数学II / 軌跡と領域
連動する点の軌跡
問題
点 が円 上を動く。定点 と を結ぶ線分の中点 の軌跡を求めよ。
ヒントを見る
動く点 と求める点 、 つの点があるので文字を分ける。 の座標から逆に の座標を表し、 が円上にいる条件へ流し込む — これが連動型の軌跡の型。
解答・解説
方針
求めたい点 を主役にする。 の座標を で表し、それを『 が円上にある』条件に代入する。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 「点 が動くと、それにつれて点 も動く」— 連動する点の軌跡だ。
手順は決まっている。
手順1: 求めたい点を とおく。
手順2: 動く点 の座標を、、 で表す。
は と の中点だから
これを について解く。
手順3: 「 が円上にある」という条件に、代入する。
整理すると
急所は手順2。「 を 、 で表す」 — 逆に解くのがコツだ。 の条件は分かっているのだから、そこへ持ち込む。
、 とおく。 は と の中点なので
これを 、 について解く。
は円 上にあるので代入する。
両辺を で割って
発展 — 一歩先へ。 「連動する点の軌跡」を求める手順は、実は変数変換という一般的な考え方の実例である。
やったことを、整理し直そう。
- 元の世界: が円 上を動く
- 移す規則: 、
- 新しい世界: はどんな図形を描くか
「規則を逆に解いて、元の条件に代入する」 — これが変数変換の型だ。
この手続きは、数IIIの「置換積分」とまったく同じ発想である。
「変数を取り替えて、扱いやすい世界へ移す」 — 数学のあらゆる場面で使われる、最強の戦略のひとつだ。
そして、コンピュータグラフィックスの世界では、これが日常の道具である。
D ゲームで、キャラクターを動かす・回転させる・拡大する — すべて「座標の変換」だ。行列を使って、 つの式で表す。
回転・拡大・平行移動が、この 本の式に収まる。 画面上のすべての点が、毎秒 回、この変換を受けている。
「 が動くと も動く」という素朴な問題。 その構造は、D グラフィックスの心臓部と同じである。
円
別解
この軌跡は、計算せずに"見える"。 幾何的な見方を身につけると、答えを予測してから計算に入れる。
幾何ルート: 「 を中心に、 倍に縮める」
は線分 の中点 — つまり、 から見て のちょうど半分の位置にある。
これは、 を中心とする比 の相似変換(縮小)である。
が円を描くなら、 も円を描く。 相似変換は、円を円に移すからだ。
あとは、中心と半径がどう変わるかを見るだけ。
中心: 元の円の中心 が、 を中心に 倍される。
( と の中点 — これが新しい円の中心だ。)
半径: 倍される。
答え: 中心 、半径 の円。
計算ルートと同じ答えが、 行で出た。
相似変換の視点を持つと、この手の問題が一気に見通せる。
- 「 と の中点」 → 中心の 倍縮小
- 「線分 を に内分する点」 → 中心の 倍縮小
- 「」 → 中心の 倍拡大
どの場合も、「元の図形と相似な図形」が軌跡になる。 円なら円、直線なら直線、放物線なら放物線 — 形は変わらず、大きさと位置だけが変わる。
答えを予測してから、計算で確かめる。 これが理想的な解き方だ。「答えはたぶん半径 の円だな」と分かっていれば、計算ミスに気づける。
そして「逆の確認」も、この見方で納得できる。
求めた円 上の点は、すべて中点として実現するか?
する。 を円上のどこにとっても、 で対応する が定まり、それは必ず元の円 上にある(相似変換は 対 の対応だから)。
「もれなく、ダブりなく」対応している。 だから求めた円全体が軌跡である(一部を除く必要はない)。
軌跡の問題では、「除外点」があることも多い。 たとえば「 が円周上を動く。ただし 」という条件があれば、対応する を軌跡から除く必要がある。問題文の細かい条件を、最後まで追いかける。
ポイント
- 連動型は『求める点で動点を表す → 動点の条件に代入』。
- 中点の関係から動点の座標を逆算するのがカギ。
よくある間違い
- の座標を 、 で表さずに、 の式のまま代入しようとする
- の 倍を忘れる(中点の逆算なので2倍して引く)
- の因数分解でつまずき、 で割り忘れる