力と運動の法則の解説

文: KOSNiZ·最終更新: 2026年9月2日

力と運動の法則は、力学の中心となる単元です。いろいろな力(重力・垂直抗力・張力・弾性力・摩擦力・浮力)の性質、力のつり合い、運動の3法則と運動方程式を学びます。この単元で身につける「力を全部図に描いて、方向ごとに式を立てる」という手順は、円運動・単振動・電磁気まで、物理のすべての場面で繰り返し使います。この記事では、その手順と、力の見落としが起きる場所を説明します。

力を描く手順

物体にはたらく力を図示するときは、「その物体に触れているもの」を1つずつ確認し、触れているものから受ける力(垂直抗力・張力・摩擦力・弾性力)を描き、最後に離れていてもはたらく重力を加えます。この順序で描くと、力の見落としがなくなります。

次に、運動の方向とそれに垂直な方向に力を分解します。斜面なら「斜面に沿う方向」と「斜面に垂直な方向」です。斜面上の重力の分解で、重力を に分ける計算を、図と一緒に確認してください。このサイトのこの単元は、全32問に力の図を付けてあります。

つり合いと運動方程式

静止している(または等速で動く)物体では、各方向の力の和が0です。加速度をもつ物体では、運動の方向について (運動方程式)、垂直な方向についてはつり合いです。「静止・等速ならつり合い、加速していれば運動方程式」という判断を、問題を読んだ時点で決めてください。

糸でつるしたおもりのつり合い、標準の2本の糸でつるしたおもり斜面上のつり合いでつり合いを、運動方程式の基本2つの力を受ける物体、標準のなめらかな斜面をすべり降りるで運動方程式を練習してください。

つながれた2物体(標準の糸でつながれた2物体を引く定滑車でつながれた2物体、応用の机の端の滑車で吊る)は、物体ごとに運動方程式を立てて連立します。2物体の加速度の大きさが等しいこと、糸の張力が両端で等しいことが、連立の橋渡しになります。

作用反作用とつり合いの区別

「作用反作用」は2つの物体の間ではたらく1組の力で、「つり合い」は1つの物体にはたらく複数の力の関係です。机の上の本にはたらく重力と垂直抗力はつり合いの関係で、作用反作用ではありません(作用反作用の相手は、本が机を押す力です)。つり合いと作用反作用の区別で、この区別を図で確かめてください。応用の接触した2物体を押すは、2物体間の接触力が作用反作用であることを使って解く問題です。

摩擦力は「値が決まっているのは動摩擦だけ」

静止摩擦力は、「動かないように」必要なだけはたらく力で、大きさは ではなく、つり合いの式から決まります。 は「最大摩擦力」で、静止摩擦力がこれを超えると動き出します。動摩擦力は動いている間 で一定です。静止摩擦力と最大摩擦力、標準の動き出す条件と動き出した後で、この3つ(静止摩擦・最大摩擦・動摩擦)の区別を確認してください。「静止摩擦力の大きさを とする」のは、この単元で最も多い誤りです。

摩擦のある斜面を上って戻る運動(応用の同名の問題)では、動摩擦力の向きが上りと下りで逆になるので、加速度が変わります。往復を1つの式で扱わず、上りと下りで運動方程式を別々に立ててください。

圧力と浮力

水圧は深さに比例し、 です。浮力は「押しのけた液体の重さ」で、 です(アルキメデスの原理)。浮力は「物体の重さ」ではなく「押しのけた液体の重さ」で決まる、という点を浮力の大きさで確認してください。浮く木片(標準の水に浮かぶ木片)は浮力と重力のつり合い、水中でのばねばかりの読み(応用の密度の測定)は、重力・浮力・ばねの力のつり合いです。

エレベーターと空気抵抗

エレベーターの中の体重計(標準の同名の問題)は、運動方程式の理解を測る定番です。体重計が示す値は「体重計が人を押す垂直抗力」で、上向きに加速していれば で重く、下向きに加速していれば で軽くなります。等速なら で、上りでも下りでも変わりません。「加速度の向き」だけが値を決める、という点を確認してください。

空気抵抗を受けて落下する物体(標準の空気抵抗と終端速度、応用の速度に比例する抵抗)は、抵抗力が速さとともに増え、重力とつり合ったところで加速が止まります。このときの速さが終端速度で、運動方程式で とおけば求まります。速さの時間変化は、最初は自由落下に近く、やがて終端速度に飽和する曲線になります。同じ「速さに比例する抵抗で終端速度に達する」構造は、専門物理の電磁誘導(レール上の導体棒)で再登場します。

学習の順序と次の単元へ

基礎12問で、重さと質量、フックの法則、つり合い、重力の分解、垂直抗力、運動方程式、作用反作用、摩擦、水圧、浮力を確認し、標準12問でつながれた物体、エレベーター、斜面、終端速度、浮く物体を扱い、応用8問で連結系、往復運動、接触力、密度の測定、速度に比例する抵抗、非対称のつり合い、摩擦角へ進みます。

次の「仕事と力学的エネルギー」では、力を「時間で追う」代わりに「距離で積算する」考え方(仕事)を学びます。この単元の運動方程式で解ける問題を、エネルギーで解き直す場面が多いので、両方の方法を見比べてください。専門物理の「剛体のつり合い」では、力のつり合いに「力のモーメントのつり合い」が加わります。

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