物理基礎 / 力と運動の法則

2本の糸でつるしたおもり(対称)

★★ 標準力のつり合い力の分解

問題

天井の 2 点から同じ長さの軽い糸を張り、質量 のおもりをつるしたところ、どちらの糸も鉛直方向と の角をなして静止した。重力加速度の大きさを とする。糸 1 本の張力の大きさを求めよ。

60°60°
同じ長さの 2 本の糸が、鉛直方向とそれぞれ 60° をなす
ヒントを見る

対称だから 2 本の張力は同じ大きさ。各張力の「鉛直成分」を考えて、上向きの合計と重力をつり合わせよう。

解答・解説

方針

左右対称なので 2 本の張力は等しい。鉛直方向のつり合い(鉛直成分の合計=重力)だけで解ける。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 糸が斜めなら、張力を成分に分解してつり合いを考える。左右対称の配置では水平成分は自動的に打ち消し合うので、鉛直方向の式 1 本で解ける。

① 張力の鉛直成分。

張力 は鉛直と をなすから、鉛直成分は

② 鉛直方向のつり合い。

2 本分の鉛直成分が重力を支える。

まとめ 張力がちょうど重力と同じ値になったのは偶然ではない。 だからだ。角を開くほど( より大きくすると) が小さくなり、張力は重力より大きくなっていく。水平に近いロープで物を吊ると張力が跳ね上がる — 洗濯ロープがピンと張れない理由がこの式に入っている。

発展 — 一歩先へ。 角を に近づける(糸を水平にする)と 。完全に水平な糸で重さのあるものを支えることは、どんなに強い糸でも原理的にできない。

別解

力の三角形で見るルート(得意な人向け)。 つり合う 3 力(張力 2 本と重力)は、矢印をつなぐと閉じた三角形になる。

対称な配置では、この三角形は頂角 ()の二等辺三角形で、底辺が重力 。頂角 の二等辺三角形は、実は正三角形を半分に…ではなく、等辺と底辺の比が …を確かめるより早く、この場合は各底角が で、正弦定理から等辺 と計算するより、成分法(本解)が結局速い。力の三角形は「3 力がつり合う=矢印が一周して閉じる」という描像として持っておき、計算は成分で行う、が実戦的な使い分けだ。

ポイント

  • 斜めの力は成分に分解してつり合いを立てる
  • 対称配置は水平成分が自動で消える
  • 角を開くほど張力は大きくなる(cos で割るから)

よくある間違い

  • 鉛直との角 60° を水平との角と取り違えて sin と cos が逆になる(図で角の位置を確認)
  • 張力 1 本で重力を支える式 にしてしまう(2 本分を足す)
  • 対称でない配置でもこの解き方を使う(非対称なら水平方向の式も必要)