物理基礎 / 力と運動の法則
動き出す条件と動き出した後
問題
水平な床の上に質量 の物体が置かれている。静止摩擦係数を 、動摩擦係数を 、重力加速度の大きさを とする。
(1) 水平に の力で押したとき、物体は動くか。動かない場合、摩擦力の大きさも答えよ。
(2) 押す力を大きくしていくと、物体はやがて動き出した。動き出す直前の押す力の大きさを求めよ。
(3) 動き出した後も の力で押し続けた。このときの加速度の大きさを求めよ。
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(1)はまず最大摩擦力を計算して押す力と比較。(3)では摩擦係数が静止用から動摩擦用に切り替わることに注意しよう。
解答・解説
方針
静止中は「押す力 vs 最大摩擦力 μ₀N」で動くかを判定。動き出したら摩擦は動摩擦 μ'N に切り替わり、運動方程式で加速度を出す。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 摩擦の問題は「静止中」と「滑走中」でルールが切り替わる。
静止中: 摩擦力は必要な分だけ(上限 )。滑走中: 摩擦力は で一定。この切り替えを意識して、段階ごとに処理する。
① 動くかどうかの判定。
より、最大摩擦力は
押す力 なので動かない。静止中の摩擦力はつり合う分だけだから 。
② 動き出す直前。
摩擦力が上限に達した瞬間に動き出す。
③ 動き出した後。
摩擦は動摩擦に切り替わり 。運動方程式は
まとめ 同じ で押していても、動き出す直前は加速度 、動き出した瞬間から 。動き出すと摩擦が μ₀N から μ'N へ下がる(ふつう )ため、急に軽くなる。重い家具を押すとき、動き出しがいちばん大変で動き出せば楽になる、あの体感の正体だ。
(1) 動かない。摩擦力 (2) (3)
別解
摩擦力のグラフで全体を見るルート(得意な人向け)。 横軸に押す力 、縦軸に摩擦力 をとると、 は と等しく増える 45° の直線()をたどり、 で頭打ち、動き出すと へ段差で落ちる。
この 1 枚のグラフに(1)(2)(3)が全部載っている。(1)は直線上の点、(2)は頭打ちの角、(3)は段差の後で が加速に回る。摩擦の問題で迷ったら、このグラフを描いて自分がどの区間にいるか確かめるとよい。
ポイント
- 静止中はつり合い(上限 μ₀N)、滑走中は μ'N 一定
- 動き出す条件は F>μ₀N
- 動き出すと摩擦が下がり急に加速が始まる
よくある間違い
- (1)で摩擦力を 19.6 N と答える(静止中は押す力とつり合う 15 N)
- (3)で静止摩擦係数のまま計算して a=0 とする(滑走中は動摩擦係数に切り替え)
- 動摩擦力を速さに比例させてしまう(μ'N は速さによらず一定)