数学II / 軌跡と領域

絶対値を含む領域

★ 基礎領域絶対値

問題

不等式 の表す領域を図示せよ。

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絶対値は場合分けで外す。 が正のときと負のときで境界の直線が変わる。まず境界のV字をかいてから、上下どちら側かを判定しよう。

解答・解説

方針

の符号で場合分けする。 では では 。2本の直線でできるV字の上側が領域。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 絶対値があるので、まず外す

中身 の符号で場合分けする。

のとき: なので

のとき: なので

つまり、右半分では直線 の上側、左半分では直線 の上側。

つを合わせると、原点から左右に開いた 字( のグラフ)の内側、つまり上側の領域になる。

のグラフは ()。その上側だ。

境界を含む( なので実線)。

絶対値のグラフを描いてから、上下を判定する — この順序が確実である。

公式。場合分けで境界を作る

のときは のときは

境界は2本の直線 でできるV字。その上側(内側)が領域。等号つきなので境界も含む。

xyO
y=|x| でできるV字の上側

発展 — 一歩先へ。 という関数には、 つ有名な特徴がある。原点で尖っていることだ。

この尖りは、微分の世界で問題を起こす。

の傾きは

  • では
  • では
  • では?

左から近づくと 、右から近づくと つの値が食い違う。

したがって では微分できない(微分不可能という)。関数はつながっている(連続である)のに、傾きが定まらない。

「連続だが微分できない点」 — その代表例が、この 字の頂点である。

この事実は、機械学習で実際に問題になる。 誤差を測る関数として (絶対誤差)を使うと、誤差が の点で微分できない。学習アルゴリズムは微分を頼りに進むので、そこで動けなくなってしまう。

だから多くの場合、( 乗誤差)が使われる。 乗ならどこでも滑らかで、微分できるからだ(統計の分散が 乗を使う理由の つでもある)。

「尖っている」か「滑らか」か。 この違いが、道具の使い勝手を決める。

さらに驚くべき事実。 世紀に、「どこでも連続なのに、どこでも微分できない関数」(ワイエルシュトラス関数)が発見された。 字の尖りが、 点どころかすべての点にあるような関数だ。

当時の数学者たちは「病的な関数だ」と嫌悪した。 しかし現代では、そうした関数こそがフラクタルとして、株価の変動や海岸線の形を記述している。

つの尖り。 そこから、滑らかさとは何か、という問いが始まる。

2直線 ()と ()の上側(V字の内側、境界を含む)

別解

この領域を、「角度」で読む見方がある。 図形的な直感が働くようになり、応用にもつながる。

まず、代入判定で形を確かめよう。

判定
領域内
領域内
領域内
領域外
領域外
境界上(含む)

「真上」は領域内、「真横」や「真下」は領域外。

角度で読む。

原点から見て、点の方向を角度 ( 軸の正の向きから測る)で表すと、この領域は

「真上を中心に、左右 ずつ開いた扇形(無限に広がる)」 である。

なぜ か。 境界の直線 の傾きが 、つまり の直線だからだ。

この見方の便利さ。

の領域内の点は、 座標が 座標の絶対値以上」 — つまり横に進んだ距離より、上に進んだ距離のほうが大きいということだ。

傾きが より急な方向にある点、と読める。

別の見方: は、 つの不等式の"かつ"に書き直せる。

なぜ「かつ」なのか。 大きいほうだから、 以上ということは、 以上でもあり、 以上でもあるということ。

以上 両方以上。

この書きかえは強力だ。 絶対値を外す場合分けが不要になり、連立不等式(問題6でやったこと)に帰着する 直線 の上側の共通部分、と読めばよい。

逆に、 なら?

今度は「または」になる。 の大きいほうだから、 がそれ以下ということは、大きいほうより下にいればよい — 片方だけ満たせば十分なのだ。

なら「かつ」、 なら「または」。 混同しやすいが、 の意味に戻れば必ず判断できる。

絶対値は「 の変装」 — この見方を持っておくと、場合分けの迷いが減る。

ポイント

  • 絶対値は符号で場合分けして境界を2本つくる。
  • はV字の内側(上側)。

よくある間違い

  • のグラフをV字でなく直線1本だと思ってしまう
  • の側で とすべきところを のままにする
  • を「または」でつないでしまう( のときは「かつ」。 の大きいほう)