物理基礎 / 力と運動の法則

机の端の滑車で吊る(水平と鉛直の連結)

★★★ 応用滑車連結体運動方程式

問題

なめらかな水平な机の上に質量 の物体 A を置き、軽い糸をつけて机の端のなめらかな軽い滑車にかけ、糸の先に質量 の物体 B をつるして静かに放した。重力加速度の大きさを とする。

A 3.0 kgB 1.0 kg
机上の A と、滑車を介してつるした B。放すと B が落ち、A が引かれる

(1) 2 物体の加速度の大きさを求めよ。

(2) 糸の張力の大きさを求めよ。

ヒントを見る

滑車は力の向きを変えるだけ。A は糸に引かれて水平に、B は重力に引かれて鉛直に、同じ速さで動く。2 物体それぞれの運動方程式を立てよう。

解答・解説

方針

A は水平に、B は鉛直に、同じ大きさの加速度で動く。各物体の進む向きを正に運動方程式を 2 本立てて連立する。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 A は水平、B は鉛直と、動く方向は違うが、糸でつながっている以上速さも加速度の大きさも共通だ。滑車は向きを変えるだけで、張力の大きさも糸の両端で等しい。

あとは定滑車の問題と同じ。各物体の「進む向き」を正にして式を並べる。

① 各物体の運動方程式。

A(水平、糸に引かれる向きを正): 水平方向の力は張力だけ。

B(鉛直下向きを正): 重力と張力。

② 連立を解く。

足すと が消えて

A の式から

まとめ 構造は「全体 を、B の重さ だけが引っぱる」。A の重力と垂直抗力は鉛直方向でつり合っていて、運動には顔を出さない。動きを駆動する力はどれかを見抜くと、系全体が 1 行で読める。

発展 — 一歩先へ。 もし机に摩擦(動摩擦係数 )があれば、駆動力から摩擦 が差し引かれ、 になる。分子が負なら動かない(動き出さない)。式の各部品が物理の役割と 1 対 1 に対応している。

(1) (2)

別解

全体を 1 本の系と見るルート(得意な人向け)。 糸を伸ばして 1 直線と見ると、全体 を動かす外力は B の重力 だけ(A の重力は垂直抗力と相殺)。

張力は「A を引く係」だから A だけの式で 。定滑車(両側吊り)との違いは、片側の重力が駆動に参加しない点だけだ。

ポイント

  • 方向が違っても加速度の大きさと張力は共通
  • 駆動するのは B の重力だけ(A の重力は相殺)
  • 足し算で内部力 T を消すのが連立の定石

よくある間違い

  • A の式に A の重力 29.4 N を入れる(水平方向の運動に鉛直の力は入らない)
  • 張力を B の重さ 9.8 N とする(B は加速しながら落ちるので張力は 9.8 N より小さい)
  • 加速度を g とする(全体の質量で B の重力を割る)