物理基礎 / 力と運動の法則

静止摩擦力と最大摩擦力

★ 基礎静止摩擦力摩擦

問題

水平な床の上に質量 の物体が置かれている。物体と床の間の静止摩擦係数を 、重力加速度の大きさを とする。

(1) 最大摩擦力(静止摩擦力の最大値)を求めよ。

(2) この物体を水平に の力で押したところ、動かなかった。このとき物体にはたらいている静止摩擦力の大きさを求めよ。

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静止摩擦力は「必要な分だけ」はたらく力。動かなかったのなら、摩擦力は押す力と何の関係にあるだろうか。

解答・解説

方針

最大摩擦力は μ₀N。ただし静止中の摩擦力は「押す力とつり合う分だけ」はたらく — 最大値を答えるのは(1)だけ。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 静止摩擦力の急所は、ふだんは「必要な分だけ」はたらくということ。 は「出せる上限」であって、いつも ではない。

アルバイトに例えると、 は「最大シフト」。ふだんは仕事量(押す力)に合わせて働く。

公式最大摩擦力 (: 静止摩擦係数、: 垂直抗力)

① 最大摩擦力。

水平な床なので

② 実際にはたらいている摩擦力。

押す力 は上限 以下なので動かない。動かない=つり合っているのだから、摩擦力は押す力と同じ

押す力摩擦力O6.09.86.09.8
静止摩擦力は押す力と同じだけはたらく(45°の直線)。9.8 N(最大)を超えると動き出す

まとめ 静止摩擦力は(2)のようにつり合いの式から決める を使うのは「動き出すぎりぎりか」を判定するときだけ。この使い分けができれば摩擦は怖くない。

(1) (2)

別解

押す力を増やしていく実験で見るルート(苦手な人向け)。 押す力を から少しずつ増やすと、摩擦力も とぴったり同じだけ増えて、つり合い続ける(だから動かない)。

を超えた瞬間、摩擦はもうつり合えず、物体が動き出す。摩擦力をグラフにすると「押す力に比例して増え、 で頭打ち」の折れ線になる。この頭打ちの値が だ。

ポイント

  • 静止摩擦力は必要な分だけ(つり合いから決める)
  • μ₀N は上限値。使うのは動き出しの判定のみ
  • 押す力が μ₀N を超えると動き出す

よくある間違い

  • (2)を と答える(静止中の摩擦力は押す力とつり合う )
  • N を重力と混同して式に mg 以外が入る状況(斜面や押しつけ)でも mg のまま使ってしまう
  • 摩擦係数に単位をつける(μ は比なので無単位)