物理基礎 / 力と運動の法則

エレベーター内の体重計

★★ 標準運動方程式垂直抗力見かけの重さ

問題

質量 の人が、エレベーターの床に置いた体重計に乗っている。重力加速度の大きさを とする。体重計が示す値(人が体重計を押す力の大きさ)を、次の各場合について求めよ。

(1) エレベーターが上向きに の加速度で動いているとき。

(2) エレベーターが下向きに の加速度で動いているとき。

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人にはたらく力は重力と体重計からの垂直抗力の 2 つ。人もエレベーターと同じ加速度で動いていることを運動方程式にしよう。

解答・解説

方針

人に注目して運動方程式 ma=N−mg を立てる。体重計の読みは垂直抗力 N の反作用なので、N を求めればよい。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 体重計が示すのは「人が体重計を押す力」で、これは垂直抗力 の反作用。だから人に注目して を求めればよい。

人はエレベーターと同じ加速度で動いているから、つり合いではなく運動方程式を立てる。

① 上向き加速のとき。

上向きを正として、人の運動方程式は

ふだん()より重く表示される。

② 下向き加速のとき。

加速度は だから

軽く表示される。

エレベーター50 kg垂直抗力 N重力 mg加速度 a
エレベーター内の人。上向き加速なら N=m(g+a)>mg で、体重計は重く表示する

まとめ エレベーターが上に加速する瞬間、体が沈み込むように感じるあの体感が だ。式の形 は「見かけの重力加速度が になった」と読める。もし下向きに で落ちれば — 無重量状態。国際宇宙ステーションの「無重力」は、この が続いている状態にほかならない。

(1) (2)

別解

速度でなく加速度が効くことの確認ルート(つまずき対策)。 「上昇中か下降中か」で答えを分けたくなるが、式に入るのは加速度だけ。

たとえば「下降しながら減速している」エレベーターの加速度は上向きだから、(1)と同じ になる。等速で動いていれば、上昇中でも下降中でも 。体重計の読みを変えるのは動く向きではなく「速度の変化」だ、という理解が本質になる。

ポイント

  • 体重計の読み=垂直抗力 N(の反作用)
  • N=m(g+a)(上向き加速)、N=m(g−a)(下向き加速)
  • 効くのは速度でなく加速度

よくある間違い

  • 「上昇中なら重い」と向きだけで判断する(下降中でも減速なら重くなる。加速度で判断)
  • 等速運動でも読みが変わると考える(a=0 なら 490 N のまま)
  • 運動方程式の左辺に N を、右辺に ma を置くなど式の形が崩れる(ma=合力、で統一)