物理基礎 / 力と運動の法則

水中でのばねばかりの読み(密度の測定)

★★★ 応用浮力力のつり合い密度

問題

ある金属のかたまりをばねばかりにつるすと、読みは であった。次に、つるしたまま全体を水中に沈めると、読みは になった。水の密度を 、重力加速度の大きさを とする。

(1) この金属にはたらく浮力の大きさを求めよ。

(2) この金属の体積を求めよ。

(3) この金属の密度を求めよ。

ヒントを見る

水中で読みが軽くなった分は何の力か。浮力がわかれば、アルキメデスの原理から体積が逆算できる。

解答・解説

方針

読みの差=浮力。浮力 ρVg から体積が、空中の読みから質量が出るので、密度=質量÷体積で決まる。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 ばねばかりの読み=張力だ。水中では浮力が持ち上げてくれるぶん張力が減る。つまり読みの差がそのまま浮力

浮力がわかれば体積が、空中の読みから質量がわかるから、密度まで一直線に決まる。王冠が純金かどうかを見破ったというアルキメデスの逸話は、まさにこの測定だ。

① 浮力。

水中でのつり合いは「張力+浮力=重力」。よって

② 体積。

より

③ 密度。

空中の読みから質量は

7.84 N空中5.88 N水中
水中では浮力のぶん読みが軽くなる。読みの差 7.84−5.88=1.96 N が浮力

まとめ 定規もメスシリンダーも使わず、ばねばかり 2 回の読みだけで体積と密度が測れた。形が複雑な物体でも通用するのがこの方法の強みだ。ちなみに は金()にはほど遠い — この「王冠」は偽物ということになる。

(1) (2) (3)

別解

読みの比で密度を出すルート(得意な人向け)。 空中の読みは (物体の密度 )、浮力は 。比をとると が消えて

体積を経由せず、読みの比 から密度が水の 倍と即断できる。比で消える量を探すのは、測定の設計そのものだ。

ポイント

  • ばねばかりの読み=張力、読みの差=浮力
  • 浮力 → 体積 → 密度、の数珠つなぎ
  • 密度=ρ水×(空中の読み÷浮力)の比でも出る

よくある間違い

  • 水中の読み 5.88 N を浮力とする(浮力は差の 1.96 N)
  • 体積の計算で物体の密度を使ってしまう(浮力の式に入るのは水の密度)
  • 質量を 7.84 kg とする(読みは N。g で割って 0.80 kg)