数学II / 軌跡と領域
2点から等距離の点の軌跡
問題
2点 、 から等距離にある点 の軌跡を求めよ。
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軌跡はまず『求める点を とおいて条件を式にする』。距離のままだと根号が邪魔 — 乗どうしで等しいとおくと、驚くほど簡単な式に化ける。
解答・解説
方針
とおき、 を式にする。距離のままだとルートが出るので、両辺を2乗して整理する。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 軌跡の問題は、手順が決まっている。
手順1: 求める点を とおく。 手順2: 条件を、 と の式で書く。 手順3: 整理する。それが軌跡の方程式。
条件は「 からの距離 からの距離」。
根号を避けるため、 乗して考える。
と が両辺で打ち消し合う — だから展開すると 次式が残り、直線になる。
距離の条件が、 乗のおかげで直線の式に化ける — これがこの問題の面白さだ。
とおく。、2乗して
展開すると 、 が両辺で消える。
整理して
これは線分 の垂直二等分線。
発展 — 一歩先へ。 「 点から等距離」を「 点から等距離」に変えると、どうなるか。
点 、、 から等距離の点 — それは外心であり、 点を通る円の中心だ。
求め方は、垂直二等分線を 本引いて、その交点をとる。
- の垂直二等分線
- の垂直二等分線
この 本の交点が、 点から等距離の点。( の垂直二等分線も、自動的にそこを通る — これが「 本の垂直二等分線が 点で交わる」ことの証明になっている。)
つの軌跡を交わらせると、 点が決まる。 この発想が、GPS の原理そのものだ。
GPS はこう動く。
- 衛星 からの距離が分かる → 球面上のどこか(軌跡は球)
- 衛星 からの距離も分かる → つの球の交わり = 円
- 衛星 からの距離も分かる → 点まで絞れる(片方は地球外なので除外)
「距離の条件」を重ねるほど、位置が絞り込まれる。
軌跡の問題は「条件から図形を求める」 が、GPS は「図形の交わりから点を求める」 — 同じ数学の、逆向きの使い方だ。
スマホが現在地を知る仕組みが、垂直二等分線の延長線上にある。 数学は、いつのまにか生活の中で動いている。
直線 (線分 の垂直二等分線)
別解
この軌跡の正体は「垂直二等分線」だ。 それを知っていれば、計算せずに答えが書ける。 つのルートを比べてみよう。
幾何ルート: 垂直二等分線を直接作る。
「 点から等距離の点の集まり その 点を結ぶ線分の垂直二等分線」 — 中学で習った事実だ。
だから、線分 の垂直二等分線を求めればよい。
必要なのは つ。「通る点」と「傾き」。
通る点 中点。
傾き の傾きに垂直。
点 を通り、傾き の直線。
代数ルートと同じ答え。 しかも展開の計算が 度もない。
どちらを使うべきか。
- 「 点から等距離」と分かっている → 幾何ルート(垂直二等分線)が速い
- 条件が複雑(距離の比が など)→ 代数ルート( とおいて計算)
幾何ルートは速いが、使える場面が限られる。代数ルートは遅いが、どんな条件にも通用する。 両方持っておくのが強い。
答えの検算。 求めた直線上の点を つ選び、本当に 、 から等距離か確かめる。
点 (中点)で:
点 ( ✓ 直線上)で:
両方とも等距離。 軌跡の問題では、求めた図形の上の点が本当に条件を満たすか(これを「逆の確認」という)を確かめる習慣をつけたい。
なぜ「逆の確認」が要るのか。 軌跡を求める計算は「条件 方程式」の向きに進む。しかし答えとして書くべきは「方程式を満たす点は、すべて条件を満たす」という逆向きの主張だ。
多くの場合、式変形が同値なので自動的に成り立つが、 乗したり、割り算したりすると、余計な点が紛れ込むことがある。
この 乗は同値だ(距離は 以上なので、 乗しても情報が失われない)。だから今回は安心してよい。しかし、常にそうとは限らない — 次の問題(アポロニウスの円)で、その注意点が生きてくる。
ポイント
- 軌跡は とおいて条件を式にするのが基本。
- 距離の条件は2乗して 、 を消す。
よくある間違い
- 距離の式を2乗せずに、根号のまま計算しようとして行き詰まる
- 展開したあと 、 が消えることに気づかず、2次式のまま答えてしまう
- 求めた直線が本当に条件を満たすか(逆の確認)を書かない