体によって違う( 枚、 枚、 枚 )。
この方法で、 種類の正多面体をすべて調べられる。
| 正多面体 | 面の形 | 面 | 頂点に集まる面 | 辺 | 頂点 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 正四面体 | 三角形 | |||||
| 立方体 | 正方形 | |||||
| 正八面体 | 三角形 | |||||
| 正十二面体 | 五角形 | |||||
| 正二十面体 | 三角形 |
すべて ✓ — オイラーの定理の威力が見える。
表を眺めると、面白い対応に気づく。 正十二面体(、)と正二十面体(、)は、面と頂点の数が入れかわっている(辺はどちらも )。立方体(、)と正八面体(、)も同じだ。
これは偶然ではない。 正十二面体の各面の中心を結ぶと、正二十面体ができる(双対という)。面が頂点に、頂点が面に化ける — つの立体は、互いの影のような関係にある。
正四面体だけは、自分自身と双対()。孤高の存在だ。
ポイント
- 辺の数 = (1面の辺の数 × 面の数)÷ 2(1辺は2面で共有)。
- オイラーの定理 は、どんな凸多面体でも成り立つ。
よくある間違い
- 辺を としてしまう(1本の辺は2枚の面が共有するので2で割る)
- 頂点を数えるとき、1頂点に集まる面の数(正十二面体では3枚)で割るのを忘れる
- オイラーの定理を や と誤って覚える(正しくは )