軌跡と領域の解説
文: KOSNiZ·最終更新: 2026年9月2日
軌跡と領域は、「条件を満たす点の集まり」を式で表す単元です。前半の軌跡は「点がどこを動くか」、後半の領域は「不等式がどの範囲を表すか」、そして領域の上で1次式や距離の最大・最小を求める問題(線形計画法)へ進みます。図形と方程式の公式を前提に、答えが「図形」になる問題を扱うのがこの単元です。
軌跡は「動点を とおいて条件を式にする」
軌跡の求め方は、手順が固定されています。求める点を とおき、与えられた条件を 、 の式で書き、整理して図形の方程式を得ます。最後に「逆に、この図形上の点は条件を満たす」ことを確認します(除外点があれば除きます)。
2点から等距離なら垂直二等分線、定点から一定距離なら円、2点からの距離の比が一定(1でない)ならアポロニウスの円です。2点から等距離の点の軌跡、定点から一定距離、アポロニウスの円で、この3つの基本形を確認してください。
動点が別の動点に連動して動く場合(円上の点 の中点 など)は、 とおいて の座標を 、 で表し、 が満たす式に代入します。連動する点の軌跡、標準の重心の軌跡、応用の動く弦の中点の軌跡は、この「連動型」の練習です。
2直線の交点の軌跡のように、媒介変数(パラメータ)が入っている場合は、パラメータを消去します。標準の交点の軌跡(媒介変数の消去)と応用の媒介変数で表された点の軌跡で、消去のあとにパラメータの範囲から来る「軌跡の範囲」を確認する手順まで身につけてください。
領域は「境界線を描いて、どちら側かを1点で確かめる」
不等式 の表す領域は、境界線 を描いて、その上側です。円なら内部か外部、連立なら共通部分です。迷ったら、境界線上にない1点(原点など)を代入して不等式が成り立つかどうかで、どちら側かを決めます。直線の表す領域、円の内部・外部、連立不等式の領域の順に進んでください。
積の形 のような不等式は、「両方正」または「両方負」に分けます。絶対値を含む不等式は、絶対値の中身の符号で場合分けするか、 ならひし形、というように図形として覚えます(絶対値を含む領域、標準の絶対値の和の領域)。
このサイトの領域の問題は、すべて解答側に塗り分けの図を付けてあります。境界を含むかどうか(実線か破線か)まで図で確認してください。
領域上の最大・最小は「動かす直線の切片」で読む
「領域 上で の最大値を求めよ」という問題は、 とおいて、傾き の直線を平行移動させ、領域と共有点をもつ範囲で の最大・最小を読みます。多角形の領域なら頂点で、円の領域なら接するところで最大・最小になります。領域と最大・最小、標準の頂点、円の領域と1次式の最大で、この「直線を動かす」見方を固めてください。
求める式が1次式でない場合は、その式が表す図形を考えます。 なら原点からの距離の2乗(円を動かす)、 なら原点を通る直線の傾き、 なら双曲線です。標準の距離の最大・最小、応用の傾きの最大・最小、円板上の積の最大・最小で、それぞれの図形の動かし方を練習してください。
つまずきやすいところ
軌跡で最も多い失点は、除外点の見落としです。「直線 上にない点」「 が と一致しない」といった条件は、求めた図形からその点を除くことを意味します。式変形の途中で分母を払ったり2乗したりしたときも、同値性が崩れていないかを確かめてください。
領域の最大・最小では、最大・最小をとる点が「頂点」か「接点」かを図で判断する必要があります。傾きの比較を怠ると、隣の頂点で最大と答えてしまいます。直線の傾きと、領域の辺の傾きを数値で比べる習慣をつけてください。
学習の順序と入試での出方
基礎12問は、軌跡の3基本形、領域の基本、連動する軌跡、絶対値の領域、3つの不等式、最大・最小の順です。標準12問で媒介変数の消去、線形計画法の文章題、面積、共有点条件を扱い、応用8問で距離の差、弦の中点、直角を見込む点、傾き・距離・積の最大最小、直線の通過領域へ進みます。
直線の通過領域(応用の同名の問題)は、「パラメータ を含む直線が通る点 の条件」を「 の方程式が実数解をもつ条件」に読み替える問題で、判別式の使い方が変わります。この「主役の交代」は、難関大の頻出テーマで、実戦編と最難関編にも通過領域の問題を複数置きました。図形と方程式の公式に加えて、2次方程式の解の配置(数学I)が前提になります。