数学II / 軌跡と領域
アポロニウスの円
問題
2点 、 について、 を満たす点 の軌跡を求めよ。
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比の条件は、まず根号の出ない形(両辺を整数倍してから 乗)に直してから座標を入れる。ていねいに整理し切ると、見覚えのある図形の式になる。
解答・解説
方針
は 。2乗して とし、、 で整理する。円になる(アポロニウスの円)。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 「距離の比が一定」— 前問までと違って、比が ではない。結果は直線ではなく、円になる(アポロニウスの円)。
手順は同じ。 とおいて、条件を式にする。
比の式を、掛け算の式に直すのが第一歩(内項の積 外項の積)。
乗して根号を外す。
展開して整理する。 、 の項が消えずに残る(係数が と で違うから)。
平方完成して
円である。 乗の項が消えるかどうかが、直線と円の分かれ目だった。
とおく。 より 。2乗して
展開して整理する。
両辺 で割り、平方完成する。
中心 、半径 の円。
発展 — 一歩先へ。 アポロニウスの円は、 年前のギリシャの数学者アポロニウスにちなむ。彼は円錐曲線の研究者としても知られる。
この円は、現代でも意外な場所で使われている。
つ目: 電波・音の強度。 つの発信源からの信号強度の比が一定になる場所は、アポロニウスの円を描く。信号の届く範囲の設計に使われる。
つ目: 双曲線航法。 距離の差が一定なら双曲線になる — 電波の到達時間差から船や飛行機の位置を割り出す航法(ロランなど)は、この原理で動いていた。GPS 以前の航法の主役だった。
つ目: 複素数平面での美しい表現。 数Cで複素数平面を学ぶと、アポロニウスの円は 行で書ける。
「 点からの距離の比が 」が、そのまま複素数の絶対値の比になる。 のときだけ直線(垂直二等分線)、それ以外は円 — つの式が、 つの図形を統一的に表す。
さらに深い視点。 複素数平面で という変換( 次分数変換)を考えると、この変換は「円と直線」を「円と直線」に移すという驚くべき性質を持つ(メビウス変換という)。
円と直線は、実は同じ仲間だった。 直線とは「半径が無限大の円」なのだ — アポロニウスの円で「比が なら直線」となったことの、深い理由がここにある。
点からの距離の比、という素朴な条件が、複素関数論という広大な世界の入り口になっている。
円
別解
計算せずに、アポロニウスの円を作図で求める方法がある。 「内分点と外分点が、直径の両端になる」という美しい事実だ。
発想: 直線 上には、条件を満たす点が つある。
つ目: 線分 を に内分する点。
確かめる: 、。比は ✓ 条件を満たす。
つ目: 線分 を に外分する点。
確かめる: 、。比は ✓ これも条件を満たす。
ここからが本題。この 点 、 は、求める円の"直径の両端"である。
中心は の中点。
半径は の半分。
計算ルートと同じ答えが、内分点・外分点だけで出た。
なぜ、内分点と外分点が直径の両端になるのか。
を満たす点 から見ると、 は の二等分線、 は外角の二等分線になる(数Aで学んだ「角の二等分線と辺の比」の定理の逆)。
内角の二等分線と外角の二等分線は、必ず垂直( の半分 外角の半分 )。
から線分 を見込む角が、いつも直角。 ということは、タレスの定理より は を直径とする円の上にいる — これがアポロニウスの円の正体だ。
幾何の定理( 本の二等分線が垂直)が、代数の計算()と同じ答えを出す。
大事な注意: 比が のときは、円にならない。
なら、 乗の項が打ち消し合って直線、つまり垂直二等分線になる。作図で言えば「外分点が無限遠に飛んでしまう」— 円が無限に大きくなり、直線に化けるのだ。
たった つの数の違いで、図形の種類が変わる。 軌跡の問題では、「 乗の項が消えるかどうか」を、計算の途中で必ず意識したい。
ポイント
- 距離の比が一定( 以外)→ 円(アポロニウスの円)。
- 比は『たすきに2乗』 にして整理。
よくある間違い
- 比 を と逆に立式する(正しくは )
- 2乗するときに の を2乗し忘れる( になる)
- 、 の係数 で全体を割るのを忘れ、平方完成でつまずく