数学II / 軌跡と領域
定点から一定距離の軌跡
問題
定点 からの距離が である点 の軌跡を求めよ。
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求める点を とおき、『 からの距離が 』をそのまま式にする。根号を避けるには 乗で書けばよい。式の形を見れば、どんな図形かはすぐ分かる。
解答・解説
方針
1つの定点からの距離が一定なら、軌跡は円になる。 を2乗して式にすればそのまま円の方程式。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 「定点からの距離が一定」— これは円の定義そのものである。
答えを先に言えば、中心 、半径 の円だ。
しかし、軌跡の手順に沿って式で書く練習をしておこう。この手順が、複雑な問題で効いてくる。
手順1: とおく。
手順2: 条件を式にする。
手順3: 整理する。 両辺を 乗して根号を外す。
これが答え。 中心 、半径 の円である。
乗しても情報は失われない(両辺とも 以上だから)。安心して 乗してよい。
とおく。、2乗して
これは中心 、半径 の円そのもの。
発展 — 一歩先へ。 「定点からの距離が一定」という条件を、少し変えてみよう。驚くほど多彩な曲線が生まれる。
| 条件 | 生まれる曲線 |
|---|---|
| 定点からの距離が一定 | 円 |
| 定点からの距離の和が一定 | 楕円 |
| 定点からの距離の差が一定 | 双曲線 |
| 定点と 定直線からの距離が等しい | 放物線 |
| 定点からの距離の比が一定() | アポロニウスの円 |
すべて「距離の条件」から生まれている。
次曲線(楕円・双曲線・放物線)は、円錐を平面で切った断面としても現れる(だから「円錐曲線」と呼ばれる)。距離の条件と、円錐の切断 — まったく違う つの定義が、同じ曲線を生む。
そして、この曲線たちは宇宙を支配している。
ケプラーが発見した通り、惑星の軌道は楕円である(太陽が焦点の つ)。彗星の中には放物線や双曲線の軌道を描き、 度と戻ってこないものもある。
天体の軌道が 次曲線になる理由は、ニュートンの万有引力の法則( に比例)から数学的に導かれる。「距離の 乗に反比例する力」が、「 次曲線の軌道」を生む — 力の法則と、軌道の形が、数学で結ばれている。
円の方程式を書くという素朴な作業が、天体力学の入り口に立っている。 数Cの「平面上の曲線」で、この続きが待っている。
円
別解
同じ円を、「媒介変数(パラメータ)」で表す方法を見ておこう。軌跡の問題で、 つ目の強力な武器になる。
媒介変数表示。
中心 、半径 の円上の点は、角度 を使って
と書ける。 を から まで動かすと、点 が円を 周する。
確かめよう。 を使うと
媒介変数を消去すると、元の方程式に戻る。
この つの表し方には、それぞれの役割がある。
| 表し方 | 形 | 得意なこと |
|---|---|---|
| 方程式 | 「この点は円上か?」の判定 | |
| 媒介変数 | 、 | 点を動かす、次々に生成する |
「判定」と「生成」— 目的が違う。
媒介変数が真価を発揮するのは、"連動する点"の軌跡だ。
たとえば「 がこの円上を動くとき、 と定点 の中点 の軌跡は?」という問題。
媒介変数なら、素直に計算できる。
これは、中心 、半径 の円の媒介変数表示だ — 答えがそのまま読める。
「 を消去する」という作業が、軌跡を求めることになる。
媒介変数の考え方は、この先ずっと使う。
- 数C(平面上の曲線): サイクロイド、楕円、リサージュ曲線
- 数III(微分・積分): 媒介変数表示された曲線の接線・長さ・面積
- 物理: 時刻 を媒介変数として、物体の位置 を表す
「動くもの」を扱うには、媒介変数が要る。 円の方程式 は「そこにある」ことしか語らないが、、 は「どう動くか」まで語ってくれる。
静的な記述と、動的な記述。 つを行き来できるようになると、軌跡の問題の見晴らしがよくなる。
ポイント
- 定点から一定距離 → 円。中心=定点、半径=その距離。
よくある間違い
- 右辺を のままにする(2乗して にする)
- 中心の符号を間違える(中心 なら )
- の項を と書かずに省略して、式を見失う