数学II / 軌跡と領域

領域と最大・最小(頂点)

★★ 標準領域最大最小

問題

が連立不等式 の表す領域を動くとき、 の最大値を求めよ。

ヒントを見る

まず領域を正確にかく — 境界どうしの交点(頂点)がどこにできるかが勝負。最大を与える候補は頂点に絞れるので、すべての頂点で値を比べよう。

解答・解説

方針

領域は5つの直線で囲まれた多角形。 の直線を動かすと、領域からはみ出る直前の頂点で最大。全頂点の値を調べる。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 とおくと、これは傾き の直線の族だ。 を大きくすると、直線は右上へ平行移動する。

領域と共有点を保てる限界まで を上げると、最後に触れているのは領域の頂点(角)になる。

だから候補は頂点だけ。全頂点で を計算して比べれば最大が決まる。「直線を滑らせて、最後に残る角を探す」映像を持って計算する。

重要領域上の1次式の最大・最小は、領域の頂点でとる

① 領域の頂点をすべて求める。 領域は5つの境界で囲まれた多角形。角 を破る()ので切り取られる。残る頂点は

② 各頂点で を計算する。 なぜ頂点だけ調べればよいか。 は傾き一定の直線で、 を動かすと平行に動く。領域と最後に触れるのは必ず「角(頂点)」だから、頂点だけ調べれば足りる。

③ いちばん大きい値を選ぶ。 最大は での

xyO(4,2)
5角形の領域。頂点(4,2)で 2x+y が最大

まとめ:領域上の1次式の最大最小は、直線 を動かして「領域に最後に触れる頂点」でとる。切り取られる角(すべての制約を満たさない点)を頂点に入れないよう注意。

発展 — 一歩先へ。 「最適解は頂点にある」というこの原理は、線形計画法の基本定理と呼ばれ、産業の生産計画・輸送・配合の最適化を支える実用数学の入り口だ。次の文章題で、その現実の顔に出会う。

目的の傾きが辺の傾きとぴったり一致すると、最大の点は1点でなく辺全体になる。「答えが無数にある」場合の存在も、直線を滑らせる映像から自然に読み取れる。

最大値 (点 のとき)

別解

全頂点を調べず、「傾きの挟み撃ち」で最大の頂点を1点に絞る方法もある。

目的の直線 の傾きは 。領域の右上側の境界の傾きを並べると、 が傾き が垂直(いわば傾き )だ。

より急で、垂直よりは緩い。つまり目的の直線の傾きは、2つの境界の傾きのあいだにある。

このとき最大は、その2辺が出会う頂点 — の交点 — でとられる。

頂点5個の総当たりと同じ結論に、比較2回で着く。目的の式の係数が変わって傾きが動くと、最適な頂点が乗り移っていく。その乗り移りの瞬間(傾きが辺と一致し、辺全体で最大になる)まで見えると、この型は完全に手の内に入る。

ポイント

  • 1次式の最大最小は頂点で。全頂点を出して比べる。
  • 切り取られる角に注意(すべての制約を満たす頂点だけ)。

よくある間違い

  • 頂点の候補をすべて挙げない(直線どうしの交点 を見落とす)
  • 傾きの比較を誤り、最大の頂点を取り違える
  • 最大値だけ答えて、それをとる点の座標を書かない