数学II / 軌跡と領域
連立不等式の領域
問題
連立不等式 の表す領域を図示せよ。
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本ずつ処理する。各不等式の領域を薄く塗り、両方の色が重なった部分だけが答え。境界の扱いも不等号ごとに確認しよう。
解答・解説
方針
それぞれの不等式の領域(直線の上側・下側)を考え、両方を同時に満たす「共通部分(重なり)」が答え。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 連立不等式の領域は、「かつ」の領域 — つまり共通部分だ。
本ずつ、別々に領域を描いて、重なった部分を取る。
本目 : 直線 の上側(境界を含む)。
本目 : 直線 の下側(境界を含む)。
この つの共通部分。
直線の交点を求めておくと、図が描きやすい。
交点 を頂点とする、くさび形(V字を横に倒したような形)の領域になる。
「かつ」は共通部分(重なり)、「または」は合併(どちらかに入っていればよい) — この区別を、いつも意識する。
は直線 の上側(境界含む)。 は直線 の下側(境界含む)。
両方を同時に満たすのは、2つの領域が重なる部分。2直線ではさまれた部分になる。
発展 — 一歩先へ。 連立不等式が表す領域には、「凸(とつ)」という重要な性質がある。
凸な図形とは: 図形内の任意の 点を結ぶ線分が、すべて図形内に収まるもの。
- 凸: 円板、三角形、長方形、今回のくさび形
- 凸でない: 三日月形、星形、ドーナツ(問題 の領域)
そして、次の事実が成り立つ。
なぜか。 次不等式が表す「半平面」はそれ自体が凸で、凸な図形の共通部分は必ず凸になるからだ( 点が両方に入っているなら、それを結ぶ線分も両方に入る)。
この「凸性」が、最適化を可能にしている。
凸な領域では、こんな都合のいいことが起こる。
- 局所的な最適解が、そのまま全体の最適解になる(「近所で一番よい点」が「全体で一番よい点」)
- 最大・最小は、必ず頂点(端)でとる( 次式の場合)
- 効率的なアルゴリズムが存在する
凸でない領域だと、話は一気に難しくなる。 「近所で一番高い丘」が、実は全体で見れば低い丘かもしれない(局所最適解の罠)。機械学習の学習がうまくいかない原因の多くが、これだ。
「凸か、凸でないか」 — この一線が、解ける問題と解けない問題を分ける。現代の最適化理論は、この境界線をめぐって発展してきた。
連立不等式に色を塗る作業が、なぜこれほど大事に扱われるのか。 それは、凸領域という"扱いやすい世界"の入り口だからである。
2直線 、 ではさまれた部分(境界を含む)
別解
代入判定法を、連立不等式で使う。 テスト点を つ選んで全部の式に代入するだけで、その点が領域に入るか分かる。図の描き方も、これで確実になる。
テスト点 を選ぶ。( 直線のどちらの上にもない点なら、どこでもよい。)
本目に代入: → ✓ 成り立つ
本目に代入: → ✓ 成り立つ
両方成り立った → 点 は領域内。
この 点を含む側が、求める領域である。
別の点でも試して、境界を確かめよう。
点 : ? → 偽( 本目を満たさない)→ 領域外
点 : ✓、 ✓ → 領域内
点 : ✓、 ? → 偽 → 領域外
「領域内の点」と「領域外の点」を何個か試すと、図の形が確信を持って描ける。
この領域の形を、もう少し詳しく見よう。
直線の交点 から、左向きに開いたくさび形である。
- 上の境界: (右下がり)
- 下の境界: (右上がり)
- 直線は交点 で交わり、そこから左へ向かって開いていく
この領域は「無限に広がっている」 — 左方向へ、いくらでも伸びている(有界ではない)。
もし 本目の不等式( など)を足すと、領域は閉じて三角形になる。 問題11でそれをやる。
不等式を 本足すごとに、領域は狭くなる。
共通部分をとるたびに、範囲が絞られていく — 制約が増えるほど、選べる余地が減る。当たり前だが、これが最適化問題の本質だ(問題12で使う)。
答案の書き方のコツ。
- 境界線を 本とも引く(実線・破線を区別する)
- それぞれの不等式が表す側に、矢印や薄い斜線を入れておく
- 共通部分を、濃く塗る
- 「境界を含む」と注記する
段階で塗る(まず薄く つ、次に共通部分を濃く)と、自分でも間違えないし、採点者にも伝わる。
ポイント
- 連立=すべての不等式を同時に満たす=領域の重なり。
- 1つずつ領域をかいて、重なりを塗る。
よくある間違い
- 「かつ」なのに、2つの領域を合わせた部分(合併)を塗ってしまう
- 2直線の交点を求めず、図が正確に描けない
- を上側と読み違える( なので下側)